2歳前後の子供は、心が「お母さんといっしょ」という状態から、「自我(エゴ)」が芽生え、お母さんとは別の一人の人間としての「心」を持つようになります。自分がお母さんと別人格であることを「イヤ!」と否定することで主張します。
お母さんの方は、よかれと思って子供のために世話を焼くのに「イヤ!」と反抗されるので、特に、自分がこだわっているところでは、子供に自分を否定されたように感じて傷つきます。ただ、この「イヤ!」は子供の自己主張の芽なので心が健康な証拠でもあります。
反抗期の子供を許すには、お母さん自身が、「こうあるべき」という縛りを手放して、自分のワガママにOKを出せるといいですね。そのためにも、自分を褒めてくれる応援者を探したいものです。
◎リクエストを頂きました◎
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現在、1歳5ヶ月の息子がいるのですが、息子の食事の時間が苦痛です。お腹が空いているはずなのに、一口食べて気に入らないと食べないし、昨日までよく食べていた同じものでも食べません。食べないので、お腹が一杯にならずに他のものを欲しがります。
コントロールしようとしてはいけないと思いつつも、毎日のことなのでとても辛くなります。一口でも食べてくれればいいと自分を納得させようとしても、作ったものの半分も食べずに捨てることに苛立ちます。自分が「ムダを許せない」性格であることから、余計にイライラするのかもしれません。
このままでは息子はますます食事の時間が楽しくなくなってしまうのではないかと不安です。私の何を直したら、息子との食事の時間が楽しめるようになるのでしょうか?
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リクエストをありがとうございます。
お子さんが1歳をすぎて乳飲み子から幼児になるR2歳は、お母さんにとっては試練の時ですね。これまで手や目をかけなければならない煩わしさはあったものの、行動半径は限られ、寝ている時間も比較的長かったのに、1歳を過ぎると自発的に動くものの、まだ言葉が十分に通じないため、お母さんは振り回されてクタクタになります。
そんなお母さんたちを見てきて、私は「子供が3歳になるとお母さんが若返るなぁ」と常々感じてきました。それくらいこの時期の子育ては大変です。特に、一人目のお子さんをお一人で見ているお母さんは、子供をコントロールできない無力感に落ち込むことが多いようです。この記事が、そんな「頑張っている」お母さんたちへの応援歌になってくれれば、と願ってやみません。
「魔の2歳児」は「イヤ」が「ご挨拶」
R2歳は、「魔」の2歳とも言われるくらい、お母さんにとって厄介な存在です。行動半径が広くなるけれど、善悪判断はおろか、何が危険かもわからないうえに、言葉が通じないので、守ろうとするとお母さんは文字通り追いかけなければならず、ヘトヘトになります。さ
らに辛いのは、そこまで子供につきあっているのに、二言目には「イヤ!」と反抗されることでしょう。食事を作って口に運んでやれば、「イヤ!」と横を向き、スプーンを叩き落とす。汗をかいただろうから着替えさせようとすれば、「イヤ!」と逃げ回る。
よかれと思ってしてあげることのことごとくにダメ出しされると、さすがに心も萎えます。そんなときに「お母さんがしっかりと言うことをきかせなければ、、、」なんて声なき声が聞こえるわけで、泣きたいのはお母さんの方かもしれません。
生まれたばかりの赤ちゃんは、身体はお母さんから分離したものの、まだ「個」としての心は未熟で、お母さんの心と一体化していると言われます。心は「お母さんといっしょ」なんです。それが、次第に「自分」を意識し始めるのがこのR2歳の「イヤイヤ期」です。
この頃の「イヤ!」は、本当にイヤなのではなくて、単純に「自分」が「お母さんといっしょ」ではないことを確認しているのです。生まれたてホヤホヤの「自我(エゴ)」が「(お母さんと違う)僕はここにいるよ!」と叫んでいる感じでしょうか。
「イヤ!」が拒否ではなく、未熟な自己主張なのだとわかると、本当に危険なことや周りの迷惑にならないかぎり、「あぁ、イヤなのね。ハイハイ」と軽く流せたりします。大目に見ることができると少し楽になりますね。
自分のワガママを許せますか?
それにしても、この「小さな暴君」をどう許したらいいのでしょう?育児のこの時期にストレスをため込む方は、主婦業も母親業も(場合によっては仕事も)「ちゃんと、ちゃんと」やりたい、生真面目な方が多いです。食事も、子供の身体のことを考えてこだわって用意し、お掃除もこまめにしようと頑張っているだけに、その努力を根こそぎひっくり返す2歳児に怒り心頭になるのです。
真面目な「いい子」として頑張ってきたお母さんにしてみれば、2歳児の傍若無人さは理解を超えます。自分が自分に禁止してきたワガママを次から次へとしでかしてくれるのですから。お母さんの思いやりや努力を無邪気に投げるのを見て、これまで自分が人との関係性の中で、気を遣いすぎるくらい遣ってきたことや、イヤでも我慢して受け容れ、引き受けてきた人生そのものを否定されているように感じるのではないでしょうか。
ムリして「いい子」をやってきた悲しみが爆発するようなら、我慢してきた自分にもっとOKを出すタイミングにきていると言えます。
大人が2歳児のように傍若無人に振る舞えるはずもありませんが、この無邪気さから何かポジティブなメッセージを受け取ろうとするなら、「こうでなければならない」という思い込みから自由になってみましょうよ、ということではないでしょうか。
何でもかんでも「イヤ!」は2歳児ですが、大人でも、本当にイヤなものはイヤでいいのではないでしょうか。もうちょっとでいいから、自分のワガママを許してみませんか?自分に対するコントロールを手放して、自分のワガママを許せるようになると、2歳児の横暴も少しゆとりをもって見ていられるようになります。
自分を褒めてくれる人を見つけましょう。
3歳になれば子供も道理がわかるようになり、育児のストレスは多少軽減しますが、それにしても一人でこの「イヤ!」攻撃を受けとめるのは大変です。お母さんの自己愛を支えてくれる目が欲しいです。自分を褒めてくれる人を積極的に探しましょう。
パートナー、友人、親兄弟姉妹など、あなたの大変さに共感してくれそうな人はいませんか?「少し凹んでいるから、励ましてほしいの。私のいいところを褒めてくれないかしら?」とお願いしてみるといいですよ。思いがけない人が、あなたをとても温かく見ていてくれたことに気づいたりします。自分がこんなに頑張っていることを、あなたご自身も認めてくださいね。
(完)