心の疲れを癒すには?~心に余裕を持つ考え方~

疲れは意識できるものもあれば、知らないうちに溜まってしまうものもあります。心に余裕を持つために、自己承認と疲れを解放してあげるエクササイズをご紹介します。

カウンセリングで最初にお会いする頃は、悩んでいた分だけ、あるいは長年の積み重ねによって「すごく疲れてませんか?」とお伝えする方が多いように思います。
現代はストレスの時代とも言われますが、情報や行動量が多い分だけ、心の疲れも溜まっていくものかもしれません。

疲れている自覚があってもどうしていいのか分からない場合もあるでしょうし、また、慢性的な疲れが溜まっていて、自分が疲れていることに気付けない場合も多いですね。

自分が疲れているかどうかを簡単にチェックするには、最近、
「どれくらい笑ってるか?」
「楽しんでるか?」
「泣いたか?」
を見つめてみるといいでしょう。

「エゴは笑わない」といわれましてしんどいときほど私達は笑えません。

最近笑ってないなあー楽しいことないなーと思う裏側には、何かしらの疲れが溜まっているのかもしれませんね。

心理的な疲れと肉体的な疲れの違い

体が疲れているときは、その根拠がはっきりしていることが多いです。
久しぶりに運動したからなあー。
今日重たい荷物運んだからなー。
最近、忙しいからなー。
昨日はあまり眠れなかったからなー。

でも、心理的な疲れというのは、はっきりとした理由が分からない場合も多いのです。

だから、カウンセリングでも
「とても疲れていらっしゃるようですね」
ってお伝えしても、
「ええ?でも、私、何もしてないですし、仕事もそんな大変じゃないんです」
という答えが返ってきたりします。

私達は理由が分かると安心しますから、何かしら理由を探すことが癖になります。
でも、その“理由”の多くが
「正当性があり、第三者に理解してもらいやすい理由」
であることに気付いていましたか?

運動したからなあ・・・など、上に書いた理由の数々。
「それは言い訳だろ?」と言われる怖れはあろうとも、自分も、誰かも納得しやすい理由でしょう。

でも、心理的な疲れの多くは誰かに納得してもらえる理由を探しても見つからないケースも多いんです。
仕事が忙しくて精神的に疲れている・・・ならば、まだ分かりやすいです。

でも、
「仕事は・・・うーん。特に忙しいわけではないなあ・・・。夜は良く
眠れてるしなあ・・・。悩みなんてのは誰にでもあるものだし、自分の悩みは大したことないし・・・。」
だとしたら、疲れてるなんて言いたくても言えなくなってしまうのかも知れません。

仮に仕事がなく、一日家でごろごろしてたとしても、心は疲れるときは疲れるんですね。
むしろ、
「何もしたいことがなく、気が付けばせっかくの休日が終わってしまった」
と感じたときの“徒労感”というのは皆さんも一度は経験したことがあるのではないでしょうか?

そういう訳で、なおさら心の疲れは自分の預かり知らぬところで溜まり続けるものかもしれません。

疲れの元になるもの

そうした理由があいまいな心の疲れは、どういう状況で起きるのでしょう?

それは、あなたが客観的にどういう状況であったとしても、あなた自身がどう感じているのか?で決まってくるところがあります。

いわば「普通」や「常識」ではなく「あたしの場合は・・・」という特定論になるんですよね。

なぜかというと心は見えるものではないので、自分がどう感じるかにかかってくるからなんです。

周りがどう見ようとも、あなた自身が何らかの感情を抑圧したり、自分を否定的に見たり、嫌悪感や罪悪感などのネガティブな感情を持ったり、誰かと表面的、あるいは水面下でパワーストラグル(ケンカ)に陥ったりすれば、少なからずそれらは心のストレスとなります。

例えば、「仕事が辛い・・・」としましょう。
「誰でも仕事は辛いものだから」
なんて正論をぶつけられたら、何も言い返せなくなります。
だから、「仕事が辛い」という気持ちを私達は抑圧しようとします。

でも、辛いのは事実。
だから、それを我慢すればストレスになり、やがては心が疲弊してしまいます。

また「ご主人との関係がうまくいかなくて将来が不安」だとしましょう。
主婦として家事が手に付かなくなったり、ぼーっとして一日を過ごしてしまうことがあっても不思議じゃありません。
そういうときほど肉体的にはほとんど活動してないんですよね。
でも、将来への不安を感じるだけでなく、家事をしていない自分を責めたり、ぼーっと一日を過ごしたことを後悔したりして、自分を否定してしまいます。

