巨大な許可

 成長と共に、私たちは、自分一人で、いろんなことが出来るようになります。
誰かの手を借りなくても、行きたい場所に行けたり、ご飯を好きなように食べられたりすることは、初めてそれをするこどもにとって、それはそれは嬉しくて、わくわくする楽しいものだったはずです。
 やがて、一人でできることが増え、同時に、一人でやらなければならないことも増えていきます。
思うようにならない状況に直面し、傷ついたり、挫折感を味わったりもします。
でも、なんとか自分で解決しようと、知恵を絞り、自分を励まし、一生懸命がんばります。
そうやって、問題を乗り越えていく度に、私たちは、一人でがんばる自立的な生き方を身につけていきます。
 しかし、この生き方は、ある時期から、とても辛いものになってしまう場合があります。
そんな時期に、カウンセリングを受けてくださる方が、とてもたくさんいらっしゃいます。
「とてもいい時期に、ようこそいらっしゃいました」
と、私は、思わずお伝えしてしまいます。
 一人でがんばる生き方をしていらした方が、カウンセラーの言うことでも聞いてみようか、とか、もう無理、助けて、とか、言えるというのは、すごいことだと思うからです。
そして、もうすでに「ある時期」に迎える生き方の変化が始まっていると思うからです。
 「ある時期」とは、一人でがんばる自立のステージから、誰かと乗り越えていくパートナーシップのステージへ移行するタイミングです。
相互依存とも呼ばれ、異性のパートナーだけを指すわけではありません。誰かと組んで乗り越えていくのです。
一人でやるのが難しく感じた時、ヘルプを出し、必要なサポートを受け取る。また、パートナーが困難な状況であれば、今度はこちらがサポートをする。そんな流れのあるステージです。
 しかし、自立的な生き方に慣れている方は、なかなかヘルプが出せません。というか、がんばっていることや、今、助けが必要な状況だということが、わからなかったり、無感覚な場合も多いものです。
がんばることが当たり前になっているからですね。
 私も、心理学を勉強し始めてから、「私、案外がんばりやさんだったんだな」と初めて思いました。
いつも、自分の足りないところばかりが目に着き、がんばりを認めることなど、とても出来なかったのです。
でも、それを認めた時、がんばってきた私が報われたような気がしたのを覚えています。
 そして、助けてって言ってもいい、もう出来ないって白旗を振ってもいいってことも知りました。
そんなことしちゃダメって言ってるのは、私のルールだったことも知りました。
それに、そのやり方は、とてもいいものだとも思いました。
私みたいな人は、是非やるといいと思いました。
もちろん、がんばってるみんなも。なのに、なのに、なかなか、助けてって言えません。気づくと、がんばってひいひい言ったり、イライラしたりしてる私に、今でも出会うことがあります。
 でも、以前の私と、決定的に違うところがあります。
それは、「一人でやらなくてもいい」という巨大な許可が出ていることです。
大げさに言えば、私には、許可しか出ていないのかもしれません。実際、「助けて」と言わなくても、実際、助けてもらうことがなかったとしても、最後の切り札を私は手にしているのです。
いつだって、誰かが助けてくれるという。
 今日も、そのカードを引っ下げて、私は、安心して生きていけるのです。
がんばり屋さんには、是非このカードを、手に入れていただき、あなたの人生を、あなたらしく闊歩していただきたいと思っています。
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この記事を書いたカウンセラー

About Author

「自分らしく自分の人生を生きることに、もっとこだわってもいい。好きなことをもっとたくさんして、もっと幸せになっていい。」 そんな想いから恋愛・夫婦関係などのパートナーシッップを始め、職場、ママ友などの人間関係、子育てに関する問題など、経験に基づいたカウンセリングを提供している。