過去に接してきた権威者との関係でつくったものが今の権威者との葛藤を作っているとしたら、過去に接してきた権威者との関係やそこで作った心の傷を見直さなければなりません。
私たちが過去に接してきた権威者とは?
上司、先生、お医者さん、そして家族の中にも・・・。
家族の中の権威者
前回は“権威”というものに良いイメージが無いとか、対立してしまうような感情を持っているとキャリア上の問題が起こりやすくなるという内容を紹介させていただきましたね。
その例として今の上司は怖い人でないにもかかわらず、昔の上司との関係で怖かった経験があると“権威=怖い”というイメージが作られて今の上司との関係に投影されてそれが問題となるという内容を書きました。
昔の上司(権威者)との体験で権威に対するイメージが悪くなり、それが仕事上の問題としてでてくるという内容でしたが、過去の体験で接してきた権威者というと上司だけはありませんよね?
病院にお世話になったことがある人はお医者さんが過去に接してきた権威者になるでしょう。
「病院の先生の言うことを聞いてよく寝るように」というような言葉を使う人がいますが、“先生”、“言うことを聞く”という言葉からも権威というふうに見ていることがわかります。
学校の先生なども私たちが接してきた代表的な権威者です。
塾の先生、弁護士さん、など先生と呼ばれる職業は権威の対象として見られることが多いですね。
もっと代表的な私たちが接してきた権威者があります。
わかりますでしょうか?
それは・・・
お父さんです。
一般的に父親が家族の中で権威者であることが多いです。
決定権を持っていたり、家族のリーダーシップを取っていたりです。
カウンセリングで過去の権威者との関係に何があり、どんな感情を宿しており、どんなイメージを作っているのかを見ていく時にお父さんとの関係を見ていくことが多々あります。
それはお父さんが長い間接してきた権威者であるからです。
昔は父親が家族の中で権威者であることが多かったのですが、ご時世も変わって父親が家族の中ではない場合もでてきました。
「我が家ではお父さんが家族のヒエラルキーの最下層だった」という方もいることでしょう(笑)
「我が家ではお母さんが力を持っていた」という家庭もいらっしゃいますね。
その場合は家族の中の権威者はお母さんですので、お母さんとの関係を見て行きます。
お父さん、お母さんだけではなく、学校の先生、塾の先生などが権威との葛藤に多大な影響を及ぼしているケースもあるのですが、お父さん、お母さんとは長い時間接しているだけにお父さん、お母さんとの関係で権威との葛藤を作っているケースは多いです。
+++
例えば、家族の中の権威者がお父さんだとします。
そのお父さんとの関係で「お父さんは私の気持ちをわかってくれていない」という怒り、そしてその怒りからくる反発、でもそれだけでなく本当はわかって欲しかったという悲しみ、諦め、失望などの葛藤を持っていたとします。
その葛藤が完了していないまま、会社勤めをしているとします。
すると・・・
上司に対して「上司はわかってくれていない」という怒り、反発、わかるべきだという欲求が強くなる、諦め、失望などの感情的な問題を持ちやすくなるケースが多々あります。
家族の権威者であるお父さんへの葛藤を、職場の権威者である上司に対して投影して、似たような感情的な反応を起こしてしまうわけです。
権威者がお父さんで、お父さんとの葛藤を抱えていると特に男性の上司に対してこのような感情的な反応がでてきやすくなります。
お母さんが権威者でお母さんとの間に葛藤を抱えている場合は、特に女性の上司に対して感情的な反応が出てきやすくなります。
そして上司のみならず先輩、目上の人、先生と呼ばれる人達などなどに感情的な反応がでてきやすくなります。
+++
あなたに怒り、反発、わかるべきだという欲求が強くなる、諦め、失望などの感情を向ける後輩がいるとしたらどんな感じがしますか?
ちょっとついあいづらいと思いません?
そう、上司もつきあいづらく感じ遠ざけたくなるわけです。
また上司に反発すると反発した力が倍返しで反ってくるようなことがあります。
まるで上司にピストルでパンと打つとバズーカーでドカーンと打ち返されて真っ黒焦げになるようなもので、上司は業務命令権、査定、人事などの力を持っているので反発する部下の身としては部が悪く、立場が悪くなってしまったり、なんらかの形(査定、部署移動などなど)で倍返しの逆襲をくらってしまったりすることもあります。
権威との葛藤が上司に対して「わかってくれない」という感情的なものを持つだけでなく、上司に反発し倦厭される、にらまれる、査定が悪くなる、出世しづらい、職場での居心地が悪い、左遷、転勤などに発展してしまうと大変ですよね。
上司との関係でこのようなことが起きないようにするにはどうしたらいいのでしょう?
この続きを次回にご紹介させていただきますね。
次回もお楽しみください。