ご主人から「だらしないな。一日サボって。それでいいと思ってるのか?」と責められる前から、十分自分自身に精神的な罰を与えてるようなものです。

そんな生活が続けば、肉体的には疲れなくても、精神的にはだいぶ疲れて参ってしまうでしょう。

でも、そうした状況では、なかなか自分が疲れてるとは認められないものです。

慢性的な疲れ

また、そうした今現在起きている問題だけじゃなくても、あなた自身が持っているパターンが作り出す疲れも数多くあります。

それは考え方、価値観の問題であったり、あなたを縛り付ける観念だったり、誰かからの束縛(時に呪縛のようなものもあります)だったり。

例えば、「男はきちんと働くべき」という考え方があると、職を失ったり、何かしらの原因で働けなくなると、その考え方からものすごく自分を責めるようになります。

本当はあまり好きじゃないのに、付き合ってるからするものって価値観で彼氏とセックスを重ねれば、そのたびに心はまるでレイプされてるような痛みを背負います。

また、彼からの束縛が厳しかったとしたら、好きだから我慢しますけれど、付き合いが長くなればなるほど心は疲れてしまうでしょう。

こうした部分は、一般常識に対しては説得力を持たないことが多いです。
だから尚更、自分が間違ってる、自分が悪い、と思って、我慢してその状態を続けてしまうものなんです。

でも、自分がしんどい、辛い、嫌だ、ということは、あなたがそう感じている以上、心にとってはそれが真実です。
それは常識を飛び越えて「私自身がそうだから」という、それだけの理由で起きてきます。

これは、無価値感や無力感、何もしていない罪悪感など、自分をちっぽけに扱っている分だけよく起こります。
“客観的に説得力のある理由を探す”という時点で、どこかしら自分を粗末に扱ってしまっているのかもしれません。

だから、客観的に見てどういう状況であれ、自分が感じていることに素直になること、心をきちんと見つめて受け入れてあげることが、とても大切なことではないでしょうか。

そして、心に余裕を生み出すアプローチを採って行きましょう。
そうした上で必要ならば考え方を変える、価値観を変えるなどのアプローチに臨むことができるようになっていきます。
余裕がない状態では、変えようにも変えるだけの気力が沸かないときだって少なからずありますものね。

疲れを解放してあげると

カウンセリングに来られるまでには、家族や友達に相談されたり、本やホームページを見て勉強したりして、自分なりに解決しようと頑張ってらっしゃる方も少なくありません。

それだけ頑張っても解決できなかったとしたら、それもまた自分を責めるネタになって一層感情を抑圧してしまいます。
だから、最初にお会いするときは、相当疲れが溜まっている場合もあるんです。

だから、カウンセリングの初期ではそうした自分では気付かなかった疲れを解放してあげるようなセラピーを取り入れることも少なくありません。

これはリラクゼーション的なカウンセリングでもありますし、感情を解放して、自分を自由にしてあげるアプローチの一つでもあります。

そうしたセラピーを通じると、今まであったのに気付かなかった疲れがふーっと浮き上がってくるようになります。
・体がだるくなる
・眠たくなる
・ふわふわした気分
・安心感、安らぎ
・お腹が空く
・セックスがしたくなる
といった気持ちになってきたりします。

そして、カウンセリング後に出す宿題でも、そうして心の疲れが取れるような
宿題を提案したりします。

疲れを取るということは、すなわち、心に余裕を持つことでもあるんですね。
体は疲れきっていたら、駅の階段を上るのさえ一苦労です。
一晩ぐっすり眠って疲れが取れたとしたら、次の日の階段はそんな苦労を感じずに上れることでしょう。

心も同じで、疲れを癒し、心にスペースを作ることができたら、今直面している問題にも前向きに取り組むことができるようになります。
もちろん、関係性の問題(パートナーシップ、対人関係、家族関係など)ならば、問題となっている関係性を良い方向に変えていくことも可能な状態になるんですね。

心の余裕を持つ方法

そうした疲れを解放してあげるには、まずは自分が疲れているっていう自覚が何よりも大切です。(当たり前のことですけど)
それがどんな状況であれ、“自分が”しんどい、辛い、疲れている、といったことを認めてあげることが大事なんですね。
つまり自己承認です。

先ほどお話したように“誰かが”認められる状況でないと、自分を承認してあげられない方も多いんですよね。
それは過去の生き方、環境によるところも多いのですが、自分で自分の首を締めてしまいますから要注意。
特にまじめ、誠実、優しい、人の気持ちが分かる、人のことを考えてる、といった“良い人”が多いと思うんです。
ちょっと頑張りすぎてしまうんですよね。

