三島桃子です。
いつもコラムを読んでいただいてありがとうございます!
私は基本優しいお母さんだと思うのですが、時々息子(9才)に「コラッ!!!」って怒ることはあります。
まあちょっとしたことですよね。朝、パジャマを着替えずにだらだらしているとか、学校から帰ってきてランドセルを投げだしたままにしているとか。
怒ると、この頃息子に言われるんです。
「ちょっとのことで怒り方が怖すぎる」って。でも、よそのお母さんだってけっこう怖いと思うんです。
よそのお母さんが我が子を叱る姿を見るといつも、「おー迫力あるなー」って思うんですよね。だから私も少しはびしっと叱らないと、って思ってきたんですが…
でも、この頃、ちょっと考え方が変わってきました。
よそのお母さんは、確かに一見厳しく見えます。
言葉も荒かったりするんですよ、かわいいママでも。でも、そこんちの子どもはちょっと叱られたぐらいじゃケロッとしているんですよね。そしてお母さんは「ほんと言うこときかんわー」とつぶやいたりしています。
それを見て、私は、きっといつも厳しいから、子どもも慣れているんだ、たくましくなっているんだ、と思っていました。
だからうちの子も、たくましくするためにも少々は叱り飛ばさないと、と。
だけど、ふと感じたんです。
よそのお母さんと私とでは、怒る時の内面的な雰囲気が違うのではないか?と。
説明が難しいのですが…
よそのお母さんは、ぱっと見は怖いけど、内面的には、単純に目の前のことを叱っている。例えば、ランドセルを投げだしたままにしてはダメ!と。
ところが私がきつくなる時というのは、背後にもっと大きな否定感が潜んでいるのかもしれません。「ランドセルをちゃんと片付けなさい!」の言葉の背後に、「ほら、あんたはいつもこう!何度言ってもダメ!このままじゃ将来どうするの!仕事なんかできないわよ!」みたいな、人格否定とも言っていいようなものがあるとしたら…
ふとそう思った時、怒る自分の背後に、まるで、怖~い閻魔さまがぼわ~んと立ってて、私と一緒に息子を睨みつけている、みたいなイメージが浮かんだのです。
こういうのって、意外に相手に伝わるんです。
相手も頭でわかるわけではないのですが、感覚的に伝わります。
これでは怒られる方はたまったもんじゃありません。ちょっとしたことで閻魔さまが出てきて、舌を引っこ抜かんばかりの勢いでプレッシャーをかけられ、人格否定されるんですから。
私はずっとこんな閻魔様を自分の中に持っていて、息子や夫に対して腹を立てた時には、この閻魔様と共に責め立てていたようです。
まだ若かりし十代の頃、ささいなことで母と言い合いになり、私が正論をつきつけた時、母が「あんたは優しくない、お姉ちゃんは優しいのに」と言われたことがありました。
姉も母に対してけっこうな文句をよく言っていたんです。
しかも私よりも頻繁に。なのに、たまに刃向った私に「お姉ちゃんは優しいのに」って。何だそれは!お母さんはお姉ちゃんの方が可愛いんだ!って傷ついたりしてたんですが。
でも、あの時も、私の背後に閻魔様がいたとしたら。それが母を怖がらせたのだとしたら…。
ああ、何かもう、タメイキ…。
ところで、この閻魔様の正体、わかります?
これは、私自身を責めるもう一人の私なんです。
ちょっとしたことで「おまえはダメ!」と決めつけ、簡単には許してくれない怖い存在。自分責め、自己虐待の権化。
ですから、そもそも、私は自分のことをひどく責めてきたわけです。
少しのミスで自分の人格を否定し、おまえに未来はないと自分を追い詰めてきたのです。
人は、自分を責めた分だけ人を責めます。
家族など自分に近い人に対しては特にそうなります。
そもそも、かつてはこの閻魔様、ものすごく巨大だったんだと思います。
それが、私の心が癒されるにつれ小型化してきて、以前は怖さのあまり泣くしかなかった息子が、「これだけのことで怖すぎるで」と文句を言えるぐらいになってきたのではないかと。
息子の言葉でハッとした私は、つくづく考え込みました。
考え込んだものの、どうしたらいいかはわからず、ただ、何とかしないとな~…と思うばかりだったんですが…。
でも、そうやってハッと気付いたことで、私の中の閻魔様は、自然にまた少し小さくなったようです。
というのは、その後何となく気持ちが軽いんです。
自分責めというのは無意識にいつもあるものなのですが、その度合いが小さくなればなるほど、日常生活がラクになるんですよね。
そして、なんと夫に不思議な変化が。
今まで、夫のちょっとした一言で私が不機嫌になった時、「ごめん」と言ってくれることなんて絶対なくて、ただむっとした顔をして私のことなんかシャットダウン、って感じだったんですが、この頃そういう場面ですぐに「ごめん」って言ってくれるんです。
最初は聞き間違いかと思いました(笑)。
怒った時はすぐに閻魔様が背後に現れる怖い妻だったのが、「ただのいじけた奥さん」になったのかもしれません。閻魔様が出てきたら、コミュニケーションするより逃げたくなりますよね。シャットダウンされていたのも無理はなかったなと今は思います。
私の中の怖いヤツ。いつかゴマ粒ぐらいに小さくなってくれるかな。
2件のコメント
三島さんは、優しいお母さんだと思います。
だって、本当に怖いお母さんに「怖いよ」なんて、言えません。
火に油を注いでしまうようで…(笑)
私は子供の頃、母の「ガッカリした」という言葉とため息、がものすごく怖かったです。
ですが、今思えば、あれは、母の心の中の閻魔様ですね。
カラリとして、怒るのが上手な人がいますね。
私もそうなりたい。自分も他人も楽だと思うんです。
息子さんが「怖いよ」って指摘できたってことは、今の三島さんの閻魔様は、多分、息子さんより少し小さいくらいのサイズなんでしょうね(^^)
akiさん、コメントありがとうございます!
息子よりちょっと小さい閻魔様…なんか可愛い感じがして、よしよししたくなります。
でも、よしよししたらかみつかれそうでもあります。
(笑)
akiさんのお母さんから閻魔様の部分を差し引いてみると、きっとそこに現れるのは「優しいお母さん」なんでしょうね。
コラム読んでいただいてありがとうございました!