●『エミール・ガレ展』にて

エミール・ガレ展に行って来ました。
以前にも行ったことがあるのですが、それ以来すっかりガレのファンになってしまったんです。
そんな私にとって、またガレの作品を観られるということは、とても嬉しいことでした。
今回の展覧会の中で、色の美しさが印象に残った作品がいくつかありました。
そのひとつがシュガーポットとグラスがセットになった「テーブルウエア」です。
透明ガラスに白と空色で花網と羽虫が描かれています。
模様がとても繊細で、色使いの美しさが模様をよりいっそうきれいに見せています。
シュガーポットには、ねじり模様入りの透明ガラス製スプーンが付いています。
私から見ると、あんまり素敵すぎてとても贅沢なテーブルウエアです。
観ていると心まで透明になりそうな作品です。
一度観たら忘れられません。
そして、優しい色使いが印象的だったのが「花器(モクレン)」です。
器全体に広がった乳白色と淡いピンク色のモクレンがとてもきれいです。
ほわんとして優しい感じがします。
観ていると、穏やかな気持ちになれそうです。
ガレの発想の素晴らしさに改めて感心させられた作品もいくつかありました。
ひとつは、マスを釣り上げるニンフ(妖精)が彫刻された「花器」です。
透明ガラスにマスを釣り上げるニンフとコウホネの花が彫刻されています。
紫色の泡が涼しげで、とても幻想的な感じがする作品です。
この作品には、「積極的な水のニンフ、うぶなマス、恋の駆け引きにおいて常に捕まってしまうだろう・・・」という刻銘があります。
恋の駆け引きの妙をテーマにした面白い作品です。
もうひとつは、折り紙で作った鳥を陶器のオブジェにした「折り紙の鳥(ココット)」です。
鴨と楽譜が描かれていて、楽譜の下には「家鴨たちは<岸から岸へと>うまく渡ったティルリル リル」の引用句が入っています。
私はガレがこうやって引用句を入れるのがとても好きなんです。
子供の頃、折り紙がとても好きだった私にとって、ガレが折り紙の鳥を題材に選んだということは、とても嬉しいことです。
それに、とてもかわいらしくて、部屋に飾っておきたいと思うくらいとても好きな作品です。
いろいろとイメージするのが好きな私にとって、一番面白かったのは、彫刻「手」です。
この作品は、手に海藻が絡みついていて、指には貝殻が付いています。
この作品に関する文書記録がないので解釈ができないそうなのですが、私だったら「この手は人魚たちの間で伝説となっている人魚のもので、復活する時を待っている」そんなふうに考えます。
そして、「復活する時には、人魚の歌が聞こえ、指に付いた貝殻は指輪に、海藻は羽衣になる」のではないかと思います。
この「手」を観ていると、人魚が復活するイメージが浮かんできました。
ガレの作品作りに対するこだわりを強く感じたのは、教会の尖塔が見える集落や、麦を収穫する農夫たちが表現された「食器戸棚」です。
麦を収穫する農夫たちを見て、ミレーの絵を思い出しました。
この食器戸棚には、大麦の穂をかたどった飾り金具が装着されています。
作品の全てを作品作りに活かしてしまう、ガレの徹底した姿勢に感心してしまいます。
こうやってガレの作品に刺激を受けたせいか、最近書道で今までとは違った面白い字を書けるようになってきました。
私は、これまでガレが見せてくれた作品を書道の作品作りに活かしたいと思っています。
そうやって私なりに吸収し作品作りに活かすことで、ガレへの感謝の気持ちを表現したいと思っています。
上田 紘美のプロフィールへ>>>

この記事を書いたカウンセラー

About Author

退会しました。