クリスマスに祈る思い

 はじめにお断りさせていただきたいのですが、今回のコラムに書かせていただいたのは、僕が個人的に感じたことであって、宗教についての善し悪し等について書いたものではありません。
 その点について、ご理解いただきお読みいただければと思います。
 もうすぐクリスマスですね。
 この季節になると、僕は必ず思い出す歌があります。
 それは、随分昔の歌なんですが、「Very Merry Christmas」(ミュージシャン:原みどり)という歌です。
 部分的に取り出すと歌の持っている本質が損なわれてしまうと思いますし、僕の個人的な解釈が入ってしまうので、歌の主旨と違ってしまうかもしれないのですが、あえて書かせていただきますと、その歌詞の中に、クリスマスといっても、誰が神様のために祝ってるのだろう、みたいに僕が感じるフレーズが出てきます。
 この感覚は、僕がずっと昔から感じていたものだったので、特に印象に残っている歌だったんですね。
 以前、何度かこのコラムで書かせていただいたことがありますが、僕は昔は、神様というものを信じていませんでした。
 僕は、日本ではとてもオーソドックスな仏教の家に生まれて、
けれども、周囲に様々な宗教がらみのトラブルを抱えて育ったために、
いつしか、神や仏、また、それを信じる人達が語る「愛」というものに不信感を持つようになっていきました。
 今も、特定の宗教を信仰していない、という意味では神様を信じていないということになるのかもしれません。
 そんな僕は、愛というものが本当にあるらしい、と感じるようになったのは、カウンセリングに出会ったからでした。
 
 愛がないという思いは、世の中にない、というよりも、自分の中には愛というものが存在していない、という感覚なんだと思います。
 以前の僕は自分が大嫌いで、そんな自分に愛というものがそなわっていると思っていなかったのだと思います。
 ところが、自分がカウンセリングを受けて行く中で、自分自身の心と向き合っていくと、愛という感覚が出て来てしまったのです。
 
 恨んでいたつもりだった親への愛。
 遠くに感じていた奥さんへの愛。
 そして、周りの人達への愛。
 自分が愛し、また、周りの人からも愛されていると気づいていったのです。
 そうなってくると、愛というものの存在を信じないわけにはいかなくなりました。
 なかったと思っていた自分の心の中に発見してしまったのです。
 今、カウンセラーとして、たくさんの方とお話させていただく中で、たくさんの様々な愛に触れさせていただいています。
 カウンセリングを通じて、自分自身の心と向き合っていく過程で、多くの方が自分の中にある愛、そして、周りにある愛を感じていかれます。
 こうした出会いがあればあるほど、僕は愛というものを感じないではいられません。
 そして、合わせて、実は、ずっと信じていなかったと思っていた、神様や仏様のような存在についても、心のどこかでは、信じていたのだということにも気がつきました。
 特定の、というわけではなくて、ただそこにいる、でも、何か守ってくれているような存在。
 こうした愛の感覚や、神様がいるような感覚というのは、僕たちは生まれながらにして、自然に持っているものなのかもしれないと思います。
 そう思えるようになって、「祈り」というのも自然にできるようになりました。
 
 ただ、大切な人や、愛する人を思い、願う気持ちで祈ること。
 そういう祈りは大切なことのように感じるようになりました。
 
 クリスマス。
 
 僕たちが、クリスマスにお祝いをするのは、もしかしたら、単なるイベントとしてとらえているだけなのかもしれません。
 けれど、どんな理由からであれ、この日には、誰もが何らかの形で、何かに祈りを捧げているように思うのです。
 そこには祈っている人の思いがあります。
 
 一人でそっと祈ること。
 恋人と一緒に祈ること。
 子どもとともに、家族で祈ること。
 
 どこかでひっそりと。
 レストランで、二人で。
 家族でにぎやかに。
 
 たくさんの、そして、様々な形があるでしょう。
 でも、すべての人に、この日はやってきます。
 それが辛いと感じる時も
 それが幸せと感じる時も
 いろいろな形で、僕たちは、何かしらの祈りを捧げたくなり、そして、表面的にはできないときにも、心の奥底では何かに祈り、何かを願っているように思うのです。
 
 初めに紹介した曲。
 僕の中で、昔と今とでは、この曲を聴いて感じる思いが変わりました。
 曲全体を聞いていると、この曲を作られた原みどりさんは、その歌の中に、神様とか祈りとかをちりばめているように僕は感じます。
 僕の個人的な解釈ですが、神様を否定している歌ではなく、むしろ、神様の存在を感じながら、この日に自然に自分の周りにある愛や祈りについて歌っている曲のように感じるのです。
 今でも毎年、この歌を聴いてしまうは、僕の心にあるこうした感覚を思い出させてくれる歌だからなのかもしれません。
 この歌には、こんなフレーズがでてきます。
「真っ白な妖精 舞い降りてくる すべての汚れを優しく包みこんで」
 今年のクリスマス。
 僕も祈ります。
 
 僕自身に、そして、僕の家族に。
 僕の周りにいる人たちに。
 日本中に、そして世界中に、真っ白な妖精が舞い降りて、すべての辛い思いや汚れを洗い流し、そして、優しく包み込んでくれるように。
 Very Merry Christmas
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この記事を書いたカウンセラー

About Author

名古屋を軸に東京・大阪・福岡でカウンセリング・講座講師を担当。男女関係の修復を中心に、仕事、自己価値UP等幅広いジャンルを扱う。 「親しみやすさ・安心感」と「心理分析の鋭さ・問題解決の提案力」を兼ね備えると評され、年間300件以上、10年以上で5千件超のカウンセリング実績持つ実践派。