こんにちは。
雨の日に、しとしと…という雨音と鳥のさえずりに耳を傾けていると、心持ち、
いつもより時間がゆっくり流れている気がします。
そんな静かな音を聞きながら、
このコラムを書いています。
(…書き終わる頃には、どしゃぶりになり各地で被害も出ています。
自然の裏表ですね。)
さて、皆さんは、最近ハズカシイと感じられたことはありますか?
あるとしてそれは、どんなこと、どんな時だったでしょうか。
実は先日、自己紹介の研修を受ける機会があったんですね。私は元々
恥ずかしがり屋な方ですが、その時に、
「こんな風にもハズカシイと思うのだ」という経験が出来ました。
今日は、その時のことを書いてみたいと思います。
それは、「よりよい自分なんて」というハズカシさでした。
2時間の研修の終わりには、私は、このハズカシさという「壁」を越えて、
「自分らしい自分」や「本来の私」を気負いなしに表現出来て、心地よい気分になりました。
研修は、40名ほどの人数で、一人15秒ずつ自己紹介していき、後ほどVTRで
全員の分を検証するというものでした。
一度に40人の自己紹介を聞く機会なんて、そう多くはありませんよね。
自分のは照れますけど、他の方のは興味津々でビデオを見ていました。
すると、改めて、「認めざるを得ないなぁ」と感じたことがありました。
それは、
「長所、いい所、好きなこと、希望を沢山言っただけ、印象が良くなる」
ということでした。
こう書くと、もしかすると、「今日の伊藤はポジティブシンキングの勧めか?!」
と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではありません。
(どちらかと言うと私は、ポジティブには、「マニュアルじゃないの?」とか
「胡散臭いなぁ」とか用心するタチですし。(苦笑))
一方で、「そんなの当たり前じゃない!」って思われた方も多くいらっしゃると
思うんですね。
私たちは色んな場面で、よいだろうと思われるのにしない、ってことが
何故かあるんですよね。私の何故の一つはハズカシさだったんですよ。
具体的には、研修では次に挙げるような例を人数分見ました。
ちょっと、紹介される身になって読んでみてくださいね。
次の自己紹介のうち、皆さんはどちらの方がよりその人のことが伝わると感じられるでしょうか?
(人材派遣会社の研修であった為に、「派遣先の初日挨拶」という設定になっています。
)
(1)はじめまして、伊藤昌代と申します。
初日ということでとても緊張して
おりますが、一日も早く慣れるように頑張ります。
よろしくお願い申し上げます。
(2)はじめまして、伊藤昌代と申します。
初日ということでとても緊張して
おりますが、一日も早く慣れ、これまでの経理事務の経験を生かして、
親切、丁寧をモットーに、正確で信用の出来るように責任感を持って笑顔で
取り組んで参ります。
よろしくお願い申し上げます。
いかがでしょうか? どちらの方がより私のことが伝わりましたか?
それはどんな所からでしょうか?
ちなみに(1)も(2)も、ちょうど15秒間のスピーチだったんですよ・・・
(いかにゆっくりと話していたかバレますね(大汗))
□「こう言おう」と自発的に思うまで
さて、(1)はVTRで撮影された時ので、(2)が全員のビデオを見終わった後
にフォローアップを受けて作り直した紹介文でした。
実際に話す場面では、「何て言おうかな」ということで頭が一杯になって、
誰かが話している内容も”参考になるなぁ”とか
“あ、あの人時間足りなかった”ということに目が行くのですが、
VTRでだと、客観的に、紹介を受けている立場で全員の自己紹介を検証出来ました。
ビデオを見始める前に、講師の先生から説明があったポイントはこんな感じでした。
○視覚からの情報について
・雰囲気はどうか?
・表情、目線は?
・姿勢、態度は?
○聴覚からの情報について
・声、滑舌は?
・話し方、言葉は?
・話の内容は?
