私たちが抱える悩みの多くは両親やパートナーなど近しい間柄の人達との関係にまつわるものです。なかでも職場の対人関係というのはいつの時代も私たちの大きな関心事のひとつといえます。
高圧的な上司への不満や価値観の異なる部下とのトラブル、私たちが職場で経験する問題は時に私たちから仕事そのものへのモチベーションまで奪っていくから大変。職場での対人関係を良好に保っておくということは、安定的で豊かな生活基盤を守る上でも大切なことではないでしょうか。
今回のリクエスト特集はそんな、同僚との関わりの中で「後輩社員にイライラしてしまう!」というご相談に、外資系企業で管理職も勤めたカウンセラーがお答えします。
◎リクエストを頂きました◎
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今職場で、新しく来た方のフォローをしています。熱心にメモをとり向上心のある人ですが時々イライラします。その人に「確認してください」と言われて私が最終確認する事が多いのですが、私が確認してOKを出した後で、「○○さんにはこう言われたんですが」と言われる事が多く、とてもイライラします。
○○さんに既に教えてもらっていて、一通りわかってるなら私に確認求める必要もないでしょうと思うのです。私に確認を求めるのは、自分が最終的な責任を負いたくないからでは?ともこの頃思い始めました。このストレスを軽減するにはどうしたらいいでしょう?なぜこんなにイライラするのでしょうか。
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環境を整える
私たちの心は「環境」の影響を色濃く受けます。静かなカフェや馴染みのバーなど、誰にでも気分の良い場所、心の落ち着く場所というのがあると思いますが、それはその土地や空間、雰囲気が持っている環境の影響を受けて心がリラックスしているということです。
そんな私たちの心に影響を与える環境の中でもっとも力を持っているのが対人関係という環境です。
例えば、いっしょにいると何だか気分がいい人というのがいます。それはその人が持っている雰囲気や考え方が私たちに良い影響を与えてくれる環境だということです。
いっぽう高圧的な上司のように顔を見るだけで萎縮してしまう相手というのもいます。それはその人の態度や存在感の影響を受けることで「怖い」とか「不安」といった特定の反応を心が示しているということです。
特定の相手にイライラしてしまうというのもまた、その人との間にある環境の影響を心が受けているということなのですが、この「イライラ」というのは実に厄介な感情です。怒りの感情ほど強いエネルギーを伴わない分だけじわじわと心に沁み広がって私たちを不快にさせます。
ひどい場合は顔を見てるだけでストレスが溜まってしまうこともあるかもしれません。
できることならイライラなんてしたくない。こんな時どうすれば心を平安に保つことができるのでしょう?
先輩社員というポジショニング
職場の先輩というのは、実に微妙な立ち位置と言えます。一日の長があるのだからと会社からは後輩のフォローや育成を期待されつつも、実のところ役職的には横並び。
上司という肩書きがあったならもっと堂々と指導することができるのに、注意ひとつするにも上手にやらないと「キツイ人」と煙たがられることも。同僚の立場からできることには限りがあるようにも思えます。
後輩社員にイライラする、というのはもしかしたらそんな微妙なポジショニングが影響しているのかもしれません。
イライラというのはどんな時に生まれる感情でしょうか。
例えばテレビのリモコン。電池が弱くなったのかチャンネルがなかなか変わらない。
イラっとします。
例えばコンビニのレジ。長蛇の列ができてるのに店員の手際が悪くてなかなか次に進まない。
イラっとします。
イライラというのは、どうも事がうまく運ばない時、思い通りにいかない時に感じる感情のようです。
そしてそれは先輩後輩の間柄に生まれやすい。
なぜなら先輩社員というのは上司とは違い、後輩社員を思い通りに動かせる立場には無く、あくまでお手本やお手伝い、フォローをする立場。けれども業務を前に生まれてくるのは、私ならこうするのに、という自分のやり方。
イライラを和らげるには、まず苛立ちを感じる相手との間にある対人関係の環境を整えることが必要なのかもしれません。
先輩社員の流儀
私たちはみんな自分のやり方というのを持っています。それは価値観や考え方にも通じるもので、できることなら私たちはいつもそれに従っていきたいと考えているものです。
そしてそれは先輩社員であろうと、後輩社員であろうと同じ。後輩でも新入社員でもある程度仕事を覚えたら、言われた通りにやるよりも自分らしさを出したくなってくるもの。
後輩社員との関係を整えて、今よりもっと良い関係を築いていこうとするなら、苛立ちは関係を改善するためのアラート。
我を通すより、一歩譲ってみることも大切なのかもしれません。
そんな流儀を持った先輩って、後輩からみるとちょっとカッコいいと思うのですがいかがでしょう?
(完)