お金と仲良くなるための心理学的なアプローチをいくつか提案したいと思います。心理学ではよく物事を「人」に例えます(擬人化)。お金を人に例えた場合、あなたとの距離感はどれくらいでしょう?と想像してみたり、お手紙を書いたり、そのお金の気持ちになったりして、感情的にお金との距離感を縮めていきます。
また、お金に対するポジティブなアファメーションを繰り返すことにより、潜在意識を変えていく方法もご紹介しています。
お金といい関係を築く方法
お金に関するワークショップでこんなセッションをしました。
「一万円札を取り出してくださいね。そして、じっと見つめてください。どんなことに気付きますか?」
すると、こんな意見が多数聞かれたのです。
「こんなまじまじとお金を見たのは初めて」
「意外と諭吉さんって凛々しいですね」
「この鳳凰の図、正直・・・(苦笑)」
「けっこうきれいなデザインですよね」
私はその意見を聞いて正直意外だったんですね。皆さん、そんなにお金のことを見てないのかな?と。
お金のことが好き、と思いながら、でも、お金をちゃんと見てないのは、「好きな人はいるけれど、その人のことはあまり見ないようにしている」というのと同義ではないでしょうか?
もし、それが恋愛だったらきっとうまく行きませんよね。それと同じように諭吉さんとの関係もあまりいいものではないのかもしれません。
また、そのワークショップで「お金を人に例えると、あなたにとってどんな存在?」という質問を投げかけてみました。
家族のように近い人もいれば、友達くらいの人、知り合い程度、まったく他人と人それぞれ意見が分かれます。
これはお金との心の距離を測る方法。
お金という対象を擬人化することによって、お金にどれくらい親しみを感じているかが分かります。
「お金を人に例えると、ほんと他人!」と元気よく答えてくれた方がいるのですが、その方にとってお金は「遠いもの。全然縁のないもの」でした。
お金と仲良くする、ということであれば、せめて「友達」くらいまでには格上げしてあげたいですよね。
じゃあ、もし、お金が友達だとしたら、あなたのお財布に入っているお友達は今、どんな姿をしてますか?
くしゃくしゃに折り曲げられていたり、あっちこっち向いていたり、そもそもどこにいるのか分からなかった・・・とかではありません???
大事な友達だったら、きちんと揃えたりしてあげたいですよね。
そんな風にちょっとお金をいい友人と思って接してみてください。
でも、最近は現金を目にする機会ってどんどん少なくなっていますよね。
ワークショップでアンケートを取ってみても数名を除く、ほぼ全員の方が振込で給料をもらっていました。
また、電子マネーも普及していて、かくいう私も東京出張の折にはほとんど現金を使わず、Suicaで済ませてしまいます。
そうするとお金が単なる「数字」に成り下がってしまい、その有難味や大切さが感じられなくなってしまいませんか?
もし、今、手元に一万円札があったらぜひ取り出して眺めてください。
そして、その隣に「\10,000」と書いたメモ用紙を用意してください(パソコンや携帯のメモ帳に「\10,000」と表示させてもいいですね)
その二つ、有難味は全然違うと思うのですが、ネットや電子マネー、通帳などの世界では、同じものとして扱われます。
そうすると、有難味が違う分だけ、それだけ軽く扱ってしまうのです。
皆さんも、現金で払う1万円と、ネットで決済する1万円では重みが違うことを経験されていませんか?
ワークショップでも提案したのですが、給料日には一度、全額引き出してみて、できればそれを新札に変えてみて、じっくりとその価値を感じてみつのも、お金の大切さ、有難味を感じられるレッスンになります。
ふだん「給料少ないなあ」と思っているあなたでも、実際現金で見ると「すごいなあ」と感じられることも少なくないはずですし、大事にしよう、有難いものなんだな、と改めて思えるかもしれません。
(これは想像の世界だけでなく、ぜひ、実際にやってみてください)
そんな勇気がない、という方も、一度、全額引きおろし、その場でギュッと握ってみてください。意外な分厚さにグッとくるかもしれませんよ。
すぐに預け入れすれば危険も少ないでしょう?
そうして、お金に対して有難味や大切さを実感できるようになると、使い方にも影響を与えると思うんです。
感謝してお金を使えるようになったら、あなたの中に「感謝=お金」という図式が出来上がります。そうすることで、お金に対してよりポジティブな付き合い方ができるようになるでしょう。
ワークショップではこんな実習もしてみました。良かったら皆さんもやってみてください。
1.「諭吉さんへ」と題した手紙を書いてみる。
2.「諭吉さん」になったつもりで自分宛の手紙を書いてみる。
少しばかばかしく感じるかもしれませんが、意外と深い方法なんです。
よかったら書いてみると、お金に対して様々な感情を感じられるようになるはずです。
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よりお金に関しての意識を変えていくために、アファメーションをしていったり、豊かさを感じられるようなイメージをしていくことも効果的な方法です。
例えば「私には十分なお金を受け取るだけの価値があります」という言葉をゆっくりと10回声に出して言ってみてください。
その感情をありのままに感じながら、たとえ、ネガティブな感情を感じたとしても、そのままにしておきながら、これをしばらく続けてみます。できれば1か月くらい。
また、あなたが豊かな生活を送っていたり、その生活を一緒に誰かと楽しんでいるヴィジョンを描いてみるのも効果的です。
やはりネガティブな感情が出てきても、それを否定することなく受け入れ、そして、そのイメージを一定期間続けていきます。
そうすることで、お金に対してポジティブな感覚を与えていくんですね。
それから、面談などのカウンセリングでは、お金を一つのエネルギーと捉え、光や温かさ、豊かさなどをお金を通じて受け取るイメージワークをしたりして、お金をもっといいもの、素敵なものと実感できるアプローチも行っています。
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そして、さらに深い方法としては、やはりそのネガティブなお金に対するルーツを癒していくプロセスがお勧めです。
カウンセリングでもグループセラピーでも構いません。
お父さんとの関係を癒していくことで、お金に対する観念を変えた実例もたくさんあります。((2)で紹介した数億円の金融資産を持つ方もその一人です)
もちろん、これはお金だけでなく、仕事の在り方も見つめ直させてくれます。
幼少の頃からお金のことで争いばかりがあって、とてもネガティブな印象しか持てなかったある男性。彼は常にハードワークをして、お金を持つことで家族や周りの人を安心させようとしました。
でも、どれだけ稼いでも彼の心は満たされることがなく、いつもお金のことでイライラしていたんです。
そこで彼はお父さんお母さんと向き合い、許していくセラピーを試みました。何度かのチャレンジののち、両親を理解し、受け入れることができるようになっていったんですね。
その結果、彼はお金に対する不安を少しずつ手放せたばかりでなく、仕事のやり方も見つめ直し、今まで以上に家族と過ごす時間を大切にするようになりました。
穏やかな気持ちでお金に接する時間が増えたことを実感されています。
さて、いかがでしたでしょうか?
お金との付き合い方を心理面から見直すことは、あなたがより豊かさや有難さを感じられるチャンスとなると思います。
そうして、大切に扱えるようになったとしたら、きっと今の収入に感謝できるようになるだけでなく、自分にふさわしいバランスの取れた収入へと変わっていくはずです。
それはあなたをさらに幸せにしてくれるアプローチと思うのです。
少しでもお役にたてましたら幸いです。
(完)