お金が減ることへの恐怖感

相談者名
はる
私は今社会人13年目にしてずっとやりたかった事をする為仕事を辞め学生に戻りました。専門学校の高い学費を貯金する為、節約生活を2年間。学校が始まってからは貯金と少ないバイトの給料で生活する生活を始め早4年目。外食もせず、服もかわず、でも毎月赤字です。貯金は有るものの、その貯金が減っていくのが恐怖です。貧乏生活がしっかり染み付いてしまいました。
自分がお金を使うことが怖いです。また、親や親戚とご飯に行ったり買い物に行ったりする時、自分が払わなくても良い時でも自分が食べたいもの、たった一品、一杯でも欲しい物を我慢して遠慮してしまいます。
人のお金が減る事にも恐怖、罪悪感を感じてしまいます。

元々無駄遣いが多く、散財好きな母のお金の使い方を見ると若干腹が立ちます。
お金を使う事が出来なくなった自分や、欲しい物欲しいという時に感じる罪悪感を感じる自分がとても嫌です。
どうして欲しい物を欲しいときに罪悪感を感じるのでしょうか。

カウンセラー
大塚亘
はるさん、はじめまして。

今回担当させていただきます、大塚亘と申します。
どうぞよろしくお願いいたします。

お金というものがなかった大昔ならともかく、現代を生きる私たちにとっては、お金は
なくてはならないものですね。

仮に、お金が底をついたら、借金をしなければならないかもしれませんし、借金が返せ
なくなったら、飢え死にするか、強盗などの犯罪をしなければならないかもしれません。

はるさんは、飢え死になんて考えたことはないかもしれませんが、私大塚は、以前お金が
減ることへの恐怖感がとてもあって、飢え死にするとか、犯罪を犯してしまうというような
ダークストーリーを想像してしまったことがあります。

はるさんの参考になると思いますので、もう少し私の体験談にお付き合いください。私は、
カウンセラーと並行して自営業をしています。15年ほど前に会社を辞めて、思い切って
独立しました。

独立はしたものの、営業センスのない私は、初めの2年ぐらいは貯金を食いつぶしていく
ばかりで、本当に貯金も底が見え始めてしまいました。この頃に、飢え死にとか犯罪などが
しばしば私の心の中に浮かんできてしまいました。

ただ、そこから自分なりに営業を頑張って、なんとか右肩上がりにもっていくことが
できました。5年経ったころには、サラリーマン時代の年収の2倍ぐらいになり、その後も
ずっと右肩上がりを続け、収入を伸ばし続けました。

さて、あるとき、私の自営業での顧客のひとつが、業績不振で倒産してしまいました。
顧客の業績不振ですから、私には全く原因がないのですが、いやおうなく収入が減って
しまいました。

そのとき、私の心の中には、また「飢え死に」とか「犯罪」が浮かんできました。そして、
ものすごく落ち込み、漠然とした将来不安にさいなまれました。

でも、その顧客がなくなったとしても、私の年収は平均的なサラリーマンの3倍以上も
ありました。客観的に見れば、貯金もそれなりにあるし、定期収入もありますから、
不安を感じる必要はないわけです。それでも、私はお金が減ることへの恐怖心を感じて
しまったのです。

そんなときに、私は先輩カウンセラーの面談カウンセリングを受けました。そのときに、
その先輩カウンセラーは、私大塚にこう言いました。

「お金と不安がくっついていますね」

「お金がない、というだけで、誰もが不安を感じるわけではないんですよ」

そのとき、私は、「お金がないのは不安に決まっているじゃないか!」と思いましたが、
今では、その先輩カウンセラーの言っていたことがよく分かります。

私の自営業は、一般の企業の総務人事と契約して、給与や解雇やセクハラなどの人事
関係の相談に乗ったり、健康保険や労災保険などの手続を会社に代わって行ったり、
給与計算を会社に代わって行ったりしています。

