●満足

おかげさまで、娘も生まれて5ヶ月が経ちました。
お祝いのメッセージやプレゼントをおくってくださった皆さま、本当にありがとうございました。
当たり前かもしれませんが、自分の誕生日を祝ってもらうこと以上にうれしかったです。
さて、離乳食も始めて、部屋の端っこまで転がっていっては、その先に「行けない!!」と泣きわめいている娘。
めくるめくおっぱいの日々は過ぎ去って、少し余裕もでてきましたが、調子に乗って散歩に出かけすぎたのか、生まれて初めての風邪をひいてしまいました。
幸い別件で病院に行ったついでに診てもらったので、発熱前ひきはじめにお薬をもらって飲んでいますが、おえっとした顔で慣れない咳をし、私に直接口で鼻水を吸い取られては大泣き。
ほぼ毎日が“初めて”の連続の中で、あまりうれしくない出来事ですが、それでもほっぺを赤くして鼻をたれてる顔は、新生児を卒業したようで、なぜか私を幸せにしてくれます。
正直、こんなに楽しいものだとは思いもしませんでした。
かわいい友達の子どもを見ても、念頭にあったのは「大変そう。。。」
そりゃぁ、大変だし、これからもっともっと大変になるのは目に見えていますが、腰や肩の凝りがピークに達していても、夫婦の間に子どもが挟まっていても、それをチャラにしてくれる。
まさに“愛の奴隷”とは、このことではないのか?と思うほど、彼女は魅力的です。
もちろん主人も虜。
ふたりして馬鹿は続きます。
みなさんご周知のとおり、根本家はおめでた。先月久しぶりに顔を合わせることができました。
あれこれと思い出しながらマタニティ話に花は咲くんですが、どこかとても遠い過去のような気がしました。
といっても、引っ込まないお腹が「おいおい、このまま過去にするのかよ?」とでしゃばってきますが。。。
数ある分娩法の中で、私が入院・出産した病院はソフロロジー(イメージバース)というイメージや呼吸法を取り入れた分娩法を実施いて、まるでセラピーと一緒だわ、と思いながら練習に行っていました。
娘の頭が大きくて分娩誘導のため早めに入院しましたが、結局陣痛促進剤は功を奏でず、陣痛は起こったものの帝王切開だったので、実践には到れませんでしたが(^^)
そんな無念も、手術台の上で産声を聞いたとたんに消えていったんですけどね。
そのマタニティ教室で、ある助産婦さんがこう教えてくれました。
「赤ちゃんには、“満足する”ということを教えてあげなくてはいけません。」
一瞬、なんのことだかわかりませんでした。
「シーツが洗いたてで、あぁ気持ちいい。
 おむつを替えてもらって、さっぱり!
 ぺこぺこお腹が、おっぱいでもぉ〜いっぱい。
 抱っこしてもらって、うれしい!
 などなど、数え出したらきりがないほどの“満足”を、たくさんたくさん教えてあげてください。」
なるほど、と思いながらもピンときていない自分がいました。
でも最近やっと、少しずつわかりだした気がしています。
娘は、全身全霊でなにかを訴えます。
求めます。
それに応えるのが、今の私のつとめですが、
「ほらね、こうしたら楽になったでしょ。」
「もう大丈夫、安心してね。」
「ほら、こんなに楽しい!」
という欲求や要求に対する応えを、どこかで、
「ほら、こうしたら苦しくないでしょ。」
「もう心配させないでよ。」
「どう?どう?どう?」
と、なんだか手当てをするような、満たすというよりも埋め合わせようとするような、
そんな感じに捉えていたような気がするんです。
求めに応じることが目的になっていて、応じた結果もたらされる果実には目がいっていないというか。
大人になると、たくさんの諦めや期待があり、求める気持ちや願いは限りなくあっても、
どうすれば満たされるのかが、わからなくなってきた、なんてことはありませんか?
どこかで絶望していて、果たして満たされることなんてあるんだろうか?と自分に問うたことさえ忘れてしまった、なんてことはないでしょうか。
はたまた、こうすれば望みは叶うはずだ、と思い続けてやりつづけて、未だ実らずとか。。。
人を惹きつける引力は太陽並の赤ちゃん。
毎日、毎日照らされて、もう娘がいない生活は想像もできません。
我が家の太陽は、まるで怪獣(ほんとに笑)ですが、妥協ではなく間に合わせではなく、本当に欲しいものがなんなのか?を見つけ出そうとする意欲を思い出させてくれました。
だって、親鳥がヒナの大好物を見つけてせっせとくわえて巣に戻るように、見つけ出さないことには与えられないからです。
こうしてエッセイを書けたのも、ついこの間「そういえばこのお腹の中にいたんよなぁ」と思いながら娘を抱きしめてみたとき、ふと「そうそう!!こんな感じやった!」と娘が生まれて初めて、えもいわれぬ満ち足りた気分になったからなんです。
妊娠にも出産にも、これまでの育児に対しても、なんだかご褒美をもらったような気がしました。
絆は、あるものではなく創るものなんだそうです。
その絆の結び目のひとつひとつが満足でできていたら、とても素敵ですね。
源河はるみ

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