8月に入って、私の住む信州でも晴れ上がった夏空が毎日見られるようになりました。
日中の日差しは、少し標高が高い分だけ、なかなか刺激的に肌に感じられますが、空気のさわやかさは信州ならではのものではないかと思います。
汗をかいていても、木陰に入るとひんやり冷たい空気に癒されます。
信州は夏本番の今、避暑に来ている方たちでにぎわっています。
生まれたのが都会という私は、そんな人たちを見ていると、なんだか自分も観光客の気分になっていきます。
そして、しみじみこの風土のよさを味わうのです。
信州の中でも、ここ数年特に気に入っているのが、軽井沢と八ヶ岳です。
この二つの場所は、山をはさんでわりと近くに位置していて、どちらも火山地帯という感じです。
何か、そんな大地のエネルギーを感じる場所です。
そして、火山地形独特の、山の裾野の伸びやかな広がりや、ダイナミックな風景が、気持ちをおおらかにしてくれるようなところです。
往復のドライブでは、空気のさわやかさ、大地ののびやかさと力強さをいっぱいに感じます。
道路の両側にはどこまでも広がっている静かな林。どこかはかなげな表情で立つ清楚な木々に包み込まれて、心の中がリフレッシュされていきます。
とても心地よく、楽しい気持ちになってしまうのです。
道路沿いのレストランなど、お店の建物も個性的です。
風景にアクセントを与えてくれていて、見ているとウキウキしてきます。
宵は格別で、蒼い夜空の中に点在する柔らかなオレンジの窓明かりがすてきです。
火山地帯の神秘的な丘からは、木々のシルエットの間に白い月が鮮やかに望めて、神々しく感じたり。
八ヶ岳にもありますが、軽井沢には一際大きなアウトレットショッピングモールがあります。
ここを歩くのも楽しみです。
女性のグループや、子どものいるファミリー、そしてカップルでいっぱいなのは、にぎやかな場所どこでも同じかもしれません。本当にたくさんの人で、ぼちぼちとしか歩けないのではありますが、いつ行っても、のんびりとおちついた雰囲気が変わらないのです。
みなさん、どこかにお泊りなのでしょうか。夕方遅くなっても、ゆったりとウインドウショッピングやお買い物を楽しんでいらっしゃいます。
お店を一歩出ると、池の水面からやってくる冷たい空気や、森の臭いが漂っているのも、みんなの気持ちをほぐしてくれるのかもしれませんね。
ここで特に多いなあと思うのがカップル。若いカップルから熟年カップルまで、とってもくつろいでいらっしゃって楽しげです。
ほんとに、どのカップルも、ゆとりを感じさせる物腰なんですね。
仲良くお洋服を見立てていらっしゃったり。
この柔らかい雰囲気を、都会の繁華街を歩くたくさんのカップルさんたちからは、そうそう感じることがないような気がするんです。
そこで、私は妄想にふけります。
・・・日常の中では、生活や仕事に追われていたり、面倒な問題に頭を悩ませられたりしながら、一生懸命生きている人たち。パートナーとの間でも、精一杯愛そうとしていながら、色んな不安や恐れや疑いや、時には争いが出てくることもあることでしょう。あるいは、何もできない自分を責めて泣いている夜もあるかもしれません。
もちろん、成功や達成を喜ぶ日も。深まっていく愛を二人味わう日も。
そんな一日一日を歩んで来た彼と彼女。
この避暑地を二人で訪れた今日は、それまでのご褒美みたいな時間なのかもしれませんね。
・・・
そう感じると、二人から発せられているキラキラは、ますますまばゆいものに見えてきます。
それぞれのカップルにとって、この日のこの時間は、夫婦の若い日の1コマになるのかもしれないし、長い人生の終盤でやっと得られた、二人向き合える時間なのかもしれません。
例え二人がお別れすることになったとしても、ここでの幸せな時間は、この人生の彩りになることでしょう。
一人で来た人や、同性グループで来た人たちにとっても、避暑地でのこの時は、ご褒美の時間なのではないでしょうか。
自分を楽しませる時間。ゆとりの時間。キラキラ輝いている時間。しっとり潤っている時間。
幸せな時間・・・
こんな避暑地には、たくさんの人たちが感じてきた、プラスのエネルギーが蓄えられているのかしら?
そこにいるだけで、自然に微笑んでしまいます。
幸せな気持ちがあふれ出し、創造的な思いがめぐるのです。