迷いながら進む強さ

2012年が始まりましたね。みなさんは、この一年をどんな年にしたいと思っていますか?
もしも3ヵ月後にその目標を忘れていたとしても、一度 しっかり設定するというだけでも 効果はあるようなので、まだ作っていない人は是非 どこかに書いておくといいですよ。
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私は最近、『へうげもの』というアニメがなかなかお気に入りで よく見ています。
タイトルは、「ひょうげもの」と読むんですが、この「ひょう」というのは 「ひょうきん」のひょうで、「おどける」というような意味だそうです。
戦国武将であり、茶の湯マニアでもある古田織部という人が主人公です。
彼は、織田の家臣である、「武人」である自分と、千利休の弟子であり、茶の湯にめちゃくちゃハマっている「数寄者(すきしゃ、と読みます。
道楽者 みたいな感じのニュアンスかな。)」としての自分との間でいつも揺れ動いています。
もし、この時代の「武士」が、今で言う 「会社員」 なのだとしたら…、もしかしたら多くの人は、社会人としてどこかに所属したとたん、そういう「趣味」のようなものは どんどん自分の中の過去の物として卒業してしまうことが多いのかもしれません。
「いいかげんオトナになりなさいよ。」 とか、「そんなの 何の役に立つの。」 などなど、周りの “まっとうな”声にほだされて。
でも、この織部さんは、自分の「欲」を抑圧せずに葛藤し続けます。
本来、趣味人としての彼は、 「おもしろい」と感じることや「感動する」ということが、生きる指針なのですが、武士としての彼には、常識や上下関係によって自由にならないことや納得できないこともたくさんあるからです。
でも その葛藤って、自分だけにしかできない生き方を模索している途中だからこそなんだよなぁ、と、思うんです。
周りから見ると、さっさと自分の目標を見つけて、まっしぐらに進む姿が かっこよく見えるのは確かですよね。
でも、このアニメを見ていて、迷ったり葛藤したりできることもまた、実はとても強いことなんだと思うようになりました。
どちらもあきらめないで 両方を自分の中で戦わせるからこそオリジナリティが生まれて、自分らしさというものが生まれるのではないでしょうか。
例えば、織部さんの場合は武士ですから戦国時代に出世しようと思ったら、武の才に長けていることが必須です。
でも彼は、「武力」ではなく、むしろ、茶の湯への「貪欲」があったおかげで、難しい交渉をあっさり成功させたり、一目おかれたりして、官職にまで出世しちゃうんですね。
つまり、彼はどっちの世界でもトップではないけれど、両方の世界に通じていることで、彼にしか通れない彼ならではの「道」が出来ていくわけです。
このあたりは、今の時代のわたし達も大いに参考に出来るところなんじゃないでしょうか。
つまり、自分らしさ、というものは「迷い」そのものと言っても過言ではないのではないかと。
そして私が面白いなぁと思うのは、そんな彼を突き動かすのが、清廉潔白なヒーローのような精神ではなく、人間的な「欲」 っていうところです。
「欲」というと、なんとなく、悪いこととというか、後ろめたいようなことを連想してしまいがちかもしれませんが、その「欲」こそが、それぞれの個性を引き出してくれていることも少なくないんじゃないでしょうか。
タイトルの「へうげもの」 というニュアンスにしてもそうですが、「好き」 が全身からにじみ出ている人というのは、どこか憎めないかわいらしさを感じますよね。
「したい!」「見たい!」「ほしい!」・・・など、WANT がはっきり見えるほど、「笑」 にも繋がっていくのかもしれません。
私自身も、2012年は、今やらなくてはいけないことのほかの、自分自身の「欲」を あきらめないでいたいなぁと思います。
そして、そこに迷いや葛藤があればあるほど、自分にしか通れない道を創っている途中なんだ、ということを怖れたくないと思います。
大いに迷い、そして、力強い一年になりますように。
そして、あなたの「好き」が 誰かのためになり、あなたの「欲」が 誰かを助けることになる、そんな輪がどんどん広がる年になるといいですね。
ありがとう。
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この記事を書いたカウンセラー

About Author

柔軟な視点で問題を捉え「人間関係」「自己表現」「セクシャリティ」に関する悩みを多く扱う。 特に、現役で自身のビジネスも続けていることから、やりたいことを見つける、夢を叶える、など自己実現のサポートを得意としている。 「見た目の印象とは違い、声に癒される」との声が多く寄せられている。