こんにちは、社長の平です。
人生の中で“忘れられない人”がいるという人は少なくないことでしょう。そのほとんどが“成就しなかった恋愛”の相手であろうと思います。
その恋とは、若き過ちというケースもあれば、一方的な片想いで終わったというケースもあるでしょう。あのとき、もっと自分が成熟した大人であったなら‥‥、あるいは、もう少し上手に恋愛ができたなら‥‥、その恋愛はたぶん成就していたのかもしれません。
そんな恋愛を経験したとき、この“忘れられない人”というのが出てくるようです。
心理的に見てみると、この“忘れられない人”は、多くの場合、あなたが一心不乱にその人のことを好きだったという純愛の思い出とともに存在しています。
私たち人間の心は、どうも、人をものすごく愛したいと欲しているようです。
そして、心は、だれかやなにかを愛している状態を、心地いいと認識するようです。
そして、あなたの思い出の中の“忘れられない人”とは、すなわち、あなたが一心不乱に人を愛した記憶そのものともいうこともできるでしょう。
その記憶を思い出すとき、あなたが思うのは、「もう、あれほど人を好きになることはないだろう」というかんじでしょうか。
人によっては、その記憶が人ではなく、中学や高校時代に打ち込んだクラブ活動の思い出であったりすることもあります。たとえば、野球やサッカーに、「すべての楽しみを犠牲にして打ち込んだ」、「すべてのエネルギーを注いだ」というような経験です。
そして、そうした経験は、心理的にも人を成長させてくれるようです。
私たちカウンセラーの言葉に“思い出は美しすぎて症候群”というものがあります。
どうも、私たちの心の中では、いやな思い出はどんどん消えていき、素晴らしい思い出だけがストックされていくようです。そして、昔の出来事や、昔、出会った人のことは、どんどん美化されていくようなのです。
あなたのおとうさんやおかあさんも、「昔はよかったな」などとおっしゃることはないでしょうか。しかし、客観的に考えていただきたいのですが、今のほうがぜったいイイと思いませんか?
にもかかわらず、なぜ、そう思うのかというと、われわれ人間は記憶の中に美しい映像ばかりをとどめているからといえそうです。
以前、こんな女性がいました。
彼女には高校時代につきあっていた彼氏がいました。その彼とは別れ、やがて、現在のご主人と出会い、結婚したのですが、彼女には悔いが残っていたのです。
「あの彼とあのまま結婚していたら、いまの主人との結婚生活のようなつまらない人生にはならなかったんじゃないかしら‥‥」、という。
そんなあるとき、何十年かぶりの同窓会があったのです。彼女は元彼との久々の再会に、ものすごくときめきながらその会へと向かったわけです。
ところが、実際に会った彼は、予想以上に老け込み、ハゲ上がり、歯が抜けていたそうなのです。そして、会話してみても単調で、つまらないだけでした。
つまり、いまのご主人への不満を満たす相手として、昔の彼に理想を投影していただけなのです。そして、「きっとこんな人であるはず」というイメージを作り上げていたのですね。
そのイメージとあまりにかけ離れていたので、その後、彼女は「同窓会に行かなければよかった!」とボヤくこと、ボヤくこと。
思い出は、思い出の中でこそ、美しいものなのかもしれませんね。
では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!