セックスレス・・・夫の心が知りたい

相談者名
パピヨン
結婚15年目の夫婦です。昨年1年間の単身赴任の後、現在は某国で駐在しております。
7月に再会して以来、夫婦生活が2度しかなく(私から無理矢理頼んで)、10月下旬にこのことで言い合いに(向こうがのらりくらりとかわすのでつい問い詰めてしまいました・・・)なった際、
「体調もあるし、面倒くさい。もうそういう気になれない。セックス=愛情じゃない。誘われると余計ひく。ほかの夫婦もみんなそれが普通じゃないの」と言われてしまいました。「欲求不満なら自分でしたら?」とも。

第一子の出産以後、夫から誘ってくることはほとんどなくなり、今回のケンカをきっかけに、このまま一生夫婦生活が持てないかもしれないと思うと、海外生活(途上国です)のストレスもあり、精神的に不安定になってしまいました。

思えば、私はもともとセックスによって精神的な安定を得ていたようなところがあり、夫に、「なぜそこまでセックスのあるなしにこだわるのかわからない」とも言われました。
私と夫は性格があまりにも違うために分かり合えないことが多く、セックスによって、「パートナーとつながっているような安心感」を求めているのかもしれません。
また、私は幼稚園くらいの頃に、よく父親に体をなでまわされていた(下着に手を入れられたりも。不思議なことに、これは私にとって不快な記憶ではありません)ことと関係があるでしょうか?一方で夫は、セックスによって体が汚れることを嫌っているように思えます。

セックスレスのサイトをいろいろ見ていると、レスの原因に「相手に対して怒りの感情を持っている」というのを見つけ、なんとなくこれではないかと直感的に思います(過去に何度も大喧嘩しているので)。
夫が無意識の怒りを私に感じているとしたら、私がその怒りを解くことはできるのでしょうか?夫は仕事のことも含め、家庭では一切口をいいません。夫の心を解きほぐして、分かり合える夫婦になって、自然にセックスレスが解消されたらどんなにいいかと思います。

カウンセラー
池尾昌紀
池尾昌紀と申します。
ご相談ありがとうございます。

セックスレスの問題で悩んでいる時は、とても辛く苦しいです。
それだけならまだしも、慣れない海外生活という状況が加わると、その状態は本当に苦しいものになるのではないかと思います。

セックスレスの問題は、個人差が大きい問題ですので、一概には言えないところがあるので、一概には言えないところが難しいところなのですが、今回はその前提で、お話をさせていただきたいと思います。

はじめに、ご相談にありました、セックスレスの原因に「相手に対しての怒りの感情を持っている」という点についてお話をさせていただきたいと思います。

もし、相手が怒っているとしたら、なぜ怒っているのでしょう。
そこには理由があるはずですよね。

夫婦というのは、長くなってくると、いろいろな出来事があって、ここまできています。
一緒に人生をここまで生きてきたのですから、どうしても、お互いに不満を持っていきます。
あの時の出来事が許せない!というような明確な理由がある場合もありますが、
多くは、小さな不満や欲求が、積もり積もって、大きな怒りにつながっているようです。

そうは言っても、具体的な事例がないとわかりにくいと思いますので、カウンセリングの中でよく伺うケースについて書かせていただきたいと思います。

例えば、それは、第一子の出産がきっかけになる場合です。

初めての子どもを出産された時というのは、初めてだけに、女性にとっては、本当に大変な思いをして育てることになるので、子ども以外のことに目を向ける暇がない場合が多いです。
また、この時期というのは、女性にとっては、ホルモンバランスなどの身体の変化もあり、女性というより母モードですから、セックスを求められても応じられない場合がでてきます。

すると、この時期に、夫は放りっぱなしにされたように感じ、寂しさや孤独を感じて、辛い思いをしているケースがあります。

そして、子ども育ってきて、ようやく周りを見る余裕が出てきた妻が、ふと夫婦の関係に目を向けてみると、セックスが最近、全くないことに気がつく。
そこで、改めて相手に近づくと、夫にしてみれば、今まで放りっぱなしにしておいて、「今更なんだ」みたいになってしまう場合があるのですね。

人は誰でも、すねてしまうと、意固地になってしまい、自分ではどうにも心を開けないということがありますよね。

それが大きなものになってしまって、本人も他の誰でも、この頑なさを動かすことが難しくなる。そうしたケースがあるんですね。

これは子育て時期に女性に余裕がなくて夫が怒っているケースですが、この他にも、いろいろな「怒りの原因」があります。

相手は怒りから「今更なんだ!」と距離を置こうとしますが、怒って、すねているだけに、本当の理由を話してくれない場合があります。

また、もしそれが何かのきっかけで出てきても、随分昔の話だったり、こちら側しても「今更なによ」と思うことになったり、あるいは、その時はどうしようもない状況だったと説明しても、相手はへそを曲げて聞いてくれなかったりして、どうにもならない、ということがよくあります。

