よりよいリーダーとなるために必要なこと(12)~継続のために「目に見える形」にする~

突然ですが、あなたは後輩を育てるのは得意でしょうか?
上手に後輩のやる気を引き出し、また後輩が自分自身で考え自発的に動けるように意欲を持たせたり、自信をつけたりするサポートは得意でしょうか?『よりよいリーダーとなるために必要なこと』と題してお届けしている本シリーズは、第5回までは「経営学の父」と呼ばれ、著書『マネジメント』で有名なドラッカーの教えから、”リーダーシップ”について5回に渡り考察してきました。
そこではリーダーとして心構えであったり、概念であったり、大切な要素であったり、というような、素質や姿勢に焦点をあててきました。
そして、第6回からは”実践編”として、実際に「育てる現場」で起こる問題に対しての対処法として『育てる技術を磨く』ということを軸にお届けしています。

”実践編”で過去にお伝えしてきたのは、下の6点。

・やる気や根性ではなく「行動」をみる(第6回)
・「知識」と「行動」は分けて教える(第7回)
・「分かりました!」の返事を鵜呑みにしない(第8回)
・「具体的な行動」で指示を出す(第9回)
・小さなゴール(達成感)が成功へ導く(第10回)
・人を「褒める」ことの効果が高い理由(第11回)

”教える”時に重要な【誰が、いつ、どこでやっても、同じ成果が得られる為に、どうすればいいか?】がコンセプトになっています。

業種によってもまちまちだとは思いますが、それでも「新人さん」や「メンバー入れ替え」はは定期的にやってくるもの。
その新しいメンバーが「自分のやり方」「自分のこだわり」をもって業務を効率よく遂行することは大切ですが、
最初から個人の裁量や、個々の過去の経験値に頼るのではなく、

【誰が、いつ、どこで】行っても一定の成果を上げる”仕組み”を作ること

が何よりも重要なのです。

本シリーズもかなり長くなってきましたいで、今回を最終回!として一旦区切りたいと思います。
”実践編”として色々と書いてきましたが、大切なのは【続けること】
なので本シリーズの最終回は、「継続のために必要なこと」についてのお話です。

●正しく評価するために「数値化」する

前回の「人を「褒める」ことの効果が高い理由(第11回)」では、

部下が”望ましい行動”をした時に、上司がその行動を褒めることで、
部下は「行動したら”よいことが起こる”」と感じ、積極的に同じ行動を繰り返すようになるので、
継続して部下が”望ましい行動”を取れるようにサポートできる

ということをお伝えしました。

部下がとった行動に関し、上司が「よくやってるな!」「ここが出来るようになったな!」「いつもありがとう!」と褒めたり、評価したり、「私はちゃんとあなたのことを見ていますよ」「私はあなたのことを評価していますよ」と伝えることが、部下にとっては喜びややりがいとなりますので、褒めることは大変効果的です。

しかし、日々の業務の中で「何が”望ましい行動”なのか?」が分からない限り、効果的な結果は得られませんよね?

多くの場合、結果(成果)はすべて「行動」の積み重ねの上に成り立ち、成果の上がる人は、成果のあがる行動を行っています。
優秀な人・成果が上がっている人の行動を細かく観察・分析することで成果に繋がる望ましい事道はある程度ピックアップできるわけですが、重要なのは【それがどれくらい効果的なのか?】を把握すること。

そのために有効なのが【数値化】です。

例えば、売上UPが目的なのであれば「この行動を増やすことによって、成果が上がったのか?」を数値化すること。
売上が上がった場合はどの程度売上がUPしたのか?
それとも、実はほぼ変化がなかったのか?むしろ低下してしまったのか?

また、それは今回だけなのか?それともAさんにとっては毎回起きている”結果”なのか?
誰にとっても同じ結果がでているのか?

そうしたことは、数字となることでよりわかりやすくなります。

逆を言えば、「数値」という指標がないと
「おそらく、このまま行けばいい結果が出ると思う」
「うまくいっているように思う」
「順調に進んでいるように思う」
というような、直感や勘、印象による判断となってしまい、『【誰が、いつ、どこで】行っても一定の成果を上げる”仕組み”』とは言えず、個人の裁量に大きく左右されてしまうのです。

●”望ましい行動”を計測する

成果を上げる”望ましい行動”の効果を数値化することで把握できたなら、次に必要なのは、
【実際に行った”行動”を数える】
ということです。

これは必ずしなくてはいけない回数を設定する!というために行うのではなく、上記同様に「正しく評価するための数値化」が目的です。

仮に売上UPの為に必要な”望ましい行動”が「1日10件は新規訪問する」というのであれば、実際に訪問した件数を数える、
「WEBからの問い合わせに2営業日以内に回答する」のであれば、回答できた件数を数える、
「見込み客にコンタクトを取る」のであれば、コンタクトを取った件数を数える。
それを1日単位でも、1週間単位でも、一定の期間を決めて、その間に「どのくらい行動したのか?」を数値化するのです。
上司が部下の行動をすべて数えるのは物理歴には難しいですから、部下が各自で計測し、まとめて報告するというので十分です。

また、業務内容によっては「数えることのできない行動」もあると思います。
その場合は「5段階評価(とても良い・良い・普通・悪い・とても悪い など)」での評価を、予め評価基準を決めておき設定することで、数値化することができます。

数値化することで、上司側が部下を正しく評価したり、目標数値に達しない時に目標を再設定したり、数値達成に至らない問題点を見つけやすくなりますし、
部下側も自身の行動が「目に見える形」になるので、自分の成長を実感できたり、自分の弱点や強みを把握しやすくなるメリットがあります。

私たちの判断や思考は、その時々の感情や気分に左右されがちですが、「数値」というのは誰がいつ見ても同じ判断ができる、客観性のあるものです。
その客観的で一定な指標で判断されるというのは、相手の気分等に振り回されることが無いため、実は私達の心にも”安定”をもたらすことができるという効果もあります。

さて、12回に渡るシリーズは今回で一旦終了です。
これまでのお話が、

「自身の行動がどういう結果に繋がるのか?を理解し、
自身の強みを引き出しながら、
積極的に行動する」

という部下や後輩を育てていくのに、役立てば嬉しいです。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

恋愛、対人関係、自己啓発、ヴィジョン、ビジネス心理を得意とし、”少しでも楽に・簡単に・シンプルに”をモットーに、分かりやすい心理分析と日常的に無理なく取り組める提案を行っている。 その人本来の輝きや、問題の先にあるヴィジョン(幸せな未来や才能)を引き出すカウンセリングが好評である。