◇答えが見つかるとき・・・

カウンセリングやワークショップを通じて、たくさんの人と接しています。
人それぞれ、本当に豊かな感性を持ち、魅力があり、そして、生きる目的を
持っていらっしゃるように僕には感じられるのです。
そして、その一人一人の方が教えてくれるものはとても幅広く、かつ深く、
僕自身が気付かされること、学ぶことが本当に多いんです。
僕の方から提案させてもらったり、心理学の考え方をお話したりしてるときに
「ああ、これは誰に言ってるのかなあ?相手じゃなくて、僕にも大いに当ては
まることだよなあ」
と思うことが毎回(!)あるんです。
だから、カウンセリングというお仕事はさまざまな出会いを通じて自分をも
見つめなおすことができるわけです。
(ま、時には自分で話しながら心に痛く突き刺さることもあるわけですが)
ある女性とのご主人との関係に関するカウンセリングでのお話です。
あまりに本来の自分を隠しすぎていて、気を使いすぎていて、そして、結果的
にご主人に裏切られてしまう・・・という踏んだり蹴ったりの状態でした。
でも、何とかご主人とやり直したい・・・そういう思いでカウンセリングを
始められたのですが、そこで、僕は
「ご主人との関係を何とかする前に、まずは自分を変えましょう、自分自身を
自由に、そう“解禁”というイメージで取り組んでみませんか?」
という提案をさせていただいたんです。
それは、お話を伺っているうちに、その方の内側にとても情熱的かつ自由な
空気を感じたからなんです。
そういう内面にある価値というか才能というか(もちろん、それを証明する
材料は僕の勘だけなんですが)、それが気を使うことでだいぶ封印されてし
まっているように感じたんですね。
だから、まずは、そこを解放してあげるところが大事なんじゃないかな?と
思ったわけです。
そんなカウンセリングが終わった後、控え室で一息ついてボーっとしていると
(僕は特に仕事が無ければ外を眺めながらボーっとしてることが多いです)、
直感的に「ああ、僕はこういう生き方がしたいんだな」とふっと心の底から
湧き上がってくるものがありました。
やっぱり、その奥様に向かってだけお話をさせて頂いただけではないんです。
僕自身に向けたメッセージでもあったんですね。
その生き方というのは、自由に、自分の直感を信じて、したいことを素直に
やっていく生き方です。
一言で言えば「自分に素直に」ということです。
言葉にしてしまうと、とてもシンプルで、当たり前すぎて嘘っぽい感じがする
くらいですが。
でも、その瞬間、ぱーっと視界が広がるような感覚がやってきました。
「あ、そっかー」
って、すべて分かってしまったような気さえします。
肩の力が抜けて、体が楽になっていくのも感じられます。
よく“抜ける”って表現を使うのですが、本当に何か不必要なものが抜けた感
覚です。
自然に笑みがこぼれてしまうような気分になって、うんうんって意味
もなく、頷けるような、そんな感覚です。
よくよく思えば、ここしばらくの間(たぶん、数ヶ月の間)あまり自分が意識
しないところで、自分がどんな生き方をしたいのか模索してきたんだと思います。
気付いてしまえば、あまりにベタ過ぎてネタにも相応しくないような気がして
しまうのですが、でも、こう、ボーっとして油断しているときって、ずっと探
していた答えが受け取れるいいタイミングなのかもしれません。

そういえば、カウンセリングの中で伺うお話でも、ずっと抱えていた問題が
解決した時も案外、ベタで、「えーっ?」って状況の中で答えが見つかること
が良くあります。
離婚しようかどうかを迷っていたある奥様は、久々のお通じの後、トイレから
出た瞬間にリビングで背中を向けているご主人を見て、
「あ、やっぱり私はこの人なんだ」
って確信をしたそうです。
あまりに唐突にそう思ったので一瞬何が起こったのか分からず、でも、改めて
「この人が私の夫なんだ」と思ったときには床にヘナヘナと座り込んでしまった
そうです。
「まあ、何てクサイ縁なんやわって思いましたわ・・・」とはその奥様の感想。
また、自己嫌悪に悩んでいたある女性は、会社の給湯室で一緒にいた同僚の
何気ない噂話を聞いてるときに、ふっと「私はこのままでいいんだな」って
感じたそうです。
そしたら、心がジーンと温かくなって、気がつけば涙がダーッと流れてきて、
自分もびっくりしてその場から逃げ出してしまったそうです。
セックスレスの問題を抱えてた奥様は、ボーっとテレビを見ていた瞬間、なぜか
“今だ”ってひらめいて、ご主人を襲った(!?)そうです。
それが機になってレスの問題が解消したというんですから、世の中何が起きるか
分かりませんね!(笑)
ドラマティックな展開を望んでただけに、皆さん、むしろ拍子抜けって感じで
その様子を話して下さったんですけど、案外、インスピレーションというのは
そういう瞬間に訪れるものかもしれません。
作家でも、クリエイターでも、アイデアの多くはボーっとしているときに訪れる
ってよくおっしゃっています。
答えを出さなきゃと焦っているとき、考えすぎて頭がヒートアップしているとき
って答えはやってこないものだと思います。
でも、そういうプロセスを通り過ぎた後に、ふっと気を緩めた瞬間に、その探し
求めていた答えがさーっと降ってくる・・・そんな感じなのかもしれません。
だから、悩み尽くすのも悪いことではないと思います。
上に紹介した方はほんとカウンセリングの中でも「考えすぎですよねえ・・・」
とおっしゃるくらいに考え込まれてました。
でも、考えて考えて、時には胃に穴が空くくらい考えることも大事なんです。
そして、考え疲れてふーっと息をついた瞬間に、悟りのように答えが閃く、
そんな感覚です。
もし、今あなたが何か悩むことがあれば、一度、思い切り悩みつくす、疲れて
へろへろになるくらい悩んでみる・・・というのも悪くないです。
でも、中途半端はしんどいですよ。
思い切り、です。
そして、そんな時に、ふっと息を抜いたり、誰かに「もう、あかん」って話を
聞いてもらったりしたときに・・・奇跡は起こるかもしれません!

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