結婚して21年。もうそんなに経つんだ~と、驚きとともに、21年という時間について考えてしまいました。
人生の半分近くの時間をともに過ごしてきた夫。
わたしは、今でも、彼のちょっとした仕草や表情に「どきっ」とすることがあります。
年齢を重ねたぶん、ちょっとオヤジ臭くなったなぁとも思うのですが、そこがいいなぁとも思うのです。
時折、ふと見せる無邪気な笑顔や照れくさそうな表情の奥にある優しさを感じるとき、「あかん、惚れてしまうやん!」と思うんです。
そして、そんなとき、「やっぱり、わたしは、この人のことが大好きなんだなぁ」って思います。
もちろん、いつでもそんな気分でいるわけじゃありません。「今更いちいち言わなくてもわかるだろう」お互いにそんなふうに思って、ちゃんとコミュニケーションをとらず、気がつけば「なんでわからへんねん!!」と、どちらからともなく不機嫌になるときもあります。
ケンカもします。
お互いに相手にうんざりするときもいっぱいあります。
21年という時間の中で、「もうこの人とはやっていけない」と本気で考えたことも2度や3度ではありません。なんであの時別れなかったんだろう??と思うくらい、二人の関係が険悪になったこともありました。
心理学に出会った頃のわたしは、「彼はなにもわかってくれない」「彼をあてになんかできない」「どうせ言ってもムダ」そんなことばかり口にしていました。
夫は、わたしを苦しめる存在。そんなふうに思っていたのです。
その頃、わたしは育児と介護でへとへとでした。
不安と疲れで、心も体もいっぱいいっぱいだったんです。
でも、「助けて」とは言えませんでした。
誰に、どう助けを求めたらいいのか、全くわからなかったからです。
それまで、誰かにお願いしたり、助けを求めたりしたことはなかったんですよね。夫にすら、弱音を見せない女、それがわたしでした。
助けて欲しいと言えないぶん、イライラすることが増えました。
ヒステリックになることも増えました。
いっそ別れてしまいたい!!そんなことも考えました。
そんなわたしを見ていて、彼は彼で、そんなにオレに不満があるなら、どこへでも行ったらいい!!と思っていたそうです。
「助けて欲しいけど、どうやって助けてもらったらいいかわからない」女と、「助けたいけど、どう手をさしのべていいのかわからない」男。お互い不器用で、表現することもできずに、ただただ不満をつのらせていったのです。
そんな私たちをみて、ある人がこんなことを言いました。
「まきさん、助けて欲しいって彼に言ったことある?しんどいって伝えたことある?神様じゃないんだから、言わないと伝わらないよ」
そうなんです、言わないと伝わらないんです。
あたりまえのことなのに、わたしは言われるまで気がつきませんでした。
助けて欲しいと伝えるということは、その時のわたしにとって、全く新しい「やり方」だったのです。
「助けて」そういえばいいんだ、そう思ったわたしは彼にその気持ちを伝えようとしましたが、慣れないことだし、今更そんな・・という気持ちになるし、照れくさいし・・と、なかなか伝えられずにいました。
照れくさくって、ぶっきらぼうな口調で「保育園の準備手伝って!!」そういうのが精一杯でした。
でも、その言葉を伝えた時、彼は、笑顔になって、涙を流したんです。
そのとき、わたしは、彼はずっとわたしを助けたくて、でもどうしていいかわからなくて、苦しんでいたんだということに気がつきました。
「わたし、愛されてたんだ」と、感じることができました。
泣き笑いでぐしゃぐしゃの彼の顔。そんな彼を初めて見ました。
わたしは、うれしくなって、そして、胸がきゅんとしました。
もう一度、彼に「恋」したんです。
こんなふうに、私たちは、なにかのハードルを越えるたび、もう一度「恋」をしてきたみたいです。
年齢を重ねる、ということは、人として「成熟」していくということ。今までのものの見方ややり方、考え方が通用しなくなって「どうしたらいいかわからなく状態」が、問題の中にいる状態だとするならば、問題を乗り越えるということは、「今までの限界を超えた、新しいものの見方ややりかた」を手に入れる、ということなのかもしれません。
いろいろな問題を乗り越える度、それまで気がついていなかった、わたしの知らない「彼」の魅力、優しさ、愛、強さ・・を知りました。
その度、わたしは、彼のことが今まで以上に「好き」になりました。
「恋」している時は、パートナーのいいところをいっぱい見つけることができます。
パートナーに何かしてあげるのが楽しくなります。
世界が輝いて見えたりもします。
そして、なにより、「恋」している人はキラキラと輝いているのです。
年齢を重ねるにしたがって、「恋」のしかたは変わっていきますが、パートナーのことを「好きだな」と感じていられることは、とても幸せなことですよね。
パートナーとの問題の向こうに、「幸せ」というご褒美が待っている。そう思うことができたら、問題に向き合ってみてもいいかも?と思いやすくなる気がします。
きっとこれからも、ケンカをしたり、ケンカする気にもなれないくらいおたがいに「うんざり」したりするんだろうねぇ・・結婚記念日にそんな話をする私たち夫婦。そんな話をしながら、どちらからともなく「クスリ」と笑いがこぼれてしまうのは、「うんざり」の向こうには、「惚れてしまうやん!」と思うようなパートナーの姿があることを知っているからかもしれません。そして、これから先、何度くらい彼に「恋する」んだろう・・・、どんな彼に「恋する」んだろう・・、そんなことをふと思って、ちょっぴりウキウキしているわたしなのです。
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2件のコメント
心がすさんでいたところ、このページにたどり着きました。
読んで涙が出てきました。
私は今も昔も{助けて}が言えません。甘えることも、甘え方もわからない。助けてというと涙が出てきます。
今彼に言えません。私が素直な気持ちを精一杯伝えると、どうしていいかわからないし困るといわれてから何も言えなくなりました。
草枕さん
コメントありがとうございます。
「助けて」と伝えるって難しいですよね。まして「どうしていいかわからない」と言われたりしたら、言えなくなっちゃいますよね。
コメントを読ませていただきながら、「草枕さん」は、いっぱい頑張って、いろんな思いをぐっと自分の内に秘めてこられたんじゃないかなぁ・・と勝手に思ってしまいました。
だから、どう甘えたらいいか、どう表現していいかわからなくなっちゃったのかもしれませんね。
日頃我慢して分、甘えようとすると、つい思いがあふれてきてしまいます。
大切な誰かに甘える前に、少し心に余裕を持たせてあげるといいと思いますよ。カウンセリングなどを上手に利用して、日頃の我慢を減らしてみるのもいいかもしれませんね。
余裕ができたら、どんなふうに助けたらいいのか、わかりやすく相手に伝えて、助けを求めることができるようになっていけると思います
「草枕さん」の我慢やがんばりが報われて、たくさんの助けの手が与えられることをお祈りしています
わたしにも、応援させてくださいね
ありがとうございました