●クロード・モネの世界

私は、モネの絵が好きです。
「パリ マルモッタン美術館展」では、モネが愛したジヴェルニーの庭園を映像で観
ることができました。
私はそれまで、モネの絵や画集に掲載されている写真でモネの庭園を観ることはあり
ました。
でも、それは一部でしかありませんでした。
いつか、もっとたくさん観てみたいと思っていました。
今回、思いがけず映像で観ることができて、とても嬉しかったです。
睡蓮が映った時、モネの絵と重なって見えて「本当にモネの絵の世界だ」と感激して
しまいました。
モネの庭園の中で、私が一番好きな風景は、太鼓橋とその上にかかる藤棚の風景で
す。
なんてきれいなんだろうと見とれてしまいました。
緑色の橋、薄紫色の藤の花・・・。
私が初めて美術館でモネの絵を観た時に、とても好きになって買ったカードにもこの
太鼓橋が描かれていたことを思い出しました。
とても印象に残っている橋です。
モネが描いた橋、それを観ている・・・。
あまりにも思いがけない出来事だったので、信じられないような気持ちになりまし
た。
初めてモネの絵を観た時、モネには他の人には見えないものが見えるんだと強い衝撃
を受けたことを覚えています。
それ以来、私はモネの絵の世界に憧れのような気持ちを持っています。
絵に描かれた心地よい風、眩しい太陽の光、涼しい木陰・・・を観ていると、私にも
風の心地よさ、太陽の光の眩しさ、木陰の涼しさが伝わってきます。
それを感じている時、まるで絵の風景の中にいるような気がします。
そうやって絵の中の世界を感じることが楽しくて、これまでに何度もモネの絵を観に
行きました。
そして、今回の美術展でもうひとつ嬉しかったのは、モネの庭園の写真集を買えたこ
とです。
今でも繰り返し観ています。
モネが造った池の水面に映る風景の静けさ、美しさ、その素晴らしさを改めて感じま
す。
“水面”にこれほど存在感を感じたのは初めてです。
この写真集を観ている時には、モネの絵を観ている時のように、ゆったりとした時間
を過ごすことができます。
そして、白い水仙、黄色の向日葵、緑のしだれ柳、青いグラジオラス、薄紫色の藤の
花、赤いツツジ、ピンク色の薔薇・・・、素晴らしい調和した美しさを堪能すること
ができます。
それに、モネの庭園を観ていると、モネの花への強い情熱を感じます。
そして、モネの絵の世界を身近に感じられる、そんな気がするのです。
モネは時間の経過とともに表情を変える風景のその美しい瞬間をとらえています。
モネは「モチーフは私にとって二義的なものだ。私が再現したいのはそのモチーフと
私の間にあるものなのだ。」と言っていたそうです。
本でこの言葉を読んだ時に、モネには他の人には見えないものが見えるんだと思った
ことを思い出しました。
モネがこうして絵という形で、モチーフとモネの間にある、美しいものを残してくれ
たことに感謝したいと思いました。
上田 紘美

この記事を書いたカウンセラー

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