できる後輩

相談者名
はな
こんにちは、はなと申します。
アルバイトをしているのですが、できる後輩に対する劣等感と嫉妬をどう処理していいか分からないです。
バイトを始めてからわたしは半年、後輩は3ヶ月たっているのですが、商品を作る速さも、周りがよく見えているのも、忙しい時の仕事の流れがよく分かっているのも後輩の方です。仕事を覚えるのがはやく、要領がいいんです。
また、職場に馴染むのも早く、みんなと仲がよく、スタイルもいいしかわいいです。私の持っていないものを全部持っています。
私は、後輩の仕事のできる瞬間を見たとき、新しい仕事を教えてもらっているとき、店長に褒められている時、なんだかモヤッとして心がずんと重くなります。
後輩が失敗した時、後輩が分からなくて自分がわかることがあった時、ホッと安心してしまいます。でもそのあと、これで私が知っていて後輩が知らない仕事が一つ減ったな、しかも後輩は私よりうまくやるのだろうな、とまた落ち込みます。
もし後輩が同い年か年上だったら、もしくは異性だったらここまで悩まないのかなと思います。自分の居場所を取られてしまったような、自分の役立たずさを見せつけられてるような…。みんな私より仕事ができて明るいあの子が好きなのかなと感じます。
後輩も無意識かもしれませんが私より仕事ができることを分かっていて、仕事の指示をしてきたりします。的確なのですが、その時にもムカッとしてしまいます。やろうと思っていたことだとなおさらです。そんなこと思う自分にも落ち込みます。
また、別の仕事のできる先輩と、その後輩に挟まれるともうなんで自分がここにいるのか分からなくなってしまうレベルです。ミスする度にいつもより落ち込みます。先輩も仕事ができて愛嬌のある後輩の方が好きなのかなと思ってしまいます。後輩は私にとても懐いてくれていて、私も後輩が大好きです。
大好きなのに、嫉妬と劣等感で苦しくなってしまいます。
こんな気持ちを抱く自分も嫌です。
どうしたらこの苦しみから解放されるか教えてください。
カウンセラー
大塚亘
はなさん、はじめまして。

今回担当させていただきます、大塚亘と申します。
どうぞよろしくお願いいたします。

はなさんがご自身の状況を詳しく書いてくださったので、はなさんの心の動き、
そして嫉妬心や劣等感で悩まれている苦しさが、私なりに理解できた気がしています。

私たち人間は、みんなそれぞれ「自己概念」というものを持っています。
「自己概念」とは、自分とはこういう性格で、こういう特徴があって、こういう人間だ、
という自分自身による自己認識のことです。

自己認識には、「私は結構仕事ができる」とか、「私はやせ形でスタイルは結構いい方
だと思う」というような、ポジティブなものもあります。

一方で、「私は要領が悪い」、「私は可愛くない」、「私は役立たずだ」というような、
ネガティブなものもあります。

ポジティブな自己認識は、本人はもちろん気分は悪くないですし、周りの評価と合致
している(周りの人間も、本人と同じようにその人をポジティブに評価している)
ことが多いので、あまり問題は生じません。

よって、問題となることがあるのは、ネガティブな自己認識のほうになります。

ネガティブな自己認識は、本人はもちろん気分は良くないですが、周りとの関係において、
実は、次のような問題を生じさせてしまうことがあります。

客観的にみるとネガティブではないのに、本人がネガティブだと思い込んでしまっている

つまり、自分の自己評価と周りの自己評価が食い違っているということは、実は我々
人間には、とても多いのです。

特に、日本人の場合は、謙虚を美徳とする傾向がありますので、どうしても自己評価が
低くなりがちです。

はなさんは、書いてくださった文章の表現をそのまま用いさせていただくと、
「劣等感」、つまり自分は周りより劣っているという自己概念をお持ちのようです。

また、「職場に馴染むのも早く、みんなと仲がよく、スタイルもいいしかわいいです。
私の持っていないものを全部持っています。」と書いてくださったということは、
これらのポジティブな面を、はなさんは持っていないという自己概念を持っている
わけです。

