カウンセリングの中では、みなさんによく「両親との関係を見つめていくこと」を提案させて頂きます。
それは小さな頃に感じた両親との関係が大人になってからの人間関係にいろいろな面で影響を与えていると考えられているからです。
その中で父親との関係は「キャリア」に影響をあたえると言われています。
なぜかというと日本の社会では今でこそ、たくさんの女性の方が活躍されていますが、まだまだ男性社会の面も残っており、みなさんを指導したり上司(いわゆる指南役)には男性が多いからです。
女性の方もたくさんいらっしゃいますが、男性的な考え方が残っている会社も多いんですよね。
だから仕事で成功するには「父親との関係を良くすること」がポイントになってきます^^
そして私自身は父親との関係はあまり良くなかったと思います。
父は私を厳しく育てました。
小学生の時、少年野球をしていましたが毎日、スパルタで特訓を受けていました。
それはもう練習というよりは修行の様で家の中で夜遅くまで特訓の日々が続きました。
父親が投げた新聞紙で作ったボールを連続でバットの芯に当てないと眠らせてもらえない、父の投げたゴロを100球連続で捕らないと眠らせてもらえないのです。
100球連続でゴロを捕るって大変なことなんです(><)1球でもはずせば、また一からやり直し。最後まで気が抜けず、はずすと怒られました。
当時の私は「完璧でないお前はダメだ」と言われているように感じていました。
そんな父は早くに両親を亡くし親戚の家を転々として幼少期を過ごしてきました。
厳しい中で頑張ってきたのだと思いますし心のどこかで「完璧じゃないと自分(父自身)は見捨てられる」そんな思いもあったのかもしれません。
楽しんで始めた野球でしたがプライドはズタズタにされ野球を楽しむということも忘れてしまいましたし20歳を過ぎるまでは父のことをどこか恨んでいたと思います。
だから物心ついた頃には年上の男性、いわゆる上司という存在はいつも私のことを厳しくジャッジする人というイメージがついていました。
全員と言うわけではないのですがやはり上司の前では緊張し、あまり本来の自分を表現できなかったと思います。
でも心理学を習い始めて少しずつですが、いろいろなことに気付けてきました。
どうして私が父を恨んでいたのか?...ということも
その根源は『もっと分かってほしかった』『もっと認めてほしかった』という気持ちからでした。
本当はもっと父に褒めてもらいたかったのです。
ファインプレーをしたときに「良くやったな」と頭を撫でてほしかったのです。
でも父は照れくさかったようです。
大人になってから、そのことに気付き始め、その頃から、「ただ父は私に冷たくしたわけでもないのかもしれない」 と父の気持ちを察してみるようになりました。
すると更にいろいろなことが分かってきたのです。
父は誰にも甘えられなかったのだと思います。
小学校1年と2年の時に父親と母親を亡くし「誰にも甘えられずに過ごした」と数年前、父から直接聞きました。
そして父自身も誰かに認めてもらいたかったのだと思います。
本当は亡き父と母(私の祖父母)に褒めてもらいたかったのだと思います。
もっと甘えたかったのだと思います。
そして褒めてもらえない幼少期に「完璧じゃないと愛されない」と悟ったのかもしれません。
だから父は優しいところもありますが、どちらかと言うと物事を批判的に見るところがあります。
人に対しても批判的に見るところがありました。
以前、北京オリンピックがありましたが、その日もテレビで競技の中継をしていました。
すると父がテレビに向かって文句を言い始めたのです。
失敗した選手を ボロクソに言っていました。
10年前の私ならそれを聞いた途端、イライラして「だったらテレビなんか観なければいいのに」と父を責めていたと思います。
でも心理学を学んで分かったことがあります。
それは「相手の価値を見る」ということです。
そして「完璧でなくても愛されるんだ・大切にされていいのだ」ということです。
父は私が過呼吸で苦しんでいた時、誰よりも背中をさすってくれました。
会社が解散になり落ち込んでいる私に「これで好きなものを買いなさい」と2万円をくれたのです。
私は当時、めちゃくちゃ落ち込んでいましたが、それを期に「もうこれからは、その時その時を悔いなく過ごそう」と思い、その2万円で時計を買いました。
父は批判的なところもありますが「人の痛みが分かる優しい面」もたくさんありました。
