ちいさなリクエストがもたらすモノ

父が今年の初めに脳出血で緊急入院しました。
一時、家族の誰もが覚悟しないとな、と感じる場面もありましたが、父は一命を取り留め、今は元気にしております。
父が入院中、一番気になった事がありました。
それは、母の事。
毎月、父の様子を見に実家に帰った時に気づいた事がありました。
それは、母の食生活が父と一緒にご飯を食べていた時よりもさらりとした物になっていたのです。
母は、自分の事は横に置き、誰かの為に頑張ってしまうタイプです。
特に、父の為という気持ちがとても強く、いつも
「お父さんは・・・」
「お父さんが・・・」
が、口癖なのです。
毎日、朝と晩は父の食事の介助に病院に向かう毎日です。
自分の睡眠時間や食事の事はあまり気にせず、父の側に居るという毎日です。
家の中に最愛の人であり生き甲斐である父が入院して居ないといことは母にとっての家というものは、どこかぽっかりと穴があいたような感覚を持っているのかもしれないな、と娘視点で母を見る事もありました。
そこで、
『・・・母をサポートする方法ってないかな?』
と考えてみました。
そして、実家に帰省した時に“何を食べたいか”を母にリクエストするという事をしてみたのです。
それまでは、ご飯のリクエストをするのは母に負担かけるかな?と思って母の味をふと食べたいと思った時もリクエストを控えていたのです。
しかし、
「お母さんが作ってくれたきんぴらごぼうが食べたいっ!!」
とリクエストをすると母の顔がパァっと明るくなりスーパーに行くではりませんか。
そして、いそいそと台所に立ち料理をしてくれました。
その時に母と一緒に食べたきんぴらごぼうの味は今でも覚えています。
それは、嬉しさと美味しさが混じった忘れられない味でした。
そして帰省の度、何度かご飯のおかずリクエストをして行く中で、母の中からもからも私に
『あれも食べさせたい!』
『これを食べさせたい!!』
という気持ちが出てきたみたいです。
実家に帰る連絡をする時に母からも
「これ食べたい?」
と伝え作ってくれるようになりました。
私の大好物を作ってくれるので食べるときは満面の笑顔で母と食事をします。
そういうやり取りをして行く中で、普段の母の食生活もさらりとした物でなくなりしっかりとした食事をとるようになったみたいです。
普段の生活の中でちょっとしたリクエストをする事、そしてそのリクエストをしてくれた事を素直に感謝の気持ちと共に受け取る事って大切なんですよね。
相手を想ってこそのリクエスト。
お願いした相手も自分自身にも負担にならない程度のリクエストをする事、受ける事。
それはお願いした相手にとって、自分は役に立っている、必要とされているという嬉しさを感じる事になるかもしれません。
そして、お願いする方は、独りで頑張らず頼るというチャレンジをしてみたり、お願いを受けてくれたときの嬉しさを味わうステキな切っ掛けになるかもしれません。
「お願いします」
「ありがとう」
そのちいさなリクエストから産まれる想いやりの気持ちやそれぞれの想いが循環になり、生き甲斐や、やり甲斐になったりするのかもしれません。
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