カウンセリングをしていると、人とうまくコミュニケーションが
とれない、と悩んでいる方が結構いらっしゃるようです。
「どんなことを言ったら面白いだろう・・・?」
「相手はどんな答えを望んでいるんだろうか?」
「いったい何の話をすればいいわけ?」
相手に満足してもらおう、無難に会話をしようと思う度合いだけ、
緊張してしまう自分が現れだして、それがうまくいかない結果に
つながってしまう・・・。
この悪循環をわかっていながらも、抜け出せずに困っていらっしゃる
方が実に多いんです。
皆さん、とても真面目な方なんですよね。
相手に気分良くなって欲しいという気持ちや、嫌な気分になって欲しくない
という思いが、会話を成功させたい!というプレッシャーになっている
ようです。
そしてそこにはもう一つ、失敗することへの怖れが隠れています。
失敗してしまった自分が想像できないから、失敗するのが怖い・・・。
見えない恐怖、って怖いですよね。
それは例えるならば、自分の横でどんどん風船が大きくふくらんでいく
ようなものです。いつ割れるのかわからない。
もしもその時に自分が針を持っていたら、風船に針を自分で刺して、
割れるタイミングをコントロールしたくなりませんか?
いきなり割れるより、覚悟して割れてくれたほうがまだいいですからね。
そういった理由で、なぜか相手の前でわざと失敗してしまう自分がいる、
という方もいらっしゃいます。
まず前提として、どんなに人間関係が円滑そうに見える人でも、
失敗したことの無い人なんていないんだよ、という側面を見てくださいね。
次に、今回のようにコミュニケーションに問題意識を抱えている方の中で、
もしも今までの人生の中であまり失敗したことがない、と感じている方が
いらっしゃるなら、失敗をしてこなかったことが失敗だったのかもしれない、
と考えてみてください。
ではどうすればこの状態を断ち切ることができるでしょうか?
ここでは、真面目だという魅力を最大限に生かし、発想の転換をすることを
お勧めします。
今後、苦手な対人関係のシチュエーションに遭遇したら、
「どんなことを言えば私は失敗できるだろうか?」
ということを、真面目に一生懸命に考えてみてください。
ここでしてはいけないのは、「何も言わずに気まずくなる」という
選択肢を選ぶことです。
どうせ失敗するならば、何かを言って失敗しましょう。
そう考えながらも、会話がうまくいったとしたらそれはラッキーです。
自分の運の良さを誇りに思いましょう。
もしも考えたとおりに失敗したとしても、気落ちしないでください。
だって、思惑通りに失敗することができたんですから。
失敗することに成功したんだから、すごいです(笑)。
失敗することを一生懸命に考え続けた結果、馬鹿馬鹿しくなるかも
しれませんね。それでも全然かまわないです。
「馬鹿馬鹿しいわ〜」という気持ちが緊張を解きほぐし、心の余裕を
作ることが出来ると思います。
逆説的な考え方ですが、面白いエクササイズだと思いますよ〜。
from 高橋 大