「恋愛上手になるには、どうしたらいいですか?」と聞かれることが あります。
そんなとき、よくお答えすることの一つが、「あなたといるとき、パ ートナーがどんな感情を感じているかが大事なんですよ」ということ です。
つまり、あなたといっしょにいるとき、相手がいつもいい気分、楽し い気分になれるたとしたら、あなたは間違いなくモテる人になれるの です。
私たちは、ついつい、「自分がいま、どのような感情なのか」という ことをパートナーにアピールしがちです。
また、恋愛がうまくいかない人に多いのが、相手のことよりも、自分 の気分や感情にばかり意識を向けすぎてしまうという傾向です。
たとえば、緊張している自分、舞い上がっている自分、「つまらない」 と怒っている自分、「もっと楽しませなさいよ」と注文ばかりつけている自分‥‥、そんな自分自身から視線を離し、意識をちょっとパートナーのほうに向けてみましょう。
そして、「パートナーをいい気分にさせてあげよう」という意欲さえもつことができれば、恋愛上手への道は簡単に開けます。
ただし、ここには一つ、罠がひそんでいます。
これは恋愛だけにかぎったことではないのですが、「愛しているから」という理由であなたがパートナーの気持ちに関係なく行うことは、その愛がどんなに素晴らしいものだったとしてもうまくはいきません。
たとえば、夜遅くまで受験勉強をする子どもにお夜食を差し入れするおかあさんがいますが、子どものほうが「おかあさんは早く寝てくれよ。気になって、勉強に集中できないんだ」などと言うことがあります。
すると、おかあさんは「はいはい、わかりました。あしたからお夜食は作らないようにするわね」と言うのですが、次の晩、今度はフルーツの差し入れを持ってきたりします。
子どもとしては、「寝てくれと言っただろ」と言うのですが、おかあさんは「フルーツはお夜食じゃないから」と会話が噛み合いません。
この場合、おかあさんの立場としては、「子どもを愛する母親として、できるかぎりのことをしてあげたいと思うのはあたりまえ。そして、いっしょに遅くまで起きて、そういうことをする自分はよい母親」と思っています。
が、これはカン違いであって、残念ながら、子どもにとってはありがた迷惑にしか感じられません。おかあさんにとっては愛の表現なのかもしれませんが、子どもにとっては、それはきわめて受け取りにくいものであるわけですね。
同じように、「愛しているから」という理由で、あなたが差し出す愛が、パートナーもほんとうに望んでいるものなのかどうかをチェックしてみる必要があります。
さもないと、それは“執着”と呼ばれる愛の押し売りになってしまいます。
それは、「私はあなたをこのように愛しているのだから、もちろん、あなたも私を愛するべきよ」という強迫のようなものでもあります。
もちろん、あなたにはそんな気持ちは毛頭ないかもしれませんが、相手にそう感じさせてしまうところに問題があるわけです。
つまり、「いいの、愛しているから」では、自己満足になりがちです。
愛の押し売りのようにならないためには、あなたのしたい愛し方ではなくて、相手が望む愛し方をしてあげることが大切です。
そんな愛し方をしてあげたときだけ、パートナーをいい気分にさせてあげることができ、そんなあなたこそ、ほんとうの恋愛上手になれるのです。
では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!