先日、エミール・ガレ展に行って来ました。
内容は違いますが、以前に京都でエミール・ガレ展があった時には行かなかったんです。
あの時は、ガレのすごさを知らなくて行きませんでした。
奈良にモネの絵を観に行った時に、ガレの作品も観ました。
その時に、こんなにすごいものを創る人だったのか、と驚きました。
ガレの表現力の素晴らしさもありますが、常に最高のものを追求し続ける精神的な強さのようなものを感じたんです。
そして、京都でエミール・ガレ展が開催された時に行けばよかったと後悔しました。
それからずっとガレの作品をもっと観てみたいと思っていました。
会場に入る前に、作品についての解説を聴くことが出来ました。
解説の中に出てきた「いのちの輝きとはかなさ」という言葉が印象的でした。
「カトレア文八角花器」は、花が咲いた時の明るさと花が枯れていく時の暗さをリアルに感じさせてくれます。
ガレの観察力の素晴らしさも感じられます。
ガレの発想は素晴らしいです。
作品に詩の一説を彫る、というガレの発想に私はすっかり夢中になってしまいました。
詩を選ぶセンス、詩を刻んだ文字の形や線も素敵でした。
「ヴェロニカの実形香水瓶」には、ピエール・デュポンの「ヴェロニカの歌」の詩の一説「・・・小さな花を求めて世の煩わしさの中を行く、純真な人たちのために」と彫られています。
ヴェロニカは青紫色の小花が穂になってつく清楚な花で、この作品は器全体がヴェロニカの実の形になっています。
器には花と実が描かれています。
全てがヴェロニカで統一され、ガレの徹底した作品作りにガレの信念を見た気がしました。
ガレはガラスに関する科学的な研究を重ね、新しい素地や技術を開発しています。
そんなガレをうらやましいと思うことがあります。
私はビーズアクセサリーを作るのが好きですが、自分でビーズを作ることが出来たら、と思うことがあります。
ビーズを見ていて、微妙に光沢が強かったり、色が淡すぎたり、濃すぎたりすると感じる時に、私だったらこんなふうに作るのになあと思います。
小さい頃から何かを作ることが好きなので、何かあると「作る」方に関心が行くのだろうと思います。
ガレの家具は素晴らしいものでした。
「アイリス文木の葉形トレー」は、本当に葉がめくれているので驚いてしまいました。
本当に木なのかと思ってしまうくらい、曲線が滑らかでした。
その上、アイリスの花まで描かれています。
ガレの家具は贅沢だなあと思いました。
ガレの寄木細工には、絵のように自由自在に色彩が表現され、自然からのモチーフが美しく描かれています。
エミール・ガレ展は、思っていた以上に素晴らしいものでした。
私はピエール・デュポンもヴェロニカも知りませんでしたが、今回、ガレの作品を通して私の世界が広がったような気がしました。
ガレの作品を観ていると、嫌なこと、しんどいことなんて忘れて、見とれてしまいます。
そして、とても満ち足りた気持ちになります。
それは、私にとって幸せな時間です。
また、こうやって私自身が幸せな時間を過ごせるものを新たに見つけられたことを嬉しく思います。
そして、それを与えてくれたガレに感謝しています。
私は、カウンセリングを通して、みなさんが幸せだと感じられる時間を増やすお手伝いをしたいと思っています。
上田 紘美