意地悪の心理学

人が意地悪を行う心理的な理由は様々です。
そして、本人自身がどうして意地悪をしてしまうのか理由がわからない事もよくあることです。
しかし、ついつい意地悪をしてしまうという「癖」のようになってしまっているので、なかなか止めることができません。

でも、どうして自分が意地悪をしてしまうのかの原因がわかると、その原因を緩和したり取り除くことで意地悪をしないようになります。

本稿では、意地悪をする心理的原因の代表例を取りあげ、その概要を解説しました。
意地悪は、する方にも、される方にも決して良い結果をもたらしません。
意地悪癖を止めるには、自己承認とコミュニケーション力のアップが大きなキーとなってきます。

◎リクエストを頂きました◎
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意地悪をする心理を教えてください。
大好きなひとや、大切なひとに意地悪なことを言ってしまいます。
自分で思うに、ほんとの自分は無価値と思っているからだとおもいます。
どうせ自分なんかとも思います。
こういう意地悪をしてると、報復にあいます。
できれば意地悪なんてしたくありません。
愛を感じるときにも、意地悪がでてきます。
(一部リクエストを編集させていただきました。)
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1.はじめに

人が意地悪を行う心理的な理由は様々です。
そして、本人自身がどうしてそうしてしまうのか理由がわからない事もよくあることです。
意地悪をしたことを自覚すると、人は心のどこかで罪悪感や自己嫌悪を感じ、とても嫌な気分になります。
しかし、ついつい意地悪をしてしまうという「癖」のようになってしまっているので、なかなか止めることができません。

でも、どうして自分が意地悪をしてしまうのかの原因がわかると、その原因を緩和したり取り除くことで意地悪をしないようになります。
今回は、意地悪をする人にはどうしてそうしてしまうのか原因を理解して頂くことを、また、意地悪をされる方には相手の人がなぜ意地悪をしてしまうのかを知っていただき、関係の改善に役立てていただければと思います。

2.意地悪の心理

(1)受け容れてくれるかどうかのお試し

自己嫌悪があると、自分自身で自分のことを受け容れていないので人もそれと同じように私のことを感じたり扱ったりするはずだと思います。
そうすると、相手に受け容れられるという事が信じられなくなって、相手を信頼することがとても怖くなります。

でも、本心では受け容れては欲しいので、「こんな私でも大丈夫?」「こんな私でも愛してくれる?」という事を試したくなります。
この状態は「私を受け容れて欲しい」という事が前提ですので、近しい関係、あるいは近しい関係になりそうな関係に対して起こることが多いのが特徴です。

(2)反動形成

反動形成とは、どう処理していいかわからない感情が出てきたとき、それをどう処理していいかわからなくてその感情を打ち消すような行動にでることを言います。

例えば、小学生など、男の子が好きな女の子に意地悪をすることがありますが、女の子を好きという感情をどう扱っていいかわからず、その感情自体を打ち消そうとして「好き」とは反対の行動である意地悪をします。

(3)妬み

欲しくても自分が持っていない、あるいは手に入らないと考えているものを人が持っていると妬みが生じます。
この妬みは、自己攻撃や自己否定を生むので、苦しくなります。

その苦しさを感じないために、それを持っている人を攻撃(意地悪)することで、あたかも自分を正当化できるように思ったり、憂さ晴らししたりします。

(4)相手より劣っていると感じている場合

相手より劣っていると感じていると、相手より優れていると思いたい気持ちが生じます。
その為に、意地悪して相手の邪魔をすることで優位に立とうとします。

(5)失う怖れ

自分が今手にしているものや状況を相手に取られることを怖れ、相手がうまく事を運べないようにします。
仕事上で相手が自分の仕事を奪うという怖れや、男女間で恋人が誰かに奪われそうになるとか、子供の頃に兄弟間で親の愛情を奪い合うなどのときに意地悪をします。

(6)相手が自分の観念にそぐわない場合

観念とは「こうでなければならない」という自分の中の決まり事です。
例えば、「上司は仕事ができなければならない」「後輩は先輩を立てなければならない」「電車の中では電話で話をしてはならない」といったものです。
これに反する人を見つけると「あなた、こうでしょ」と言いたくなってしまうのです。

しかし、実際には言わずに、意地悪をして懲罰を加えたり、「気づきなさいよ」と相手をコントロールしようとします。
また、観念ではありませんが、何となく気にくわないと感じる相手(シャドーなど)に対しても相手を遠ざけようとして意地悪をします。

(7)怒りの表現

「あなたは私をこんなに傷つけたのよ」ということをわからせようとして、あるいはその仕返しとして意地悪をします。

このほかにも意地悪の意地悪をする理由はありますが、代表的と考えられる例を取りあげてみました。

3.最後に

意地悪は、する方にも、される方にも決して良い結果をもたらしません。
意地悪癖を止めるには、
(1)自己承認
(2)コミュニケーション力のアップ
が概ね有効と考えられます。

(完)

この記事を書いたカウンセラー

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恋愛や夫婦間の問題、家族関係、対人関係、自己変革、ビジネスや転職、お金に関する問題などあらゆるジャンルを得意とする。 どんなご相談にも全力投球で臨み、理論的側面と感覚的側面を駆使し、また豊富な社会経験をベースとして分かりやすく優しい語り口で問題解決へと導く。日本心理学会認定心理士。