◇ナマケモノ

昔、こんな話を聞いたことがあります。
「人間はね、動物と人の”間”にいるから、人間、っていうんだよ」
屁理屈じみたこの話に、妙に納得してしまった私でしたが、
心を扱うことをしていると、ひしひしと痛感する今日この頃です。
私たちは動物でもあるので、「本能」もまた、あります。
基本的には「睡眠欲」・「性欲」・「食欲」がそうですが、
このうちのどれかふたつが満たされていれば、
なんとか人間らしくはいられるのだそうです。
貧しい国では、「食欲」を満たす事ができなくて、
その分「性欲」でバランスをとり、
ハードワーカーの人は、「睡眠欲」を抑えて頑張り続けます。
では、この三つともが満たされたら、私たちはどうなるんでしょう?
先ほどの考え方をもとに単純に考えれば、
”最も人間らしい人間になる”んでしょうね。
でも、私はどう考えても”動物らしくなる”ように思えて仕方がないんです。
こんなことを思い巡らせていて、真っ先に浮かんだのが、
”ナマケモノ”の生態でした。
彼らは、消費するエネルギーを最低限に抑える事で、
(ゆっくり移動したり、動かなかったり、低体温で保ったり・・・)
最も、省資源でエコロジーな生き物なんです。
初めて、ナマケモノの生態を知ったとき、とてつもなく親近感を覚えた(笑)
私でしたが、
「ちょっと待て」
と、何かが囁いたは、どう転んでも人間だからなのでしょう。
心は、私たちの欲求をエネルギーに変換して、
より良い未来を創る、いわば”マイナスイオン機能付きエアコン”
みたいなものなのかもしれません。
もしも、欲求が満たされて行く先が、ナマケモノではなく”人”なのだとしたら、
フィルターのメンテナンスは、心がけたいものですね。
だって、心の中で起こる様々な問題はすべて、
欲求を変換して未来を創るときの「目詰まり」だからです。
by 源河はるみ

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