今は亡きジョン・レノンの遺した名曲に『Imagine』があります。
天国も国境もなく、ただ空と地球があるということだけを想い描く。
そんな言葉が、ピアノに乗せて始まるすばらしい曲なのですが、すばらしい音楽は、人の心に深い感銘とインスピレーションを与えてくれるものです。
私たち心理カウンセラーは、心の中のイメージを使い、癒しを進めていくことが多いのですが、イメージを使う、ということにどうも抵抗があったり、そんな能力はない、と思われたりすることもあるのですが、イメージ(想像)、というのは人間がもつ、ある意味ありふれた能力ではないかな、と私は思っています。
イメージの力を使った癌の治療法があり(サイモントン療法といいます)、実際に約20年前に、脳腫瘍の子供の患者さんが主治医や家族とで行ったイメージ療法で、脳腫瘍が消失した症例がとても有名です。
また、私はSFも推理小説も子供のころから大好きなのですが、そういった分野にかかわらずフィクションは、作家の頭の中の世界から生み出されたもの。その世界を楽しむことが大好きでした。
余談ですが、感想文は上手じゃなかったな。思ってることを書ききれないんですから。
想像、イメージということは、私たちは日常的に行っていることだと思います。
それも、太古から延々と。
たとえば、満月に関して。
満月にまつわる伝説は、世界中にあるようです。
月の中に兎、は日本の伝説ですが、さまざまな国に固有の伝説があることは聞いたことがあります。
Lunaticという英語の意味は、常軌を逸したという意味ですが、Luna(月の女神)から派生した月にまつわる単語以外に、月の満ち欠けがもたらす「気分の変化」、いつもならしないようなことをしてしまったり、犯罪が多いというレポートも(真偽のほどは・・・?)あるみたいですし。
狼男伝説もあるし(平井和正さんの狼男(ウルフガイ)シリーズは愛読書だった)、満月には出産ラッシュがあるのは既知の事実でもあるし、不思議なことは確かに多いのだと思いますけど・・・。
月だけではなく、空にはたくさんの伝説があります。
太陽が東から昇る理由。月食や日食の言い伝え。星座の名前の由来。なぜ秋が終わると冬枯れになるのか。
多くの神話を彩るのは、こんな自然現象からのことが多いと思います。
意外に、国や地方が違っていても似た伝説・神話が多いのは、自然に対して感じる感性自体に、人間固有の何かがあるのかもしれません。
さて、前述のサイモントン療法で脳腫瘍が消失した小児科の患者さんのイメージ療法は(NHKで放映もされたことがあります)、がん細胞を免疫細胞や抗がん剤が、ミサイルのように攻撃する、というようなものだと記憶していますが、あるとき患者さんが母親にこう言ったのだそうです。
「敵がもういないんだけど、どうしたらいいの?」
そして検査をし、その結果癌が消失していることがわかったのだそうです。
心は、思う以上に私たちの中を占めているのかもしれません。もちろん、イメージ療法に先立つ、ほかの治療があってのことなので、勝手に消えたのではなく、効果がよりあがった、相乗効果があった、ということですよね。
他には、笑いの効果がよく言われますが、ノーマン・カズンズというアメリカのジャーナリストの話がとても有名です。
強直性脊椎炎という難治性の膠原病を、入院中に笑うことを徹底的に追求し、寛解させたという事例です。
日本にも、「笑い学会」というのがあり、会員は、医師、看護師、落語家、僧侶、教師、セラピストetc.と幅がとても広いようです。
いろんなことを想像したり笑ったり・・・。
それは子供の仕事だ、と、どこかに追いやってはいないでしょうか。成長するとともに社会で生きていくために切り捨てていった能力が、実は、自分たちをより健康に、幸せにするのだとしたら、いったい何のために人は努力を重ねて生きるのでしょうか。
努力はもちろん、大切です。
こんな風に言っている私も実のところ、意外にも努力家だったりします。
でも、年とともに「無駄な努力」は減ってきた気がします。
その分、子供時代の楽しさをまた、面白がってもいいなぁと思っているのかもしれません。
クライアントさんに、お勧めする話や映画がいくつかあります。