その父がテレビに向かって文句を言っているということは何か追い込まれているに違いない。完璧にできないアスリートに子どもの頃の自分を重ねていたのかもしれません。
それならその気持ちを静めてあげたいと思い父の肩を揉み始めたのです。
そして肩を揉みながら父にこう伝えたのです。
「父さんは時々、ああやって文句を言うけれど本当は優しい人だよね」...と^^
「僕は知っているから」...って
その時、父の力がふわっと抜けたように私には感じました。
そして30分くらい過ぎた頃でしょうか。まだ肩を揉み続けていたのですが父が優しい口調でこう呟いたのです。
「お父さんもテレビに文句を言ってもしょうがないよな」...と
その時、父の背中が少し小さく見えました。
そして「この背中で父は私達、家族を支えてきたのだな」
そう思ったのです。
父は幼少期、「完璧じゃないから自分はダメだ」と責めていた様でした。
本当は「完璧じゃなくてもいいんだよ」そうやって両親に優しく抱きしめてほしかったんだと思います。
でもその両親はもうこの世にはいません。
そして私も幼少期、父に「完璧じゃなくてもいいんだよ」と言ってほしかったのですが言っては、もらえませんでした。
でも、だからこそ、息子の僕が「完璧じゃなくても父さんは父さんだよ」と伝え続けていこうと思っています。
それは同時に私自身に対してのメッセージでもあるような気がするのです。
父の思いを息子も受け継ぐのかもしれませんね^^
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4件のコメント
泣きました。
私の父ととても似ています。
私の父も亡くなっています。
お父さんのこと、恨んでいたけど、今、許せそうです。
お父さんも辛かったんだよね。だから、家族に辛く当たるしかなかったんだね。
時折、見せる優しさは、たくさん傷ついてきたから、弱い者の気持ちがわかるんだね。
ありがとう、おとうさん。
先生、素敵なお父様の話し、ありがとうございました。
先生のお父様、どんなに、幼少期つらかったでしょう・・・。それを思うと、涙が溢れました。
みんな、みんな、過去の何かを心にしまって、生きていて、みんなそれに影響されて、そこから、自分を導き出し、生きているのですね・・・
先生のお父様、私のお父さん、辛いのに、一生懸命生きてくれて、育ててくれてありがとう。
ちょうどこの問題がネックで、自分を愛せずにいました。
父に愛してもらえなかった自分は誰からも愛されないと、いつも思っていました。
だから、何でも完璧にしようと頑張り、誰にも甘えずに生きてきて、気がついたら、ひとりぼっちでした。
これからどうやって変えていったらいいのか、きっかけがつかめません。
カウンセラーさんからは、「自分の価値が低いことを証明しようと考え始めたら、疑ってみること」とアドバイスをもらいましたが、本当に難しくて。
毎日死にたいと思う気持ちから抜け出したいです。
昨日TELカウンセリングでお世話になったものです。
あれから、土肥さんの事を知ってみたいと思いコラムなどを探して読んだりしています。
たくさん、すごく参考になるいい記事があるのですが、このコラムもいいですね。
>「父さんは時々、ああやって文句を言うけれど本当は優しい人だよね」...と^^
「僕は知っているから」...って
その時、父の力がふわっと抜けたように私には感じました。
そして30分くらい過ぎた頃でしょうか。まだ肩を揉み続けていたのですが父が優しい口調でこう呟いたのです。
「お父さんもテレビに文句を言ってもしょうがないよな」...と
このやり取り、奇跡のやりとりだなぁ・・って思いました。
こんな風に転じさせることもできるんだなぁって。
私も、こんなやりとりを持ってみたいです。
今はとおいけど、意地やプライドを乗り越えて、いつかたどり着けるといいな。
共有させて頂き、ありがとうございます。
yoshiさん、コメントありがとうございます。
yoshiさんがこのコラムを大切に読んでくれている気持ちが伝わってきました。
そうですね。
気の合う人とは何も意識しなくても自然と繋がれるのに、なかなか気持ちが通じ合えない人もいますよね(><)
でも、
>「意地やプライドを乗り越えて、いつかたどり着けるといいな。」
その思いが心の中に1%でもあれば、いつかきっとyoshiさんが理解しあいたいと思っているその方と心から理解しあえる日がくると信じています。
相手のことを思えるやさしさは既にお持ちだとおもいますので、ご自身にその2倍のやさしさを注いであげてくださいね^^
応援しています。
土肥