きょうだいの心理学(2)~一人っ子~

まずは、一人っ子の心理について紹介しましょう。ポイントは「自分以外はみんな大人」という環境で育つところ。

そのため、大人に比べて自分は何もできない、という無力感を感じたり、早く大人になりたい、という自立心を強く持ったり、あるいは、孤独感や寂しさを強く感じたり。

親も目が届き易いのが災いして過保護になって子どもを縛り付けてしまうこともしばし。また、一方で、親の面倒を見るのは自分しかいないと責任感を強く持ったりするようです。

一人っ子の悲喜こもごもの心理物語をお届けします。

きょうだいのパターン

1.一人っ子

きょうだいの影響の話と言うと一人っ子の方にはちょっと寂しい話だったかもしれません。
幼い頃から、弟が欲しい、妹が欲しい、と親にねだったことのある方も少なくないでしょうし、長じてからも仲の良いきょうだいの話を耳にすると、正直羨ましいと思ってしまう方もいらっしゃるでしょう。

ここからはきょうだいのパターンをそれぞれ簡潔にお話していきたいのですが、まずは、一人っ子の場合から紹介していきたいと思います。
これは自分に当てはまるなあ、とか、全然当てはまらないな、などと気軽に読んでいただけましたら幸いです。

さて、年の離れたきょうだいのいる第一子にも多少は共通する点があります。例えば、10歳下に弟がいらっしゃる方の場合、10歳までは一人っ子だったわけですからね。
だいたい物心ついた後にできたきょうだいがいる場合は、一人っ子時代が長いですから、ちょっと当てはまるところがあるかもしれません。

さて、一人っ子の心理ポイントは「自分以外は大人」という環境で育つところです。

だから、親が優しい場合、転ばぬ先の杖であれこれと過保護になりやすく、大人に成長したときも、誰かに依存しやすくなることも少なくありません。
自分ひとりでは何もできないような感じがしたり、誰かに頼らないとダメな自分を感じて自信が持てなかったりしますし、また、逆に甘やかされて天狗になってしまい、周りから攻撃されてしまうこともあるでしょう。

一人っ子はわがままだと言われることが多いと思いますが、その所以は、こうした過保護になりやすい環境にあるんですね。
両親も子ども一人を相手にするのできょうだいがいる場合よりも遥かに余裕があるので、言うことをききやすいわけです。
また、親の注目を常に一心に浴びているので、周りからも注目してもらって当然、という感覚を持ってしまいます。
だから、空気が読めない奴だったり、周りから浮いたりして、他人からは付き合いづらい奴にもなりやすいようです。

一方、放任されていた一人っ子の場合は、かなり早く大人になる傾向があります。
そもそも一人っ子は、大人に囲まれているので「早く大きくなりたい」とか「大人と対等の立場になりたい」という欲求も強く持っています。
だから、親が過保護にしてしまうと、いつまで経っても子ども扱いしてしまい、そうした自立心を妨げてしまう可能性も少なくないわけです。

さて、放任で育てられた子ども、よく言えば自由に育てられた子どもの場合、早くから大人びた考え方を持つことも少なくありません。
とはいえ、子どもの発想なので、少々現実的でない観念を身に着けることがあり、ちょっと変わった子になってしまうこともあります。そこはやはり親や周りの大人がサポートしてあげたいところではあります。

さて、この場合、早くに自立するので中学や高校時代から留学したり、親元を離れることが多いようです。また、誰にも頼らずに生きていく姿勢も固められていくので、しっかりした考え方、生き方が形成されることも少なくありません。

なお、一人っ子は思春期を迎える頃から「親が年を取れば面倒を見るのは自分しかいない」という暗黙のプレッシャーを感じていることがあります。

そうした責任感ゆえに、例えば、自立心が乏しい母親(父親)を持つと、お母さんを背負った人生になりやすく、自由を束縛されているように感じる(いわゆる癒着の状態)こともよくあります。

親の立場からすれば、早く子離れをして自立させてあげること、子どもの立場からすれば、友だちや社会とのつながりをできるだけ早い時期から持つことが大切ではないかな、と感じています。

>>『きょうだいの心理学(3)~二人きょうだい~』につづく

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