そうなると、こちら側としても腹がたって、喧嘩になって、お互いこの話はタブーになったりして、保留案件になっていったり。それで益々、この問題を扱うことが難しくなったりします。

ここでのポイントは、私が辛い思いをしているのは、セックスレスの問題だけではなく、今まで、あるいは、ある時に相手にしてしまった言動を強く悔やんでいる、という心理です。

悔やんでいる気持ちのことを、心理学では「罪悪感」といいますが、この罪悪感を持ったままだと、夫婦の間にある、あらゆる問題が「私のせい」に感じてしまうことがあります。

「私のせい」でこうなってしまったのだから、何とか修復しなければ。
このままでは、相手は私の元を去っていってしまう。
あるいは、もう相手は私のことを愛していないんだ。

そうした気持ちは、大きな不安、ひとりぼっちの寂しさを大きくしてしまいます。

すると、セックスがないことに、執着する心を生むことがあるのですね。

セックスレスが苦しい時、それが女性の場合であれば、自分が女性として魅力がないのか、とか、愛されていない受け入れてもらえていないという辛さを伴うことが多いので、本当に苦しい思いになります。

セックスレスが解消されたら、私たちはなんとかなる。
その思いは切実であり、とても苦しいものになります。

しかしながら、カウンセリングの中で伺う問題は、お話を重ねていく間に、当初とは全く違う問題が隠れていて、それが本当に解決したい問題だったり、本当の気持ちだったりする場合がとても多いのも事実なんです。

セックスレスの問題も、段々と整理していくと、別のテーマが浮上してくることが多いように思います。

今回、書かせていただいた視点でみたら、苦しみの元は、セックスレスだけではなく、心の奥にある「罪悪感」であることもあるのですね。

もしそうであれば、まずは、この罪悪感に気づき、それを解消してあげることが最初の一歩になってきます。

例えば、先の例で言えば、初めての子どもを産んで育てる女性は、周りを見る余裕がないのが当たり前です、という話をさせていただきます。
特に初産の場合、自分の母親を頼りにしたり、助けてもらったりしますが、お母さんは我慢がありまえだったり、世代的に「子育てはできて当たり前」という時代だったりして、

そうして、「私は悪くなかったんだ」「仕方が状況だったんだ」と自分のことを許せた時に、相手に対して向き合っていく余裕が生まれ、相手を受け入れたり、相手の態度が変わるのを見守る心を作っていくことができます。

パピヨンさんのケースが、今回書かせていただいた内容とぴったり一致するかどうかはわかりませんが、「心に余裕がなくて苦しい」という点については、間違いなく当てはまるように感じます。

海外赴任での生活というのは、本当に大変なはずです。
それだけでも、どれほどのストレス、寂しさ、心苦しさの中で生活しておられるでしょう。
それに加えて、夫婦の関係に距離があるのであれば、それは尚更です。

でも、それはご主人も同じはずなんですね。
今、お互いが心に余裕がなく、相手のことを受け入れる余裕がない状態だと思うのです。

まずは、パピヨンさんの心が少しでも余裕をもてることから初めてみてください。
そのためには、誰かにこの思いを話す事。
周りに誰か、信頼して話せる人はいないでしょうか。
家族はどうでしょうか。
もしよかったら、カウンセラ―も使ってやってください。
海外の方とはスカイプで電話カウンセリングをさせていただいております。

誰かと話、自分の心のうちを話す事。
そして、誰かにその苦しみをわかってもらうこと。
それだけで、かなり心は楽になります。
そのことで心が整理されていく場合が多いのです。

パピヨンさんのお話にある、幼少期の体験が、今のセックスへの思いにつながっている場合は確かに考えられます。
そして、ご主人がセックスに消極的な理由も、過去に何かがある場合もあります。
けれど、まずは、心の整理やケアが必要なんですね。それからでないと取り組む余裕が生まれません。

そうしてできた心の余裕が、いいアイディアを生んだり、相手を今より受け入れる土壌を作ります。

まず、あなたの心をケアして、大切にしてあげてください。
それからでなければ、ご主人の心を解きほぐす力を使っていくことができません。

誰かのことを助けることができないほど、あなたの心が疲れています。
そのことを第一に思っていただけたらと思います。

苦しい心の中を、勇気を持ってご相談くださり、ありがとうございました。
少しでもお役に立てたなら幸せに思います。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

名古屋を軸に東京・大阪・福岡でカウンセリング・講座講師を担当。男女関係の修復を中心に、仕事、自己価値UP等幅広いジャンルを扱う。 「親しみやすさ・安心感」と「心理分析の鋭さ・問題解決の提案力」を兼ね備えると評され、年間300件以上、10年以上で5千件超のカウンセリング実績持つ実践派。