夫婦の間で起こる問題は様々ありますが、「考え方が違う」「価値観が合わない」というのは時に夫婦関係の根幹を揺るがす問題に発展する場合があります。
何だか違う、そんな違和感を感じる時、あなたはどんな態度を取っていますか?高齢な父親のために実家に帰省する私を見送ってくれる夫との間に感じる小さな違和感。感謝はしているのだけれど、何だかしっくりこない。そんなご相談に夫婦関係の問題解決を得意とするカウンセラーがお答えします。
◎リクエストを頂きました◎
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60代女性です。夫婦のコミュニケーションの取り方でお伺いします。
私は高齢の父が一人暮らしをしているため毎月様子を見に車で行きます。
夫は道中を心配して着いたら電話を入れるように言います。ほとんどはできるのですが時に忘れたり、遅れたりします。
実家に着いて20分ぐらいすると夫から電話が入りすぐ電話を掛けなかったことを怒ります。また私は仕事上出かける事も多くその予定をカレンダーに記入するように言われていますが、それを忘れて前日に口頭で言ったりすると怒ります。
仕事と割り切ってしまえば忘れないように手帳に書くとか方法を講じることができますが私たちは夫婦であり、もっと穏やかに過ごしたいと思っています。
仕事の事は忘れないのに夫との約束はつい忘れるというのは甘えかもしれません。でもなんだか気持ちがしっくりしない自分がいます。
(※一部編集させていただきました)
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リクエストありがとうございます。
担当させていただきます安東秀海です。どうぞよろしくお願いします。
高齢な父親のために帰省する妻とそれを快く見送る夫。お互いを思いやるご夫婦の様子が垣間見えてくるようですが、そっと耳を澄ませば言葉にならないお二人の心の声が聞こえてくるようです。
「心配してるんだから実家に着いたらまずはすぐに電話をすべきだろう。それが無いのは私の事を大事に考えていないからじゃないのか?」
「私だって父親の世話や仕事で忙しいんだからすぐに電話できないことだってあるわ。それを分かってくれないんじゃ、何だか理解されていない気がする」
リクエスト特集、今回は夫婦間のコミュニケーションについて考えてみたいと思います。
パートナーとの違和感
夫婦の間で起こる問題は様々ありますが、「考え方が違う」「価値観が合わない」というのは時に夫婦関係の根幹を揺るがす問題に発展する場合があります。
例えば「朝食はパンとミルクで軽めに」という妻と、「朝はしっかりご飯とお味噌汁が食べたい」という夫。単に食事の習慣や嗜好が違うというだけなのですが、ふたりの関係に違和感が生まれ始めると、こんなちょっとした「違い」が乗り越えられない大問題のように感じられることもあります。
我慢している、と言い張る夫
パートナーとの間に違和感を感じる。
そんな時あなたは、どんな態度をとるでしょう?
男性の多くは、そもそも違和感そのものを感じにくい傾向にあります。時にわがままや鈍感に見えることさえあるかもしれません。
いっぽう、女性は敏感ですからふたりの間に感じる違和感を改善しようと様々なアプローチを試みます。
そしてそんなアプローチを、案外男性はすんなり受け容れたりもするのですが、ここで注意しなければならないのは、違和感を解消するためのアプローチを納得して受け容れているとは限らないということ。
実は無意識のまま、自分の考えや価値観を遠ざけて、妻や彼女の提案に従っているというケースがあります。
そして突然、「俺ばかり合わせている」「我慢している」と怒り出したりするから厄介です。
まさに青天の霹靂。
黙ってるから納得しているんだとばかり思っていたのに、と言いたい気持ちを胸にしまって謝まらなければ収拾がつかないこともあるでしょう。そしてそんなやりとりが続くと、何だか彼を理解できなくなって「夫婦なんて近くて遠い、所詮は他人同士」なんて諦めてしまいたくなるかもしれません。
察して欲しいという期待
夫婦の関係において、問題意識が高いのは圧倒的に女性です。勇気ある女性は、よりよい関係を育むためには多少の痛みがあってもそれに向き合い解決することを選択します。
いっぽう男性は目の前にある課題が飲み込める程度なら何とか飲み込んで表面化しないようにします。朝は味噌汁がいいと思っていても、用意されたパンやミルクを黙って食べるし、夫婦関係を円満にするためにそれも必要な歩み寄りと考える。
ところがそんな時、心のどこかで隠れた思いを「察して欲しい」と考えていたりします。
そして、そんな察して欲しいという静かな期待がいつまでも叶えられないと、突然火が着いたように怒り出して「俺は我慢してる」と言い始めるわけです。
父親のために帰省する妻とそれを見送る夫。
そこにはもちろん、妻の気持ちを尊重したいという気持ちがあります。
けれど、「実家に着いたらすぐ電話しろ」と怒る彼の心中には何か、「察して欲しい」思いが隠れているのかもしれません。
こんな風に言うと、何だか女性ばかりが男性の気持ちに配慮しなければならないようで苦しくなってしまう、と感じられるかもしれません。察して欲しいのはわかったけど、怒ったりどなったりされるとそんな気持ちもなくなってしまうこともあるでしょう。
そして「忙しいんだからすぐに電話できないことだってあるのをわかって欲しい」と言いたくなる。口にはしないけど。。。
そうです、ここにも「察して欲しい」という思いが隠れています。
私たちは皆、ほとんど無意識のままにパートナーへの静かな期待を抱えているのかもしれません。それは、夫婦なんだから、パートナーなんだから、私の(俺の)この気持を察して行動して欲しいという期待。
そして、こういった期待の多くは叶うこと無く不満となって蓄積していくのが常です。
そんな時、まずは隠れた気持ちの存在に気づき、それを言葉で伝えてみてはどうでしょう?
夫婦の間に生まれるコミュニケーションの問題は、「察して欲しい」という期待を手放すことで解決に向かうのではないでしょうか。