■自分を責めるのをやめることについて
「自分を責めるのをやめましょう」
そんな記事をネットや本で読まれた方もいらっしゃるかと思います。
例えば、自己肯定感を高めることをテーマに書かれた記事なんかでは「自分を責める癖をなくそう」といったアドバイスを目にすることがあります。
他には、罪悪感に関しての記事。
誰かにしてあげたほうが良いと思うことをしてあげられなかった、十分に何かをしてあげられなかった等々の時に罪悪感を感じてしまうことがあります。
罪悪感に関しての記事にも「自分を責めないでおきましょう」などが書かれていることがあります。
確かに、必要以上に自分を責めることは、精神的に負担がかかるため、改善できれば良いですね。
■自分を責めてしまうのは「ダメな人」だからではなく「良い人」だからかもしれない
そのような記事を読んで「もう自分を責めるのはやめよう」と決意しても、気がつけばまた同じことを繰り返してしまうことはありませんか?
そのたびに、「また自分を責めてしまった。自分を責める癖をやめられない自分はダメな人間だ」と思ってしまう、というお話をお聞きすることがあります。
こうして、自分を責めることをやめられないこと自体を責めてしまう、という悪循環に陥ることがあります。
でも、自分を責めがちになってしまうのは、それはあなたが「良い人」だからこそ起こることなのかもしれません。
■自分を責めてしまう人が持つ素晴らしい特性
自分を責めがちになってしまうのは、あなたが未熟な思考を持っている人だからではなく、同じ失敗やネガティブな結果ばかりを招く学びがない人だからでもなく、ろくでもない人間だからでもなく、あなたが良い人だからかもしれません。
私はカウンセリングをしていて、ご自身を責められている人の話を聞いている時に「この方は良い人なんだろうなぁ」と思うことが多々あります。
良い人だからこそ、ついつい自分を責めがちになられるんだろうなと思うことがあるのです。
例えば・・・
◎責任感が強い良い人
責任感が強い人ほど、「責任を果たせなかった」「やるべきことをできていない」と気にしやすくなってしまうことがあります。
例えば、仕事が忙しくなった為に子育てをパートナーに任せきりにしてしまったなどで「やるべき役割を十分できなかった」と自分を責めるなど。
たとえパートナーは気にしていなかったとしても、「もっとこうできたら良かったのではないか」と考えてしまい、自分を責めることがあります。
無責任な方だと同じシーンで自分を責める事は無いでしょう。
これは、責任感の強さというすばらしさを持っているからこそ自分を責めがちになってしまうのだと思います。
◎思いやりが深い人
誰かを大切にしたいという気持ちが強いからこそ、相手のために何かできなかった時に自分を責めてしまうことがあります。
例えば、相手を十分に気遣えなかったときに、「もっと気遣ってあげられれば良かったのに自分はなんてダメなんだ」と。
逆に、自分さえ良ければいいと考える人は、他人のことを気にしないため、「相手を大切にできなかった」と思うこと自体がありません。
思いやりが深い、周りを大切したいという善なる思いが強い良い人だからこそ、そのようなシーンで自分を責めてしまうのかもしれませんね。
◎周りの人を大切にして負担をかけたくない、迷惑をかけたくない人
自分を責めてしまう人の中には、周りの人を大切に思うがゆえに、「できるだけ負担をかけたくない」「迷惑をかけたくない」と強く考える人がいます。
例えば、家族が仕事や学校で忙しそうにしているときに、自分の悩みや困りごとを相談したい気持ちがあっても、「こんなことで話したら余計な心配をかけてしまうかも」と思い、遠慮してしまう方がいらっしゃいます。
しかし、後になって「自分で抱え込みすぎたせいで余計に状況が悪化して、すごく心配をかけてしまった」と後悔し、自分を責めてしまうこともあります。
自分を責めてしまうのは、それだけ周りの人を大切に思っているからこそ「できるだけ負担をかけたくない」「迷惑をかけたくない」という気持ちが出てしまうのかもしれません。
◎助けてあげたい、手を差し伸べてあげたいという気持ちが強い人
誰かが困っているとき、「自分が力になりたい」「助けてあげたい」と強く思う人ほど、自分の力不足を感じたときに自分を責めやすくなります。
例えば、友人が悩んでいるときにアドバイスをしたものの、相手の気持ちを楽にしてあげられなかったと感じたとき、「もっと違う言葉をかけるべきだったのではないか」と自分を責めてしまうことがあります。
しかし、人を助けることに関心がない人は、「自分には関係ない」と割り切ってしまい、自分の行動を振り返ることすらしません。
自分を責めてしまうのは、それだけ人の役に立ちたいという優しさ、愛を持っている証拠なのかもしれません。
などなど。
■自分を責めすぎると心が苦しくなってしまう
しかしながら必要以上にご自身を責めすぎると、心が疲れてしまいます。
たとえば、何か失敗したときに「次は気をつけよう」と前向きに考えられるならば問題ありません。
しかし、「自分はなんてダメな人間なんだ」と、自己否定の感情が強くなりすぎると、自信をなくし、心が苦しくなり、何事にも消極的になってしまうことがあります。
そのようにならないように、ご自身を責めるのを減らしていくことはいるのかもしれません。
*自分を責めるのをやめるにはどうするればいいの?については人によって「なぜ自分を責めてしまうのか?」の理由が異なるため、一概に「こうすればやめられる」とは言えず、ケースバイケースになってくるかと思いますので、ここではその内容については控えさせていただきますね。
■視点を変えてみるのを試してみる、あなたは良い人という視点。
自分を責めることを減らしていくことは大切ですが、スムーズにやめられないときもあります。
そんなときは、
「また自分を責めてしまった。自分を責める癖をやめられない自分はダメな人間だ」
とは思わないで欲しいのです。
ご自身をダメな人間のように扱う、否定的に扱うのではなく、「それだけ自分は良い人間だからこそ、自分を責めてしまうのかもしれない」と視点を変えてみると、気持ちが少し楽になるかもしれません。
その視点も試してほしいなと思うのです。
そして、そう思ってみると、自分を責めることをやめられないこと自体を責めてしまう、という悪循環に陥らずにすむかもしれませんから。