そのため、会社の社長や従業員の収入の状況や、家族構成などまでよく知っています。
その中には、年収が低いと言える水準なのに、奥さんは専業主婦で、子供も2人もいると
いうような家庭もたくさん存在します。私の本音を言えば、よくこれで生きていけるなぁ、
という家庭もたくさん存在するのです。

もちろん、そのような年収の低い家庭のお父さんは、日々不安を感じているかもしれません。
でも、お金が少ないながらも、楽しく幸せに暮らしている方々も、たくさんいると思うのです。

そう考えると、平均的なサラリーマンの3倍以上も年収がある私が不安を感じるのは、
お金の額とは関係ない、私の心のクセに原因があるとしか思えなくなりました。
先輩カウンセラーは、このことを私に言ってくれたのです。

さて、私大塚には「お金と不安がくっついている」という心のクセがあったのですが、
この心のクセは、実は今でもあります。前と違うのは、

「不安に思う自分は全く悪くない」

と思えるようになったことです。不安がなくなったわけではありませんが、不安に思う自分に
OKを出し、それでもいいじゃないか、と思えるようになったのです。

そうすると、何かがあって不安に思っても、以前と比べて落ち込むことが少なくなり、
はるさんと同じように、お金を使うことへの罪悪感が私にもありましたが、その罪悪感も、
ものすごく少なくなったのです。

そうすると、お金にあまり振り回されなくなり、お金に関するストレスが大きく減りました。
ただ、だからといって、以前と比べてお金をたくさん使うようになったわけではありません。
お金の使い方は、不安をたくさん持っていた頃とほとんど変わっていません。

収入や貯金の額に関係なく、ただ不安だけが減っていきました。

今では、

「お金が減っていくことに不安を感じることは、むしろ良いことだ!」

とすら思っています。もし不安を感じなかったら、将来を全く考えることなく際限なく
使ってしまい、それこそ身の破滅を引き起こしてしまうかもしれませんよね。

ですから、はるさんには、まずこう思ってほしいのです。

「お金を使うことが怖くても、それは悪いことではない」

「お金を使うことに罪悪感を感じることは、何も悪くない」

ある日突然大変身して、お金を使うことの怖さや罪悪感をゼロにすることは不可能です。
これはご理解いただけますよね。

そして、そもそも、お金を使うことに不安を感じることは、将来へのリスクマネジメントが
しっかりできているということの証拠でしかありません。それは、むしろ良いことなのでは
ないでしょうか。

ですから、はるさんは、既に今の時点で、リスクマネジメントができている素晴らしい方
なのです。

>また、親や親戚とご飯に行ったり買い物に行ったりする時、自分が払わなくても良い時でも
>自分が食べたいもの、たった一品、一杯でも欲しい物を我慢して遠慮してしまいます。

これは、単に謙虚さをお持ちなだけであり、決して悪いことではないと私は思います。

>人のお金が減る事にも恐怖、罪悪感を感じてしまいます。

これは、はるさんの中に自分以外の人間に対する「やさしさ」や「思いやり」がなければ
思えないことです。もし「やさしさ」や「思いやり」がなかったら、「他人の金だから、
気にせず使ってしまえ!」と思うはずです。

>どうして欲しい物を欲しいときに罪悪感を感じるのでしょうか。

我々人間は、自分の自己評価が低いと、無意識にこう思います。

「こんなダメな自分には、お金を使う価値がない」

自己嫌悪や、自己否定があると、自分へのごほうびのようなお金の使い方ができなくなって
しまうのです。

>元々無駄遣いが多く、散財好きな母のお金の使い方を見ると若干腹が立ちます。

こう書いてくださっていますので、ここに、はるさんが楽になるヒントの一部が隠されて
いることは間違いないと思います。よかったら、カウンセリングも使ってみてくださいね。

いずれにしても、はるさんは、今の時点で、ご自身が思うよりも、はるかに素晴らしい方
なのです。まずは、

「お金を使うことが怖いこと、お金を使うことに罪悪感を感じることは、悪いことではない」

と思うところから、はじめてみてくださいね。

読んでくださり、ありがとうございました。

大塚亘

この記事を書いたカウンセラー