浮気の下に眠るもの

こんにちは。
社長の平です。

はじめてカウンセリングを受けようと思ったり、恋愛心理学を学んでみたいと思ったりするとき、そのきっかけとしていちばん多いのが、失恋やパートナーの浮気であるようです。

とくに、パートナーの浮気というのは、ショッキングな出来事であり、あなたをひどく傷つけます。

このとき、心理的にはなにが起こるかというと、いままで彼に感じていた“愛”が、“怒り”や“攻撃の欲求”といった正反対のものに変化します。これは、失恋の場合にも通じます。

私たちの心は、だれか(なにか)を愛しているときは、とても気分がよく幸せで、反対に、だれか(なにか)を敵視したり、攻撃したりしているときは、とにかく気分が悪いものです。

恋愛が素晴らしいのは、彼や彼女のことを考えているかぎり、あなたの心は愛に満たされ、そして、すべてのことにやさしくなれるということに尽きるでしょう。

恋をしている女性なら、野良猫にすら、「野良猫さん、おはよう★」とか「太陽さん、きょうも元気ね!」というような気分になるわけです。

ところが、失恋やパートナーの浮気が起きたときは、愛が憎しみや怒りにとってかわりますから、野良猫や太陽にあいさつしていたあなたが、「地球なんか、滅んでしまえ!」とか「男ども、ぜんぶ滅ぶがいい!」などという気分になってしまうわけです。

ところで、一人のパートナーに決められない浮気性の男女に典型的な深層心理は、「自分はこんなに悪い人間だから、いずれきっと嫌われてしまうだろう。だったら、そのときのために保険を掛けておかねば‥‥」というものです。

浮気がよいことだと思っている人はだれもいないのですが、浮気性の人ほど、その「浮気はよくない」ということを自覚しており、そして、自覚しているがゆえに、「自分は愛されるにふさわしい」とは思いにくくなります。

その結果、たえず失恋の恐れを抱え、それを防衛するかのように、保険のために複数の人とおつきあいするということがよくあります。
しかしながら、この保険のために、パートナーとの関係性を壊してしまうということに気づかないのです。

最初に述べたように、浮気された側の人は、多くの場合、浮気したパートナーに怒りと攻撃の欲求をもちますが、視点を変えると、「怒られ、攻撃されるに自分はふさわしい」と思っている人が浮気をするといってもいいかもしれません。

ですから、「浮気して、なんで平気な気分でいられるわけ?」と聞かれたとしたら、その答えは、「自分はあまりにもひどいヤツで、罰せられるにふさわしいと思い込んでしまっているから」ということにもなりそうです。

浮気性の人がもつ、この「自分は罰せられるにふさわしい」という信念をだれかが変えてあげることができたとしたら、その人は救われ、一生の愛をその救世主に誓えるのかもしれません。

そのためには、まず、前述の浮気の力学とでもいうものを学んでおくことが必要です。そうでないと、浮気性の人は浮気に走り、そして、浮気された側は浮気したパートナーを攻撃したくなるという負のスパイラルから抜け出せないのです。

もしも、浮気された側が、相手を責めるかわりに、その心の中にある自己概念に気づき、サポートしてあげることができたなら、状況を変えられる可能性も出てくるのですが・・。

浮気性の人にとっては、心理学で“コミットメント”というのですが、「この一人のパートナーとやっていく」と決心することが浮気防止の特効薬になります。が、多くはこの決心がなかなかできないのです。

なぜならば、「もしも、決めた人が、自分を愛してくれなかったらどうしよう‥‥」と思うからです。
もちろん、これは投影です。自分が一人の人に決めていない度合いだけ、相手も自分を選んでくれないのではないかという恐れを感じてしまうのです。

つまり、カップル双方がもつ“疑い”と“恐れ”が、浮気という形となってあらわれるといってもよいのです。

では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。