だから、周りからはそうは見えないかもしれないけれど、自分なりに頑張ってるってことを認めてあげることでもあります。
(自分ではそうは思わなくても、周りの人の中には自分を認めてくれている人が少なからずいらっしゃるものです)

また、疲れは認識しているけれど、自分が思っている以上に疲れが溜まってしまってることだって少なくないでしょう。
自分に厳しくしてしまう分、また、自分の状況を受け入れられない分、疲れは自分が思う以上に溜まってしまいます。

そうした今の状況を素直に受け入れて(疲れていることを認めて)あげたら、溜め込んでいた感情を解放してあげるきっかけになります。
気付けば、何とかしようと思い始めますから。
(方法がすぐに分からなくても構いません。何とかしようと思い始めるだけで、やがては道が開けてくるものです)

それは風邪を引いたとき、「なんか、しんどいなあ。体がだるいなあ。」って気付いて初めて「ゆっくり横になっていよう」と思えるのと同じです。
風邪を引いてても、気付かなければ普通の生活を送ろうとしてしまいます。

体の疲れは休養を取り、ゆっくり眠り、栄養のある食事を取ることで回復することが多いと思います。(病気はまた別に療養が必要ですけど)
でも、心の疲れはそうした方法だけではすっきりしないことが多いんです。
実は心の疲れは自分が好きなことをしないとなかなか抜けてくれないんです。

だから、心が疲れていて何もやる気が起きないからと一日家でごろごろしていたとしても、それが好きなことでなければ、その疲れは抜けません。
むしろ、「何してるんだろう?」「こんなことしていていいんだろうか?」という猜疑心、不信感を自分に対してもつことで、余計に疲れが溜まってしまうことだってあるんです。
それでは逆効果になってしまいますね。

だから、ここでは多少わがままになって自分自身を認めてあげることが大事になってくるんです。

疲れを取るためのエクササイズ

心のエクササイズ集ではそんな疲れを取るためのエクササイズをご紹介しています。
ここで紹介しようとリストアップしたら、とてもたくさんありました。
お気に入りのもの、手に取りやすいものから、ぜひご活用下さい。

<心のエクササイズ集>
>>> http://blog.livedoor.jp/cs_hiro/archives/22595291.html

また、カウンセリングでよくお出しする“疲れを取るための宿題”をいくつか
ご紹介しますので、機会があれば試してみてください。

○好きなものリスト

自分が好きなものを「年齢×10個」集めてみます。
30歳ならば、300個です。
これだけ集めると、今の自分が好きなものの方向性やジャンル、嗜好性が改めて明らかになってきます。
そうすると、その方向に意識を向けやすくなります。

また、好きなものをこれだけ多く集めるには、常に頭のどこかで意識していないと見つからないものです。
机にかじりついてもなかなか集まりません。
そうすると、好きなことを考える癖が付きやすくなります。

○生活圏を離れる機会を持つ。

自宅や会社、通勤経路などの日常空間から離れることは、自分を客観視したり、解決方法を模索したりするのに役立ちます。
生活圏を離れるだけですから、それほど遠くまで行かなくてもOKです。

例えば、駅から自宅までの道筋をいつもと変えてみたり、休日に、いつもの電車と逆方向に乗ってみたりするだけでも、気分転換になりやすいと思います。

また、自然に触れることも自分の心の状態を見つめ直したり、心を解放するいい機会になると思います。

○今日の私を5個褒めてあげる

お風呂に入ったときに、今日の自分を5つ褒めてあげましょう。
どんなに小さいこと、当たり前のことでもいいので、自分がよくやった、頑張った、と思うことを5つ見つけてあげるんですね。

ちょっと頑張って探さないと見つけにくいので、寝る前にやるとかえって目がさえてしまうかもしれません。

昔々「100数えたら上がっていいよ」って湯船に浸かっていたように、5つ頑張ったことを見つるまで頑張ってお風呂に入ってみましょう!

他にも、その時々の状況に応じて“宿題”を出したりしています。

あと、以前雑誌に寄稿させていただいたこともあって、そのエクササイズをホームページで紹介していますので、機会があればご覧下さい。
http://blog.livedoor.jp/cs_hiro/archives/22595291.html

自分の疲れや心の状態をきちんと把握し、その状況に応じた対応を採ることは充実した毎日を過ごすためにはとても大切なことです。
少しでもお役に立てば幸いです。

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