ある日“骨休みに、何にもしない、のんびりした一人旅がしたいなぁ〜”と思いながら
旅行雑誌を見ていると、『ピピ島・プーケット8日間の旅』というのがあったので
「これだっ!」と思い、休暇をとって行くことにしました。
今回はその一人旅で出会った人たちのことをお話します。
ピピ島にはホテルとビーチ以外に2、3軒の飲食店と売店があるだけで、
他には何にもないところでした。
ホテルの部屋にはテレビさえありませんでした。
あまりに何にもないところだったので、“何かすることはないかなー”と考えながら
ぶらぶらビーチを歩いていると
「一緒にビールでも飲みませんか?」
と日本語で男の人の声がしました。
振り向くと、金髪の日本人のお兄ちゃんが
ダイブショップの前で座ってビールを飲んでいました。
その声に誘われて、ふらふらとダイブショップの方へ歩いて行くと
彼は海を見ながらビールが飲めるようにと、椅子を一脚出してくれました。
そして「いや〜こっちにきて2年、スキューバダイビングの仕事をしててね・・」といった
身の上話や世間話をしてくれました。
おかげで楽しい時間を過ごすことができました。
その後もピピ島で何日間かを過ごし、次にプーケットに移動しました。
プーケット到着日は、ちょうどタイ国王であるラマ9世の誕生日でした。
現地の人々は手に手にローソクを持ち、王様の誕生日をお祝いしていました。
僕はそんな人々を眺めながら一人で歩いていました。
そして口寂しくなってポケットからガムを取り出した時です。
「私にもちょうだい。」
現地の見ず知らずのおばちゃんがそう言いながら手を伸ばしてきました。
ちょっとびっくりしながらも「いいよー。」とガムをあげると、そのおばちゃんは
「王様の誕生日で私たちもぶらぶらしているの。一緒に歩こう。」
僕は英語能力があまりないのでなんとなくしか理解できませんでしたが、
たぶんそんなことを言っていたんだと思います。
“海外で見ず知らずの人について行くなんて、大丈夫かな・・・?”
そう思いながら改めておばちゃんを見てみたんですが、
人のよさそうな方だったので
“まぁ、いっか。”と思いおばちゃんと一緒に町を歩くことにしました。
おばちゃんの他に3人の若者も一緒でした。
バーのオーナーをしているおばちゃんと、
ヘアーサロンを経営している女の子と従業員の男の子、
それにマッサージ師の女の子という組み合わせでした。
4人は近所に住んでいる仲間とのことでした。
その4人組とおばちゃんお勧めの屋台に飲みに行くことになり、
そこでタイ料理のことやタイでの乾杯の音頭、
その他いろんなことを教えてもらい、みんなで楽しく過ごしました。
あくる日も一緒に遊んでもらえることになり、
またあくる日もバイクでお勧めのビーチに連れて行ってもらったり
おばちゃんの赤ちゃんを見せてもらったりと、楽しい時間を過ごしました。
おばちゃん曰く、その子は45歳の時に授かった赤ちゃんだったんですが
バーを経営していたため普通の妊婦さんより多くのアルコールを飲んでいたそうです。
そのため胎児の状態はかなり危なく、生まれたときは1,500gしかなかったそうです。
「この子が産まれた時、私もう、心配で心配で・・・。」そんなことも言っていました。
でも今その子はすくすくと育っており、
「人生には奇跡みたいなことってあるのよね〜。」と話してくれました。
それは日本から遠く離れた異国の地で聞いた、心暖まるお話でした。
こうして楽しい休暇も終わり、日本に帰ってから
ピピ島とプーケットでそんな素敵な出会いがあったことを友人に話すと
「現地の人に声をかけられてそのままついて行くなんて、騙されるとか
危ないとか思わんかったん?」と聞かれました。
・・・そうなんですよねぇ。
確かに僕もそう思ったんですが、
“でも、大丈夫だろう。
もし危ない目に遭いそうになったら、すぐにその場を立ち去ったらいいやー”って
思ったんですね。
でも、“なんで何の根拠もなく僕は大丈夫だろうって思えたんだろう?”って考えてみたんです。
すると一つの答えが出てきました。
それは、僕の自己概念の一つに
『僕はどこに行っても周りの人に可愛がってもらえる』というのがあったからなんです。
その自己概念があったからこそ、ピピ島やプーケットで現地の人に声をかけられた時も
『きっと僕のことを気に入ってくれる、遊んでもらえる。だから大丈夫だろう』と
心のどこかで思えたんです。
もし僕の自己概念が『僕はどこに行っても周りの人から嫌われる。』だったら
たとえ現地の人が好意で声をかけてきてくれても、
『なんで僕なんかに声をかけるんだろう?なんで優しくしてくれるんだろう?』
『あやしい・・・新手のキャッチセールスか?!』
と思っていたでしょうね。(笑)
「心が現実を作る」とは、よく言ったものです。
普段自分がどんな考えを持っているのか、自分のことをどう思っているかによって
現実社会で得る結果が違ってくると心理学では見ていくのですが、
今回の体験はまさにその良い例となりました。
みなさんは、自分のことをどんな風に思っていますか?
自分には、どんな自己概念があると思いますか?
例えば『自分は周りの人から嫌われる』などといった
現実社会で妨げになっているネガティブな自己概念はありませんか?
心のあり方ひとつで現実社会で得られる結果が違ってくるのなら、
そうしたネガティブな自己概念は手放して
『自分は周りの人から可愛がってもらえる』といった
ポジティブな自己概念を見つけていく方が、
より多くの「幸せ」を感じられるようになるのではないでしょうか。
いやーほんまにいい旅行になりました!
今回の旅行で親切にしてくれた人たちに、僕は感謝の気持ちでいっぱいです。
原裕輝