私は悪い人なんです。

カウンセラーをやっておりますと、日々いろいろな方に、「あなたは何も悪くないですよ。」とか、「あなたは冷たい人ではないと思います。
むしろ優しい方だと思いますよ。」なんてお伝えする事はとても多かったりします。
もちろん、そうお伝えする以上、そう思う根拠もあっての事であり、本当にそう思っているからこそ、お伝え出来る事でもあります。
そして、これは当たり前の話ですが、私がそんな風に伝えなければならないのは、ご本人にとっては、自分は悪人では無いかとか、自分は冷酷な人間ではないかと思い込んでいたりするからでもある訳です。
けれども、人って、実際に何か悪い事をしたからと言って、それを悪いと思うかどうかはまた別問題だったりします。
そもそも、本当の意味で悪い人がいたとしたら、悪い事をすることに対して、それを悪いとも思わないと思うんですよね。
私達は、大なり小なり、人を傷つけるような事をしてしまうと、自分の事を悪く思ってしまうと思います。
そして、本当は、そんな風に自分を悪く思ってしまう気持ちこそが、良心だったりする訳です。
親鸞聖人と言う方の言葉に、「善人なおもて往生をとぐ いわんや悪人をや」という言葉があります。
私は、初めてこの言葉を知ったとき、全く意味がわかりませんでした。
でも、最近この言葉を思い出して、「あぁ!なるほど!」と思えるようになりました。
私は仏教の専門家ではないのでこの言葉の本当の真意はまた違うかもしれませんが、自分の事を悪人だと思えるのは、それは、まさに良心がある人なんだから、そんないい人は、往生(死んでから仏様の国、極楽に行く事のようです。
)しても当たり前だなぁという意味なんだろうと、素直にそう思えます。
何が言いたいのかと言いますと、もしも過去にしてしまった何かに悔んでいたり、自分を悪い人だと責めている人がいたとしたら、誰にでも失敗はあるんだし、どうか自分を責めるのをやめて、「これからは、もっと別のやり方をしよう。」それだけでいいんだと思います。
本当に責められる事が必要な時は、きちんと誰かから指摘されるものだと思いますしね。
もちろん、そうやって今度は間違えないようにしようと思っても、やっぱり何度も繰り返してしまう事はあると思います。
でも、そのたびに、何度でも何度でも、間違いを直していけばいいんだと思います。
ほんとうに、私達って失敗ばかりですよね。
ちなみになんですが、私のカウンセリングで、自分を悪者扱いしてる方で一番割合が多いのは、「子供を想う母親。」かなという気がします。
「お子さんが就職出来ないのは私の育て方が悪かったから。」
「結婚できないのも、私の育て方が悪かったから。」
と、お子さんが幸せでないと感じると、全部自分の育て方が悪かったせいだと責めてしまうお母さんは、本当に多いのです。
(これを聞いて、「私そんなに自分を責めてないわ。」なんて自分を責めないで下さいね!)
けれども、かくいう私も、自分の事を悪い人だと思い込んでしまう事はしょっちゅうです。
そして、恥ずかしながら、自分が一旦そう思い込むと、誰かに「そんな事ないよ。あなたはいい人だよ。」と言ってもらわないと、それが単なる正すべき間違いであるなんて、気が付きもしなかったりします。
だから、自己嫌悪や、自分を責める気持ちに苛まれた場合は、そんな時こそ、誰かに打ち明けて欲しいと思うんですね。
「私は、自分の事を悪いと思っています。
きっと幸せになんてなれません。」ってね。
そして、その人がなんて言うのか、ちゃんと聞いてみて欲しいのです。
何が言いたいのかと言いますと、「一人で悩まないでね。」と言う事が言いたかったんです。
伝わりましたかねぇ?
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