これは、それぞれの生き方や個性をもっと、輝かせるのに役立つと感じるので、読んでみたら?観てみたら?とお勧めするのですが、私自身がインスピレーションをいただいたものが、やはり多いです。
というか、子供のころからの愛読書、も多いんです、前述の狼男もそうなんですが。
そのいくつかを列挙しますと、
「となりのトトロ」・・・子供心について
「赤毛のアン」のシリーズ・・・女性が少女から成熟してゆくプロセス
「ジキル博士とハイド氏」・・・人の二面性
「星の王子様」・・・男性的なものの見方について
「スターウォーズ」のシリーズ・・・感情の持つ力について
「インディー・ジョーンズ」のシリーズ・・・男と女の心のメカニズム
「ハウルの動く城」・・・自己嫌悪の男女差
「百万回生きた猫」・・・人生観について
などなど。
私の心は、身長と共にずいぶん前に成長が止まったみたいで・・・。
映画や小説は、それ自体人それぞれの読み方(心理的に言えば投影、ということになりますが)があるので、そのことを伺うだけでも、いろんなことが見えてきます。
作品について見るとすれば、たとえば、「赤毛のアン」の作者はモンゴメリという、女性。「星の王子様」はサンテグジュペリという男性。
女性の私から見た観点と、男性が見た観点はまた違うかもしれないのです。
しかしこうして並べると、何か通しのテーマでできそうな気がしてきた(笑)。
少し違う話になりますが、音楽好きな私、最近では、不思議にも30年以上も前から好きだった何曲かの楽曲が、どれもラフマニノフにインスパイアされた曲だった、ということがわかりました。
当時はあまり考えてなかった、私にとっての偶然性(必然性?)がここ最近出てきて、「想像」することと、「創造」するということは、日本語の音が同じだけではなく、何か心の奥深くでつながっている感じがしたのです。
そんなことを考えていたら、これまた偶然、ラフマニノフを扱ったテレビ番組をやっていて、初演の失敗から自信喪失してしまい、心理療法を受けて再起した、という内容なのでした。
すばらしいピアノ協奏曲を作る、という暗示を受け、作った曲が「ピアノ協奏曲第2番」、私が昔から大好きな曲たちの「イメージの種」の曲でした。
偶然はなく・・・必然かもとよく言いますが、ピアノ協奏曲はとても壮大な曲で、いろんなイメージができる曲。そのエピソードを知って改めて聞くと、あれこれ浮かんでくるものがありました。
ここでは今、披露できませんが。
想像するには、もともと何らかの土台があるのかも知れません。でも、想像を絶するとか、想像すらできないことだって、あり得ます。
でもそれって、何が、誰が基準なのか・・・。
個々の心の中では今日も、インスピレーションの渦が巻いていることでしょう。それがどんな色で、形で、現されるのか、誰に見せるともなく潰えていくのか・・・それさえも、自分でさえもわからないかもしれません。
「夢かもしれない
でもその夢を見てるのは
君一人じゃない
世界中にいるのさ」
(『イマジン』詞/忌野清志郎より)
今はその不思議さや理由を辿っていくよりも、想像する力や、そこから感じられることをもっと使って、その人らしく、有意義な時間・人生を生きるお手伝いができること。
それが、今の私にとっては、一番楽しい想像です。
癌を消失させる、なんて大それたことは出来ないかもしれないのですが、「今・ここ」の等身大の自分自身をもっと大切にできるお手伝いなら、たくさん出来るな。
どうですか?
私と一緒に、想像の世界で楽しんでみませんか?
1件のコメント
私も今日から、自分の中の不安ちゃんを天使に渡すイメージを毎日続けてみようかなと思いました。
小さなことに不安になったり、自分なんていないほうがいいんじゃないかと考えたり、余計な思いに、毎日を寂しく感じてしまうのです。
いつからかな?。
きっと信じてたことが何度も何度も叶わなかった経験があるからかもしれません。涙。
けど、いくら大丈夫だよって自分に言ってみても、耐える。とか、踏ん張っているだけで、実際は、駄目だーって思っているみたいです。
本当は駄目だーなのに、踏ん張って、大丈夫だよって自分を誤魔化してるのかなって、たまに感じます。
なので、毎日、不安な私の考えを抱きしめて、天使に渡す作業を続けて、私の心の中が、いつしか、あれ?不安がいないってなったらいいなって思いました★