島のおじちゃん

前回のコラムとはうって変わって、「好きな場所」で「好きなこと」をしている日々。
うまく言えませんが、毎日が自分で納得できているような感覚です。
目に映るひとつひとつが、きゅっとするほど愛おしくて、ここでの出来事やご縁が熟する時間もいらないほどすぐに「大切な思い出」になっていくのを実感しながら過ごしています。
だいぶ前のことになりますが、
気持ちよく晴た真っ青な空と、それよりずっと深く透明な青い海にかかる長い橋をドライブをしていた日のこと。
橋のたもとの道端に、派手な赤い文字で「ドラゴンフルーツ 完全無農薬」の看板が目に飛び込んできました。
(笑っちゃうくらいの真っピンク色の皮に可愛らしい角のようなとげが生えた、両手を丸合わせたくらいの果物。ウリ科でスイカを柔らかくしたようなみずみずしい果肉に食べられる小さい種がいっぱい入っていて、そのツブツブ食感が私は好きなんです。
)
吸い込まれるように車をとめて、無人の直売所らしきその看板へ向かいました。
青空市場というにも簡素すぎるくらいの、骨組みとごゴザを乗せただけの屋根でできた小さな小屋、傾いた机の上にピンク色のカタマリがどっさり。なんと4個くらい入って一袋100円。市場の半額以下の値段。セールに目のない私はテンション上がります。
すご~い!!
これはいいものを発見したと、お財布を開くと小銭は100円玉が2つだけ。
・・・お釣りもなさそうだしな~。(それでも十分な量だと思うのだけど)
そこへ、通りすがった地元の人らしいおじちゃんがやってきました。
ここの年配の男性は作業服を着ても、キャップとお洒落なサングラスでなんだかカッコいいんです。
「めずらしいんか~。内地(本州とかのこと)はそんなのないだろ~」
「そうなんですか?わたし大好きなんですよ~」
「こっちの人は食べんからいっぱい持ってきな~」
おもむろにたくさんあるポケットのひとつに手を突っ込んで、じゃらじゃらと小銭をとりだし10円玉を5個と50円玉を1個、手のひらにひろげて私に差し出してくれたんです。
のんきな私は、ここの農園の人かしら?と思って
「いいんですか?ありがとうございます~!」遠慮なく大喜びして受けりました。
「いっぱい食べ~」
おじちゃんは日に焼けた小さな顔から白い歯をキラっとのぞかせて笑顔で車に戻って行きました。
どうやらこの売店とはまったく関係のない人だったみたいで。
一瞬迷ったけど、ありがたく頂くことにしてもう一袋ご購入。
お店にお金を置く場所がなかったので、机の隅にそっと。
こういうことってあるんだ~・・・
その前は砂浜に写真を撮りに行ったつもりが、売店のおじちゃんと常連の女の子たちに話しかけられてそのまま飲み始って日が暮れたこともありました。
ここでは「社交辞令」とかうわべだけのものは存在しません。
みんな心から近づいて、相手も同じように受け入れてくれる。
人どうしの距離感が近いような気がします。
ほんと、この島はあたたかい。
その後、数日わたしの主食はドラゴンフルーツになったことも付け加えておきます(笑)
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新年明けましておめでとうございます。
あなたにとってよい1年でありますように。
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