こどもの頃、父は、いつも不機嫌で、はしゃぎすぎると、静かにするようによく叱られました。
1台しかなかったテレビは、いつもニュースと野球で、うんざりしましたし。仕事でいつもいない人。遊んでもらった記憶もない。
典型定期な「昭和のお父さん」だったんですね。
大きくて、強い父を、よくわからなくて怖いと感じていた私は、「男性」のことも、そう感じていたようです。
男っぽさが、全面に出ているタイプは、かっこいいより、怖いと感じていました。
ですから、女友達みたいに、気楽に話せる優しいタイプや、話しの面白い男の人が、近くにいて楽だと感じました。
夫も、まさに、そういうタイプでした。
父と真逆なタイプ。
ところが、
ところがです。
反面教師だと思っていたものが、どうも違うようだと、最近、気が付いたのです。
私は、結婚する前に、夫とよく一緒に美術館へ行ったり、劇を観に行ったりしました。
同じ絵や、劇を観たのに、彼の感想は、飛んでもなく自由で、私には、まったくもって思いつかないようなことを、毎度しれーっと言うのです。
興味深すぎました。
「なんだか悲しい気持ち」なんていう厄介なものにも、彼は、つきあえる変人、いえ、優しい人でした。
とにかく、彼の持っているものは、私がずっと欲しかったものなんだけど、父が持っていなかったから、もらえなかったもの。そうずっと思ってきました。
しかし、ちょっと待てよ。
なんだか、そうとも言い切れないよな
エピソードが出てくる出てくる・・・
そういえば、
こんなことがありましたっけ。
私がお嫁に行くと決まってから、目に見えて優しくなってしまった父。私の実家は、駅まで歩いて、5分。車だと、2分くらいで着いてしまう距離を、父は、送ってくれるようになったり。
孫ができてからは、さらに別人のようで、遊びに行けば、気の毒なほど、孫の言いなりに(笑)
この「優しさ」は、
もともと父になかったものなんでしょうか。
父は、絵が上手かったと聞きます。
お気に入りの絵や写真の切り抜きが、今でも、家のあちこちに貼ってあります。
ギターが1本あって、昔、弾いていたみたい。ピアノもバイエルを全部やったらしい。カラオケ教室や発表会は、欠かさず行ってるし。大正琴もやってる。
音楽や絵などに対する、この「感性」って、
父の中に、私のお父さんになる前から、
あったってことなんじゃないの。
父が、ほんとにたまーに作ってくれたカレー。リンゴがたくさん入っていて、甘くて、母のカレーとは全然違ってたっけ。いつもと違うカレーに心が躍ったんだった。
この「自由さ」って、
私が、欲しい欲しいと言っていたもの
全部、父が持っていたものだったみたいです。
父が、忙しくて表現しなかったか、
私が幼くて気が付かなかったか、
それは、それで、仕方なかったこと。
でも私は、それらを全部もらっていて、私にあったから、それを持っていた夫に、アンテナが反応したということかもしれない。
これは、面白い発見でした。
なかなかいい気分になる発見。
我が子たちにも、自由さ、優しさ、好奇心などなど。
じーじからの贈り物
パパからの贈り物
私からの贈り物
全部、全部、受け取って、生きてって欲しいなと思います。
よいお手本になれるよう、
贈り主もはりきって生きます!
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