ロンドンオリンピックが閉幕となりました。
日本は金メダルの数こそ少なかったものの、全般にはまずまずの成功を収めたといえるのではないでしょうか。
特にサッカー男女の躍進は素晴らしかったですね。
一方、日本サッカーのフル代表を見ると、2014年開催の、サッカーワールドカップブラジル大会のアジア地区最終予選が行われています。
6月にも3試合が行われ、日本代表は順調に勝ち点を重ねました。
きっと(願望も含めて)予選を突破してくれることと思います。
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実は僕は、かつてはサッカーをやっていました。
いわゆる「キャプテン翼世代」と呼ばれる時代でしたが、当時はまだJリーグが存在せず(というよりプロスポーツがプロ野球しか存在せず)、日本がワールドカップ本戦に出場することすら「ありえないこと」と思われていました。
僕自身、サッカー選手になりたいと思っていた時期もありましたが、もしサッカー選手になったとしても、ワールドカップは無理だろうと思っていました。
「ドーハの悲劇」と呼ばれる、ギリギリでワールドカップ出場を逃したことがありましたが、僕としてはむしろ「ワールドカップに出られなくて当然」と思っていた節もありました。
おそらくこれは特別な考え方ではなく、当時の日本人の多くが同じような考えだったのではないかと思います。
サッカーファンとしても有名な某タレントが、おそらくは「大会の質が下がる」的な意図だったのだと思いますが、「日本はワールドカップに出てはいけない」的な発言をしていたことも思い出されます。
当時、一般的には、「日本がワールドカップに出ることは無理」と思われていた。
しかし一方で、「必ず本戦に出られる」「必ず勝てる」と信じて活動してきた人たちがいるわけです。
もちろん選手だけではなく、Jリーグを開幕させたスタッフや、その他たくさんの関係者が。
彼らには、「ワールドカップ出場」は、「不可能なこと」どころか、「夢」ですらなかったのではないでしょうか。
もっともっと近い、しっかりとした「ビジョン」としてとらえられていたものと思います。
振り返って現在、ワールドカップに日本が出られないと思っている人がどれほどいるでしょうか。
おそらく海外の人まで含めて、ほとんどの人が、日本はワールドカップ常連国だと思っていることでしょう。
でも、実は初めて予選を突破し、本戦に初出場してから、わずか20年ほどしか経ってないのです。
それは、信じてやってきた人たちの成果といえるのではないでしょうか。
日本サッカーのことを考えると、改めて「ビジョン」というものの大切さに気づかされます。
そしてそれは、思い描くだけでなく、強く信じることで、より実現へと近づくことでしょう。
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今、行われている予選を見ていて、気づいたことがもうひとつあります。
それは、今の代表の選手たちの中心は、日本がワールドカップの本戦に出られなかった時代を知らない、「ワールドカップに出て当然」と思うようになった世代だということです。
「産みの苦しみ」などという言葉もありますが、まずは本戦出場までが遠かった。
その道を切り拓いてきた先人たちの努力やいかほどのものかと思います。
その努力を下地に、「本戦に出るのが当然」と思っている世代が現れた。
そして今は、「本戦の一次リーグを突破するのは当然」と思っている世代ではないでしょうか。
ならば次に目指すは、「優勝」。
今の代表選手たちのビジョンはそこにあるように思います。
あくまで実現可能なビジョンとして。
今、たくさんの日本人選手たちがヨーロッパで活躍していること。
そして昨年、なでしこジャパンが女子ワールドカップで優勝したこと。
実力が上がったことはもちろんでしょうが、そのあたりの意識の変革というものも、現在の状態に無関係ではないでしょう。
9月からは最終予選の第二ラウンドが始まります。
代表選手たちの活躍を応援したいところです。
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明日、8/15は終戦記念日です。
戦争というかたちの是非はともあれ、先人たちが自分や子孫・未来のために努力してきたのはサッカーだけではありません。
自分が生まれた今の時代に、何を受け取り、そして何を残していくのか、そんなことを考えてみるのにいいきっかけかもしれません。
2件のコメント
共感しながら読みました。
確かに日本がワールドカップに出るのは無理だと思っていた時代がありましたね。
しかしそんな時代からビジョンを信じてずっと活動してきた人達がいたのですよね。
“その道を切り拓いてきた先人の努力やいかほどのものか”
本当ですね!言葉にならないくらいです。
あらゆるものが成長という大きな可能性を秘めていることを感じ勇気をもらいました。
脈々とした命のつながりをも感じる素敵なコラムをありがとうございます。
こむぎさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
人の想いは脈々と受け継がれていくものですよね。
サッカーに限らず、便利で平和な日常生活まで、誰かがなしてきてくれたこと、すべてのことがそうなのだと思います。
そんな想いを、次の世代へと引き継いでいきたいものですね。
共感してくださる方がいらして、とてもうれしかったです。
ありがとうございました。