誰かに対して「許さない」と言う気持ちがあるとき、実は心の底では「許したくない」という気持ちがあります。
「許さない」ということは、ずっと傷つけられた被害者の位置に居続けることです。そして、許せない人を加害者の位置にとどめておくということでもあります。
自分がずっと、被害者の位置にいるということは、幸せになりにくい状態でいるということになりますから、誰かを許さないことで、「あなたのせいで、私は幸せになれない」ということを、証明しているわけです。
ある意味、自分が幸せにならないことで、許せない相手に「あなたのせい」と復讐しているということになります。復讐といっても、実際に何か行動を起こすわけではなく、ただ心の中で許さないということをしているのです。
「最大の復讐は、幸せにならないこと」という言葉があります。自分が幸せにならないことで、「あなたのせいよ」と言って復讐しているのです。
復讐心というのは、認めたくない感情ではありますが、幸せになりにくい状況を復讐心から作っているのだとしたら、とてももったいないことですので、復讐心をなくして、許せるようになれると楽になれます。
リクエストを頂きました◎
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「許せない」と思っていた気持ちをよくよく見てみたら「許したくない」という気持ちなんだと気がつきました。
「自分が許したら相手が幸せになってしまう」という復讐心のような気がします。
行動で復讐するのではなく、ただ気持ちの中で「許さない」ことで復讐を続けようとするこの気持ちはどういうメカニズムなんでしょうか?
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誰かを許せないとき、恨みつらみ、嫉妬、傷、怒り、悲しみ、寂しさなどがあります。
誰かに傷つけられた被害者の立場が、「許せない」状態です。
恨みつらみ、嫉妬、傷、怒り、悲しみ、寂しさを感じているとき、人は決して幸せではありません。
ですが、ではそれらの想いを手放して、相手を許そうと素直に思えるかというと、なかなかそうはいかないものです。
なぜ簡単にいかないかと言うと、自分が被害者の立場でいることで、傷つけた相手を加害者の位置に置き続けることができるからです。
また、逆もありますね。
相手を加害者の位置に置き続ける為に、自分が被害者で居続ける。つまり、自分が幸せになれない、気分がよくないとわかっていても、いつまでも自分が傷ついたことにしがみついてしまうのです。
「私を傷つけたあの人が悪い」
「私があの人を許すということは、あの人が無罪になることである」
「それは、ダメ」
「だって、私が許してしまったらあの人が無罪になって、幸せになってしまうから」
こんな感じですね。
では、こう言う状態のとき、私たちはどんな環境にいるかというと、決して幸せとは言えない環境です。
だって、許さないということは、恨みつらみ、嫉妬、傷、怒り、悲しみ、寂しさなどを、ずっと持ち続けるということですからね。
とてもつらい状態ですし、気分も決してよくありませんよね。
「最大の復讐は幸せにならないこと」という言葉があります。
自分が、恨みつらみ、嫉妬、傷、怒り、悲しみ、寂しさを持ち続け、相手を許さず決して幸せにならない状態でいることが、相手に対して「あなたのせいで、私はこんなに不幸なのよ」と言い続ける復讐になるのです。
復讐というと、実際に何か相手に仕返しすることを思い浮かべる方も多いかと思いますが、実際に行動しなくても、私たちはよく、相手を許さないこと、自分が被害者の位置にいることで、復讐を果たそうとするものなのです。
ところが、実際には遠い昔の出来事であったり、すでに亡くなってしまった人に対して復讐していることも多々あるのです。
許してしまったら、相手が加害者でなくなり、罰を受けなくて、幸せになってしまうと感じるのです。
ですが実際には、傷つけられた被害者の立場の人が、どれだけ相手を許さないと決めて、相手が幸せにならないために、自分が恨みつらみ、嫉妬、傷、怒り、悲しみ、寂しさなどを持ち続け、幸せでない状況でいたとしても、残念ながら相手は、痛くもかゆくもないのです。
人を呪わば穴二つという言葉があります。
これは、呪いをかけられた人のお墓だけではなく、呪いをかけた人も、自分のお墓の穴を掘るようになりますよという意味の言葉です。
誰かを許さないということは、相手のお墓の穴を掘るという復讐心を持つだけでなく、その結果自分が幸せにならないという自分のお墓の穴も掘ってしまうのです。
許しというのは、許せない誰かのためにするのではありません。
自分のためにするのだと思って下さいね。
人を許さない状態は、幸せになりにくい状態ですから、自分が幸せになる為に、相手を許せるといいな、許してみようからはじめられたらいいと思います。
それには、まず相手を理解してみようとする気持ちから始めるといいかもしれませんね。
あの憎い人を理解するのなんて嫌だなという気持ちが出てくるでしょうが、そこは、自分の為です。
「どうして、あんなことを言ったのだろう?」「どんな理由があったのだろう?」正解はわかりませんが、理解してみようとする目線が大切なのです。
理解してみようとすることで、「許してもいいかな」という気持ちに近づいていけます。