容姿や指の先、細かくいうと指紋の形まで、双子であれば似ている所も
あるでしょうが、自分と同じ姿をしている人はこの世の中には存在しません。
だけど価値観が似ているなどで、自分が考えたり感じたりすることが相手も
同じだと考えてしまうことがしばしばあります。
そのせいで良かれと思ったことをしてあげたら喜ぶどころか怒られてしまったり、
または一緒に話に乗ってくれるだろうと期待して楽しかったことや嬉しかった
出来事を話しているのに、相手は全く反応がなくて「つまらないな・・」と
感じてしまったり・・。
これらは友人や同僚・上司との関係で起こりやすく、ましてや夫婦関係や
彼(彼女)ならば、異性であるからこそ思考パターンや感情も異なって
いますから余計に気を配ることが大切になってきます。
人と自分は違って当たり前。
これを私達はついこのことを忘れてしまいます。
例えば、ある出来事で相手に腹が立って怒りが出ている時。
「どうしてあんな態度を取るの?」
「どうしてあんな言い方をするんだろう?」
その後に続く言葉は
「私(僕)が悪いから?」
「私(僕)が何か変なことを言ったから?」
このように悲観的に考えてしまうことが大半を占めてしまいます。
そう考えると悲しくなるし、傷つくのは嫌だからこそ「私だったらあんな言い方は
しないのに・・」と自分の見方を基準にして相手を当てはめ、「そんなことはない、
向こうが悪いんだ」と相手を悪者にするようになります。
「自分を責めるか、相手を責めるか」の二つの選択肢しかなくなってしまうん
ですよね。
そうではなく、もう一つの選択肢を作って感情にワンクッションおいてみる。
「あんな態度を取ってしまうのは何があるんだろう?」
「あんな言い方をするのは何があるんだろう?」
同じ土壌でも違う種類の種を蒔かれたら違う花が咲くように、相手の土台になって
いる考え方や感情の持ち方・表現の仕方などが違っていると、自分が考えていた
ようなものでない行動や態度・言い方をして当然だと思うんです。
そう考えると相手からしてみれば自分の根本になる観念に沿った行動だからこそ
間違いではないし、自分の考えや感情に対しては「本音」の部分かもしれない。
自分の心に誠実なんですよね。
例えると、国と国の風習や文化の違いを思い浮かべてみてください。
それが相手との間にもある、ということです。
もちろんどんな観念や思考があるのかを完璧に察してあげることは無理ですから、
ぼんやりと「何かがあるんだろうな・・」と感じてあげる。
そうすることで自分も相手も傷つけることがなくなるし、関係を悪くする原因を
和らげることになり、自分の許容範囲も広がってきますよ。
from 中野 知枝 / Counseling Service