カウンセリングでお話する方の中には、「とっても緊張しているなぁ」とか
「常に緊張しているみたい」と感じる方がいらっしゃいます。
過度の緊張は、肩こりや頭痛、不眠などの原因にもなりますし、何より本人
がしんどいですよね。
そこで、「これはかなり緊張してるなぁ」と感じた方には、緊張を緩めるこ
と・・・リゾートでのんびりする、ゆっくり温泉に入る、マッサージしても
らう、自然の中に入るなどをお勧めしています。
今の世の中って、仕事や人間関係など緊張する機会がすごく多いですよね。
ウィークデーは常に緊張を強いられ、休みの日はぐったり疲れて寝てる・・
・以前は私もそんな日々を送っていました。
そして、それにうんざりした私は、ここ数年、ずっと「緩和」を求めてきま
した。
外見では、スーツを着なくなったし、ハイヒールをはかなくなったし、「〜
すべき」が口ぐせだったのに「まぁいっか〜」と流せるようにもなってきま
した。バリ島に旅行してのんびりしたし、温泉好きにもなったし・・・
数年前に比べるとすっかり「ゆるゆる」です。
そしてそれがとっても快適だと思っていたはずなのですが・・・
先日、「自分が求めているもの」は何かについて話し合う機会がありました。
そのとき私の中から出てきたのは、「緊張感」だったのです。
スポーツの試合での息を呑む感じや、歌やお芝居のステージでの完璧な演出、
レストランや料亭で出される繊細な味わいの料理・・・そんな微妙なものを
支える緊張感に憧れていることに気づきました。
緊張感=しんどいこと、と思ってきたのですが、実は緊張感の中にあるすば
らしさや美しさ、おもしろさを見落としていたみたいです。
ひたすらリラックスを追及してきた自分の中に、緊張感を求める部分がある
ことは大発見でした。
また、いつも緩んでばかりでは、リラックスのありがたみがないことにも気
づきました。
緊張があるからこそ、緩んだときの開放感・快感も大きいんで
しょうね。
そんなことを考えていたら、「笑いは緊張の緩和である」という落語家の桂
枝雀さんの言葉を思い出しました。
緊張ばかりではしんどいし、緩和ばかりでもつまらない。
緊張と緩和の両方がバランスよくあったときに、笑いや充実感が生まれるん
だと改めて気づきました。
いつも緊張していた頃と、いつも緩んでいる今、両極端を経験してみて、こ
れからはその真ん中でバランスをとっていきたいと思っています。
今の課題は、いい意味の緊張感が持てるようになること。それができたら本
当の意味で人生を楽しめるんじゃないかなぁと思っています。
前田紀美子