4月のとある週末のお話です。
奥さんと夕方に写真を撮る約束があり、大阪市内に出かけることとなりました。
せっかく大阪まで行くならば、ということで、撮影前に別の予定も入れていたんです。
少し前に知人の知り合いで、ジュエリーショップのステキな店員さんを紹介されていて、
機会があれば、ぜひお会いしてみたいと思っていたのと、
奥さんがジュエリーが大好きだということあり、少しだけ立ち寄ることにしました。
ただ、お店のある場所は、いかにも高級そうなエリア。
しかも、前もってホームページで調べてみると、
【 上質を求めて、職人が一品一品こだわって作っている 】というのがポリシーで、
私たちにとっては、中に入るのにも勇気が要るようなお店でした。
お店の前に辿り着くと、思った通りの高級感抜群のお店で、
『う~ん、本当に中に入っていいのだろうか・・・』
と、ますますマゴつきながら、しばらくウインドーショッピング状態をした後に、意を決して店内に入りました。
知人の知り合いという事で、前もって連絡をしていただいていたのですが、高級感に圧倒され少々タジタジの私。
一方、輝くジュエリーに心を奪われてメロメロの奥さんは、しどろもどろしながらも、ちゃんと話をしていました。
しばらくジュエリーを眺めていると、ある事に気付いたのです。
陳列された商品は、確かに高価なモノも置いていますが、あとは予想以上に普通のお値段なのです。
えっ?、こんな値段でいいの?って感じで、百貨店のジュエリーショップと、大きな差がないのです。
その方とお話をしたりしながら、店内を見て回ったりしていたのですが、あるイタリアンブランドの商品を飾ってあるコーナーを通ったとき、
「これなんか、奥様にすごくオススメですよ~」と言って、華奢なデザインの、すごくキラキラと輝く指輪を出してくださいました。
奥さんは、「わぁー、すごいねー」と言いながら指にはめ、鏡に映したりしながら、その輝きをウットリと楽しんでいました。
さすが店員さんが薦めるだけの商品だなぁ、でも買えないしなぁ、と若干引き気味で様子を見ていたのですが、
「これはエンゲージとしても出るのですよ」との話を聞いて、ふいに私の心が動きました。
『んっ?エンゲージ?そりゃすごいよなぁ』と思い、チラッと値段を見ると、さらに、んんんっ?
エンゲージとして見てみると、けっこう破格なお値段なのです。
私たちは金銭的にそんなに余裕がなかったので、結婚の時にそういう話が出ても、
「現実を考えたら、先だよねぇ」と、暗黙の了解のようにエンゲージリングは見合わせていたのですが、
このステキなリングなら!!
そう思った瞬間、私の中で気持ちは固まりました。
「そういえば、まだ作ってなかったから、これエンゲージにいいやん!」
と言うと、逆に奥さんのほうが慌て始めました。
「え~?、いやいやそんな・・・。でも~、そんなん考えてなかったし~」
などと、言葉にならない言葉を繰り返し・・・。
まぁ私も直前まで、将来いつかは・・・くらいに思っていたので、突然降ってきた話だったわけですが、
何も買わないと思っていたお店で、思いがけず一生モノを買ってしまう事になったのです。
改めてサイズ合わせをすると、偶然にも奥さんの指にほぼピッタリ!
せっかくなので、その指輪をつけたまま、私が会計をしていると、奥さんは、感激で涙がポロポロ・・・。
他の店員さんにも、「そんなに喜んでもらえるこの指輪は幸せものだよ。とっても喜んでるよねー」
と温かい声をかけていただき、私たちにとって、思いかけず感動的なお店訪問&買い物になりました。
その後、予定していた場所に移動して、2人で写真を撮る時にも、
この指輪はしっかりと奥さんの指元で輝いて、その彩りを振りまいていました。
カメラマンの女性にも、「さっきたまたま買ってきた指輪なんですよ」と報告を。
そこでも、さらに感激の出来事がありました。
このカメラマンさん、たまたま受付の時からご縁があった方だったのですが、
(普段は受付はされないので、とても珍しい事だったとか)、
写真の撮り方が本当に上手なので、いつも写真を撮る時では笑顔になれない私をどんどん笑顔にしてくれました。
後で聞けば、とても人気のあるカメラマンだったようで、
しかも、この4月で退職され、新たな夢に向かって、東京に行かれるとの事。
最後には、「こうしてご縁があって良かったです!新たな旅立ちを応援しています!」と、夫婦で強くお伝えしたのでした。
実は予約した時、4月はこの枠しか空いてなかったので、
もしそれを逃していたなら、このとても腕の良いカメラマンさんとはご縁がなかったわけで、
この素晴らしい出会いに感謝!と思いました。
こうして、私たちにとってこの日は、本当に素晴らしいモノが凝縮された一日になりました。
当日そこで起きた事は、全く考えもつかなかったような事ばかりだったのです。
そして、私たち夫婦にとって、思い出深い1日として刻まれるのだなぁ、と強く実感しました。
私たちに、新たな記念日が1日増えたなぁとも。
記念日って、2人だけが共有する特別な日ですよね。
でも、付き合いが長くなるにつれ、忙しさからつい忘れてしまったり、「ま、いいか」と軽視されがちになります。
いつも寄り添ってくれているパートナーに対して、愛と感謝の気持ちを再確認するために、
ほんのささいな出来事でも、記念日にしてしまうことをオススメしたいのです。
なぜなら、記念日って人の記憶に残りやすいからなんですね。
人の記憶は、嬉しい、楽しい、怖い、悲しいなど、強い感情を伴っている事ほど、より記憶されやすいそうです。
ですので、2人だけの特別な日に楽しい記憶を重ねることで、2人の絆もより強くなっていくのです。
また、特別な日ということは、それに合う特別なプランを考えますよね。
でもそれはそんなに大げさなことではなく、ちょっとしたプレゼントを買ってみたり、オシャレなレストランで食事をしたり、
普段は着ないような服を着てみたり、と何かいつもと違ったことをするだけでも記憶に残りやすくなっていきます。
あと、特別な日には財布の紐も緩んで、普段は買わないようなものでも購入できてしまいますね。
相手が喜ぶなら、「ま、いいか」という気分になるものですから。
今回はちょっとインパクトの強い1日だったのですが、こういう記念日ってもっと増えてもいいなぁと思うのです。
以前のコラムにも書きましたが、私たちは出会った日を記念日として、毎月ささやかながら、その記念日を祝ったこともありました。
そう、記念日って楽しいし、その日を待っている間もうれしくてワクワクするものです。
そんな2人だけのハッピー・アニバーサリー! どうぞたくさん作ってみてくださいね。
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