私は、カウンセリングをしているときに、しばしばこう思います。
それは、
このクライアントさんは、もっとご自身のことを認めてもいいのになぁ
ということです。
カウンセリングを受けるということは、確かに、クライアントさんには悩みがあったり、もっとこんなことが出来る自分になりたいとか、パートナーが欲しい、パートナーともっと幸せになりたいというような課題があるわけです。
悩みはもちろん解消したいですし、こうなりたいという自分をイメージして、それに向かって努力することも、とても素晴らしいことだと思います。
でも、多くのクライアントさんは、「今既に持っている自分の魅力」に気づいていないんです。
悩みがあるときは、人間は、多かれ少なかれ自分自身を責めています。
こんな悩みを持ってしまったのは、自分が間違ってしまったからだ、自分に能力がないからだ、自分の性格に問題があるからだ、というような感じですね。
また、もっとこんなことが出来る自分になりたい、パートナーが欲しい、パートナーともっと幸せになりたい、というようなポジティブな目標を持つのはとてもいいのですが、その裏では、
こんなこともできない自分はダメだ、パートナーがいない自分はダメだ、パートナーと上手くいかないのは、自分がダメだからだ
というように、今できていない自分を責めていることがとても多いんですね。パートナーがいたっていなくたって、その人の価値には、何ら関係はないはずなんですけどね。
どうしても、自分のダメな部分を見てしまって、自分の既に持っている良いところは、見失ってしまっていることが多いんですね。
そのため、カウンセリングでは、私は、クライアントさんの価値をたくさんたくさん伝えていきます。
やさしさ、思いやり、配慮、勇気、まじめ、明るさ、話しの分かりやすさ、コミュニケーション能力、継続力、判断力、推進力、筋を通す、合理的、ユーモア、謙虚、思慮深さ、素直さ、などなど。
カウンセリングをしてきてよく分かったのですが、価値のないクライアントさんって、本当に一人もいないんです。
クライアントさんは、100%の確率で、必ず価値をたくさん持っています。
とはいっても、クライアントさんに価値を伝えても、なかなか受け取ってくれないことは多いですね。「いやいや、私はたいした人じゃないですよ」という感じで。
カウンセラーさんだからそう言うんでしょ、とクライアントさんに言われることもあるのですが、でも、私自身がウソをついていないので、罪悪感を感じずに、自信を持ってクライアントさんに価値を伝えていけるのです。
とは言っても、自分の魅力を受け取るのって、難しいですよね。私自身も今のままの自分を承認しようといつも心がけているのですが、なかなか難しいものです。
例えば、先日こんなことがありました。
あるとき、私は、カウンセラースクールの仲間の女性の恋愛相談に乗っていました。
彼女に男性の心理について話したり、大塚さんなら相手の女性にどのように対応するかというような質問に答えていきました。
そうしたら、あるとき、私のことをこう言ったんです。
「○○ちゃん、いいなぁ~」と。
○○ちゃんは、私のパートナーです。
大塚さんがパートナーである○○ちゃんがうらやましい、と言ってくれたんです。
そのとき、私の意識には、「ここで自分を承認する練習をしよう」という言葉が浮かんできました。
そして、その女性にこう言いました。
「だって、俺イイ男だもん!」
そうしたら、すかさず彼女はこう言いました。
「ホントにそうだよ!!!」
彼女のこのセリフを聞いたとき、私は、とても違和感を感じたんです。
むしろ、
「オッサンがアホ言ってるよ」とか、「はいはい、アホにつける薬はないね」というような反応が返ってきたほうが、自分にとってはしっくりきたと思うんですね。
心はオートマチックに反応してしまいます。
自己承認しようと思い立って言ってみたはいいものの、心はウソをつけないようで、とても違和感を感じてしまいました。
残念ながら、私は、自分のことを、あまりいい男だとは思っていない部分があるようです。
この私のエピソードは、
「周りの評価と、自分の評価は必ずしも一致しない」
ということの一例だと思います。
そして、この自己評価の低さが、問題を作ってしまうことがよくあるんですね。心は不思議なもので、自分が思ったことをそのまま実現しようとしてくれます。
そして、意識的にしろ、潜在意識で思っているにしろ、自己評価が低いと、その自らが付けた低評価の場所に自分を持っていってしまうんですね。
たとえば、私なんてダメだから、パートナーが出来たらパートナーを不幸にしてしまう、と思っていたとしたら、それが実現してパートナーが出来ないとか、俺は罪人だから苦労しなければならない、と思っていたとしたら、それが実現してハードワーカーになってしまったりとか。
本当は、既にたくさんの価値をみんなが持っているんです。
今既に持っているわけですから、何の努力も、何の苦労もいらないんですよ。ただただ、今ある自分の価値を認識していくだけでいいんです。
そうすると、心が反応して、価値ある自分にふさわしい世界に、心が連れて行ってくれると思いますよ。
もちろん、今持っていないものを持つように努力するということも、素晴らしいことだと思います。
ただ、その場合も、今持っていないことにフォーカスして自分を否定するのではなく、既に素晴らしい自分が、さらに素晴らしい自分になるために努力する、というイメージを持ってほしいんですね。
もちろん、人間ですから、たまには自分を責めることもしてしまいます。
もちろん、それでもかまいません。思い出した時だけでいいですから、意識して、自分が既に持っている価値を思い出してみてくださいね。
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