最近、人の魅力とか、人の価値って何なのかなってよく考えます。
「星の王子さま」という本を読む機会があったのですが、今まで題名だけ知っていて、中身はほとんど知らない状態だったのですが、いざ読んで見ると、吸い込まれるように読みふけり、さらに切ない場面が多くて、本当に泣けました。
この話の中には、しゃべるバラの花が登場します。
そのバラは自分の美しさを鼻にかけて、王子様に自分の自慢をしたり、あれこれと要求を出していろんな事をさせるのですが、読んでいてこのバラの花が王子様に愛されているとは信じられない気持ちが伝わってきて、切なくて泣けてきます。
結局王子様は、このバラの花に愛想をつかして一度は星を出るのですが、自分の星が見えなくなるくらい遠い地球から夜空を見上げた時に、「この星のどこかに1本のバラの花が咲いているから、全ての星が綺麗に見える。」と、バラの花を回想するシーンがあるのですが、それがまた泣けてきます。
人を好きになると、その人がどんなであろうと、嫌いにはなれないし、好きなままなんですよね。みなさんも、そんな気持ちってどこかにありませんか?
昔、天空の城のラピュタの主題歌に「あの地平線、輝くのは、どこかに君を隠しているから。」と言う節があって、すごく綺麗な表現だけど意味がよく分からないなぁと思っていました。
でも、私はこの星の王子様を読んで、この歌詞の意味もなんとなくわかった気がします。
多分、好きな人と離れ離れになってしまうと、その人を遠くに感じれば感じるほど、逆に輝きが増したりするんですよね。
それから話が少しそれますが、ドラマや映画のストーリーには、学園物と呼ばれるよな、学校を舞台とする話はよくありますが、多くの人に共通する、「そこで誰かを好きになった。」という経験が、灰色の校舎や、何も無い運動場を輝かせるのかなぁと思いました。
この星の王子様にはいろんな登場人物(しゃべる動物や植物も含めて)がありますが、お話の中で王子様は様々な人を「おとな」とか「こども」と言ったりします。
この話に出てくる「おとな」というのは、「そんな奴いるか!」っていうくらいおかしいというか、ほぼ意味の無い事をしていたりするのですが、確かに子供じゃないっていう感じです(笑)
逆に「こども」というのは、寂しがり屋だったり、時として無邪気に意地悪だったり。
確かに子供っていう感じで、とりわけすごい事が出来る訳でもないのですが(バラやきつねがしゃべるのはお話の設定として)、不思議な事に、その人間臭さが魅力的だったり、愛しく感じられたりするんです。
つまり、何が言いたいのかといいますと、やっぱり人の魅力とか価値って、何か特別に凄い事が出来るとか、人より優れているとかでは無くて、その人らしさ(人間らしさ)なのかなぁと思ったのですね。
で、当の私はどうかと言うと、知らない間にもっと役に立ちたいとか、すごい事が出来るようになりたいとか、この星の王子様に出てくる「おとな」になろうと努力して、またその自分で課したハードルをクリアできないと悩んだりしてしまっていたかなぁと。。。
客観的に考えるとくだらないとか思えても、渦中にいるときはなかなかそうは思えないんですよね。
私は昼間はシステムエンジニアの仕事をしています。
そこでここ1ヶ月、どういてもうまくいかない問題を抱えて原因すら分らない状態が続いていました。
本当に自分でもどうしてうまくいかないのか分らない事が、ちっとも解決できずにスケジュールどんどんと遅れていくのです。
私は責任を感じ、出来ない自分を情けなく思っていましたが、1ヶ月経って、同僚の一人が見かねてこう言ってくれました。
「小倉さん、出来ないものは仕方ないじゃないですか。諦めましょうよ。」
そして、この次が大事なのですが、続けて私はこう言われました。
「別に、出来ない事があっても、小倉さんの事、出来ない人だなんて思いませんよ。」
そこで私ははっとしました。
自分はこの星の王子様に出てくる「おとな」になろうと努力をしていたなぁと。
何か立派な事をしなければならないと思っていたなぁと。
出来ない事は出来ないで仕方がないし、それでその人の魅力や価値が落ちる訳じゃないんですよね。
私は、そんな風に思いました。
小倉健太郎のプロフィールへ>>>