私は、写真を撮ったりする趣味もないし、大事に保存しておく方でもありません。
そんな私でも、大切にしている写真が数枚あります。
そのうちの一枚は、6歳の妹と3歳の弟が映っている写真です。
いまでも、その写真をみると、その当時の気持を思い出します。
私は、妹と弟をとても可愛いいと思っていました。
月日は流れ、妹も弟も、もういい大人だけれど、やはり私にとっては、可愛い妹と弟であることには変わりありません。
年に数回会うような、そんな距離間だけれど、いつも心に確かに存在しているように、私は感じています。
カウンセリングの時、家族について質問させていただくことがあります。
「あなたが幼いころ。兄弟・姉妹の仲は、どうでしたか?」と。
現在、何も問題がなければ、「今でも、妹とも、弟とも、普通に会いますし、昔も特に仲が悪かったようなことはありません。」と、心理学の勉強をする前の私ならば、そう返答したでしょう。
しかし、証拠が挙がったのです。
押し入れの天袋の奥に眠っていた古いダンボール箱から、幼稚園の頃の連絡簿が出てきました。
それによると、「1学期より2学期としっかりしてきたなーと思っていましたが、風邪でしばらく欠席した後に急に幼児語が増えびっくりしました。
教師として、何とはなしに注意していましたが、なかなか元に戻らないようです。
友達の会話の中では、あまり聞かれませんので心配ないと思いますが。」と先生からのお言葉。
それに対して、「精神面でもまだ安定していないようです。
次女が生まれてから、時々赤ちゃんに戻るようです。
成長のプロセスと思い、あまり気にはしませんが、わがままが出る時は、どしどし叱ってください。家内と、幼稚園の先生も何かと大変だろうなと話しております。
」と父親が返信しているのです。
世に言う、“赤ちゃん返り”を、私もしていたのです。
もちろん、全く記憶にありません(笑)。
私は、三人兄弟の第一子の長女。
第二子の妹とは5歳、第三子の弟は8歳離れています。
5歳まで、両親は言うまでもなく、祖母からも、叔母からも、従兄弟たちからも、大事にされていた私にとって、妹の誕生は、大きな出来事だったことでしょう。
栄耀栄華のお姫様の位置から、一般人の位置に転落したといっても過言ではありません。
いままで自分の思いどおりに動いてくれていた家来たちが、動いてくれなくなった。
天と地がひっくり返ったような、ショックだったことでしょう。
そう思うと、過去のいろいろな記憶がよみがえってきます。
妹が、とても眩しかったこと。
妹は愛嬌がよく、だれからも好かれる、人気者であったこと。
妹は太陽で、私は月のようだと思ったこと。
妹に、嫉妬や競争心を感じたことを思い出したのです。
現在は、妹に競争心や嫉妬を感じる事は、ほとんどありません。
しかし、妹の誕生による過去の古傷は、私の心の奥底に残り、いろんな場面でうずくのです。
例えば、恋愛では年下のかわいらしい女性に嫉妬を感じたり。
職場では彗星のように現れた新入りの存在を脅威に感じたり。
妹とは全く関係のないところで、表出することがありました。
兄弟・姉妹のどの位置にいたかによって、みなさん、それぞれにストーリーは違うと思いますが、あなたの“嫉妬”や“競争心”といったネガティブな感情の始まりは、ここにあるのかもしれません。
嫉妬や競争心は、決して心地よいものではありません。
それを感じると、悪い妄想が膨らんでしまう時もあります。
そんなネガティブな感情に巻き込まれた時は・・・。
まずは、「ああ、過去の古傷が痛みを感じているんだな。」と自分の心の動き感じてみましょう。
そして時間をおき、少し冷静になってから、「その人は、その人。私は、私。」と自分の良いところを再確認してみると、少し気分が晴れるかもしれませんよ。
幼稚園の連絡簿は、赤ちゃん返りの証拠を、私に突きつけましたが、もう一つの真実を教えてくれました。
それは、妹の誕生後、私は両親に見放されたのではなく、成長を見守られていたのだということ。
「古傷は、私の思い込みにすぎない。」と、連絡簿の父の言葉は、語っているように思えたのです。
3件のコメント
私も三姉妹の長女なので、
このコラムの内容がとてもよくわかりました。
以前、職場でひとりだけどうしても好きになれなかった後輩がいたのですが、
理由がわかりました。
まったく気づいていませんでしたが、
妹に対する感情だったんですね。
ありがとうございました^^
ひろこさん、コメントいただき嬉しいです。
ありがとうございました。
なんとなく嫌い! 生理的に合わない! と思うとき、
その背後には、過去の古傷があるのかもしれません。
理由がわかれば、冷静になれるし、
対処の方法も考えられるようになりますよね♪
私も妹がいるのですが
なんだか、いいなとか思っている人に
年下の女性が表れた時には
なんだか負けたようでくやしいような
恥をかいたような気持ちになることが
過去にありましたが
読んでから、妹への感情だったのかな♪
って思いました。
自分は負けた。を認められないで
悲しいような、苦しいような
恥ずかしいような
気持ちになっていたけど
負けたんだ。私、負けたんだ。って(笑)
思ったら、楽になりました。
気づいて、認められたら楽になるものですね。