「真似をされると嫌な気持ちになる」というご相談を頂きました。
その理由のひとつとして「自分が大切にしているものを横取りされた」という心理が働いているのでしょう。
ただ、真似をする側は真似をする相手から何かを奪い取ってやろうなどと思っているわけではなく、決して悪気はないのですが、自信のなさや不安などから本当の自分というものを見失ってしまい、その不安な気持ちを埋めるために誰かに同化しようとするのです。
今回の心理学講座では真似をする側の心の奥底にあるものを見ていくと共に、真似をされたときにどのように考えれば、イライラしないかもお伝えさせて頂きます。
◎リクエストを頂きました◎
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私の知人のことです。彼女と話をしていると、彼女が、私の口調やセリフなどを真似て話をしてくることが度々あります。「あれ?それはさっき私が言ったこと」とこちらは気がつくのですが、どうやら彼女は気づいていない様子です。まるで自分の言葉のように、ひどいときは自分が思いついたかのように、私と同じ口調で同じ内容を話し始めます。
また、自分のブログを見てほしいと言われて見てみると、言葉、考え方、最近買ったものや、始めたことなど、全て私がブログで公開していることと同じでした。
真似ではなく、たまたまかもしれない、仮に真似でもいいじゃないと何度も思いましたが、気分はあまりよくありません。
誰しも、大なり小なり人に影響されるものだとは思うのですが、彼女のようなケースは、一体どのような心理や経験がもとになっているのでしょうか。
(一部、頂いた内容を編集させて頂きました)
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真似をされる側の心理
人に真似をされると、嫌な気分になるという方、多いのではないでしょうか。
ご相談者の方も真似をされて不快だった経験を書いてくださっていますが、私にも同じような経験があります。
それは以前、2年程、海外を放浪していた頃のことです。ひとり旅をしていると、どこか自分によってしまいがちで(笑)、旅先で知り合った人達とよく語り合っていたのですが、そのとき、私が熱く語った話を帰国後、数人の仲間で会ったときに、その相手が私に、さも、自分の意見のように話していたのです。
そのとき、内心、「それ、僕が伝えたことなのに」と思っていましたが、その人は自慢げに語っていました。そのときに何か嫌な気持ちになったのを憶えています。
「人に真似をされると不快になる」
理由としてはさまざまな要因が考えられますが、その最も大きなものとして、「せっかく見つけた自分(あなた)の価値観や物を横取りされた」という心理が働くのではないかと思います。
私達はオリジナリティを大事にすることで、存在感を保とうとするんですよね。
真似をする人の心理
次に真似をする側の人の心理を見ていきましょう。
・あなたに憧れの気持ちを抱いている
人には好意をもっている相手や尊敬する人、気になる人の真似をしたがる性質があり、それを心理学用語で、「同一視」といいます。
好きな人に憧れるあまり、一心同体になりたいという心理がつよく働き、似たような外見や髪型、服装をし、更にしぐさなども真似ることで、より親近感を感じようとするのです。
みなさんも思春期の頃に好きなアイドルやタレントのファッションを真似たという経験はありませんか。
社会人になってからも、憧れている先輩が美味しいと言っていたレストランに行ってみたり、尊敬する上司がよく読んでいる作家に関心を持ち、その作家の本を何冊も読んでいるという方、いらっしゃると思います。
そのような行為も「好きな人にもっと近づきたい。好きな人をもっと知りたい」という心理が働いているのだと考えられます。
ですので、あなたのことを真似する人は「あなたが好きで、あなたに憧れている」と言えるでしょう。
・自信がなく不安
私達は自信がないときや心配事があるとき、不安で眠れなかったり、トラブルが続き、心が混乱しているときなど、自分という軸をしっかりと保つことが難しくなってきます。
そのようなときに自分の軸をしっかりと保ち、行動している人の真似をすることで、どこかつよくなったように思え、束の間の安心感を得られるのかもしれません。
捉え方であなたの心は軽くなる
そのように考えていくと、真似をされる人というのは、真似をする人から頼りにされているのだと思います。
そのときに「頼りにされて苦痛」と感じるか、「頼りにしてくれるのなら、その期待に応えてみよう」と思うかでは全然、気持ちが違ってきます。
あなたが真似をされるのは、真似をする相手があなたに憧れているからであって、あなたには魅力があるという証なんだと考えられたとしたら、少しやさしい気持ちで真似をしてくる相手をみてあげることができるのではないでしょうか。
人というのは、誰しも心のどこかで「人の期待に応えたい」という心理が潜んでいるのだそうです。
その習性をいかし、あなたが真似をする相手に取って、いつまでも 「憧れの存在」 「真似をするに相応しい人」でいようと思えたなら、あなたの意識は徐々に相手からあなた自身にうつってくるでしょう。そして、今、あなたができることを積極的に行うことで、自然と心が軽くなっていくでしょう。
「あなたが先頭に立ち、相手の前を走り続ける存在でいること」
それがリーダーシップなのかもしれません。
もしかしたら、プレッシャーに感じることもあるかもしれませんが、あなたが「真似をされること」を受け入れ、私は憧れられる程、魅力があるのだとポジティブなパワーに変えることができれば、あなたは今よりも更に輝く存在になれるでしょう。
ただ、どうしても真似をされるのが嫌であれば、相手にその気持ちを伝えてみてもいいと思うのです。
あなたが嫌な思いを抱えすぎなくていいんです。
そのときに大事なのは、「やさしく伝えてあげること」です。真似をする相手はあなたに多くの影響を受けているのですから、あなたがやさしく教えてあげれば必ず、解ってくれると思います。
真似をされる側も、真似をする側もそれぞれ、自分の魅力に気付くことが大切だと思います。
(完)