私のは、緊張したオドオド感が表面に出ているだろうと予想していたの
ですが意外にも、
雰囲気⇒柔らかい、表情・目線⇒穏やか・笑顔、
姿勢・態度⇒どっしりしている、声・滑舌⇒高すぎず低すぎず…
という印象でした。
このコラムで分かる、”話の内容”以外のところがマシだったんですね。
(セーフ…かな^^;)
次に、VTRを使って客観的に見つめた自分について、
「何を大切にしたいと思っている人だから、ああ言ったのだろうか」とか、
「これをしてきたということは、何に気を配ってきた人なのだろうか」
という点を言葉にしていきました。
そして、それらをよりよい印象で残すには、どんな表現があるのかについて考えていきました。
□ それを言ってみると…
私の例では、(1)で緊張していることを述べたのは、
しっかりと必要な仕事をしたいと思うほどに、緊張でカチコチに
固まるだろうと予想してのことでしたので、
(2)では「しっかり」をより具体的に表現する言葉として、
「丁寧」「正確な」「責任感をもって」などを取り入れました。
また、
カチコチになるだろうと思われるくらいに、新しい環境に
慣れることを大切に思っていることを表現する言葉として、
「親切」「笑顔で」を選びました。
また別の方の例では、
初め、「…以前のアパレルの販売経験を活かして頑張ります」と紹介された方は、
「…以前のアパレル販売で培った、我慢強く迅速な対応や、機転を
利かせた行動力を活かして…」等と作り直されていました。
そして、作り直した部分をもう一度、今度は撮影はなしで発表したのですが…。
ここで、「んな、よりよい自分なんて〜〜」というハズカシさが出てきたんですよね。
「よりよい印象を残せるようになっているか確認の為もう一度言う」
という行為を通して、どうやら私達は、
「自分をより肯定的に扱う」ということをしていたようなのです。
私のハズカシさは、言わば、
「いい? ホンマにそんなこと言っちゃっていいの??
……でも嘘じゃないし、いいよねぇ」というものだったのです。
「いいよねぇ」に辿り着いた瞬間、今まで思いつきもしなかった言葉を
すらすら話せている私がいました。
ハズカシさという壁に隠されていた
自分の一部に出会えたような嬉しい気持ちでもありました。
□「痛みや絶望があるから、これが大切なんだ」という思い
中には、「これしかないんだから大切だ。だから自分はこうなんだ。」
「自分はこうなんだ。生まれたときからそうなんだ。」等という気持ちが
出てきて辛くなることもあるかと思います。
例えば、私は目が悪いので、目の健康や視力に関する情報は
とても大切だけど神経質にもなります。
また、自分の気の弱さは
どうしようもないなぁと落ち込むこともあります。
本当は、そう思う
度合いだけ、大切なことや好きなことがあるのですが、
落ち込んでいる時は「どうしようもないなぁ」って思ってしまうものでしょう。
こんな風に、何か痛みや辛い気持ちが出てきたとしたら、それは、
「大切」であるのと同時に、「目標」でもあるんですよね。
ハズカシさとは少し違うかもしれませんが、
「目標」も隠すのではなくて求めていきたいものですね。
□「見られている」よりハズカシいけれど…
検証の最初のプロセスの、「何を大切にしたいと思っている?」、
「何に気を配ってきた?」ということを言葉にすることは、
今回の自己紹介の場面だけでなく、様々な場面で使って頂ける
コミュニケーションの基なんですね。
皆さんの中には、何かの発表を控えているとか、誰かに伝えたいことが
あるとか、面接の予定があるとかいう方々も多くいらっしゃるでしょう。
長所や愛、優しさ、希望などの「よりよいこと」を自分自身で認めて
言葉にすることは時に、「見られている」ということよりハズカシいことも
あるのだけれども、この壁を越えると、とっても分かりやすい、
シンプルなコミュニケーションにもなるんですよね。
「よりよく伝えるには、どんな言葉がいいかなぁ」という気持ちで、
上記について見つめてみるのもいいかもしれませんね。