問題なのは、実は、はなさんが「劣っている」、「みんなとあまり仲が良くない」、
「かわいくない」ということではありません。問題は、

はなさんが「劣っている」、「みんなとあまり仲が良くない」、「かわいくない」
という自己概念を持っていること

なのです。

つまり、そもそも、はなさんは、客観的にみると、全く劣っていないかもしれないし、
周りと仲がいいかもしれないのです。

さて、私たち人間は、自分が思っていることを、周りの人も同じように思うだろう
という「投影」の法則により、もし自分が劣っている(誤解している場合も含みます。)
ならば、周りの人間も、私のことを劣っていると思うはずだと、オートマチックに
感じてしまいます。

しかし、実は、周りの評価は、はなさんご自身が思っているよりも、とても高いかも
しれないのです。つまり、はなさんの自己評価は、客観的な評価より低すぎるかも
しれないのです。

はなさんの文章を拝見した限りでは、周りの人間が、はなさんを否定したような言動を
するということは、ほとんど書かれていませんよね。唯一あるとすれば、

「後輩も無意識かもしれませんが私より仕事ができることを分かっていて、仕事の指示を
してきたりします。」

という部分かもしれませんが、後輩は、はなさんのことは否定しているわけではない
ような気がします。その根拠は、

「後輩は私にとても懐いてくれていて」

と書いてくださっているからです。

もし、はなさんを否定的に見ているならば、後輩は、はなさんに懐いてくれるでしょうか。
否定的にみていないので、懐いてくれているのだと思いませんか?

つまり、後輩は、はなさんに対して、ポジティブな評価をしている可能性が高いわけです。

また、心理的には、こういう見方もできます。分かりづらいかもしれませんが、良く考えて
みてくださいね。

仮に、はなさんが、職場でご自身のことを完全否定しているとしたら、こう思うはずです。

「完全にダメな人間である私に対して、後輩が懐くはずがない。ということは、この笑顔は
ウソで、なにか裏があるに違いない」

後輩が懐いてくることに対してすら、否定的な感覚を持つはずです。しかし、はなさんは、
こう書いてくださいました。

「私も後輩が大好きです。」

これはどういうことかというと、後輩が懐いてくれている、そして、その好意を、はなさんが
うれしく感じているということは、実は、

はなさんは、ご自身のことを、どこかでポジティブに自己評価している

ということになります。正確には、ポジティブに評価している部分も無意識の中にはある、
という感じかもしれませんね。

もし、私がいま述べたことにも一理あるとしたら、本当は、はなさんはご自身のことを
ポジティブに評価している部分があるのに、意識上では、劣等感を感じ、役に立って
いないという無力感を感じているということになります。

本来は自分のことを評価しているのに、意識上では評価していない場合に一般的に
多いのは、過去に誰かに傷つけられて、誰かに対する怒りがとても残っているか、
あるいは、過去の大きな失敗などで、とても強く自分を責めているというような
ことになります。

いずれにしても、少なくとも、はなさんが劣等感を感じる根本原因は、職場での後輩の
態度ではないと私は思います。なんらかの原因で以前から持っていた劣等感のような
ものを、後輩との関係に心が反応して(投影して)、感じてしまっているということ
だと思います。

では、具体的にこれからどうしたらいいのでしょうか。まず思っていただきたいことは、

はなさんの自己認識による評価より、後輩を含む周りの人間の、はなさんに対する
評価のほうが、圧倒的に高い

ということです。これは、後輩の懐いている態度をみる限り、間違いのない客観的事実
だと思います。

つまり、自己評価が低くて劣等感を持っていること自体が、そもそもの、はなさんの
大きな誤解だったのです。以前から、はなさんは客観的にみると高評価であった、
ということを、信じられなくてもいいですから、まずは、心の中で思ってみてください。

次に、仕事でも仕事以外でも、はなさんが客観的にみて出来ていること、過去に出来た
ことなどが必ずあるはずですから、それを、はなさんが心の中で思い出して、ご自身で
承認してあげてみてください。

少しずつ、少しずつ誤解が解けていき、楽になっていけると思いますよ。

そして、もともと低評価だと誤解してしまった根本原因は、過去の何らかのご経験に
よるものだと私は推測します。もしそうであるならば、カウンセリングで、その過去の
経験にフォーカスして誤解を解いていくこともできると思います。

ぜひ、カウンセリングも使ってみてくださいね。

読んでくださり、ありがとうございました。

大塚亘

この記事を書いたカウンセラー