人と人との距離感が縮まり、人間関係が構築されていくときに、何故か怖れを感じることはありませんか?
人と一緒にいるはずなのに、繋がりを感じることが出来ないような感じがする、何故か楽しさを感じることが出来ないなど…、私たちは、そのときに感じる感情が嫌で、人との距離をとってしまうことがあります。
人間関係が構築されることはとても良いことですが、周りの人との距離感が縮まれば縮まるほど感じてしまう怖れがあると、私たちはそれ以上に人との関係を構築しようとは思えなくなっていきます。人との距離が縮まると感じる怖れはどこから来るのか?そして、人間関係の心の距離感と感情の関係性と心の仕組みを見ていきましょう。
◎リクエストを頂きました◎
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どこかいつも顔なじみになっていくと人間関係が濃くなっていく恐怖感、また、グループなどであれば時間が経っても慣れない居場所のなさや所属感について恐怖心があります。
初対面のときよりも適度に慣れていくことができず、無意識に緊張して社会生活が困難です。
こうした「いる」のが怖い居場所のなさ、人間関係ができていく恐怖というかどこかに所属するという感じが怖い心理について、もし講座などで扱っていただけたら嬉しいです。
感じ方や恐怖心を和らげられる自分でもできることがあったら知りたいです。
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リクエストいただき、ありがとうございます。
今日は、リクエストを基に人との距離感と怖れの関係性について話を進めていきたいと思います。
人との距離感が縮まるとき、関係性を築いているときに、怖れを感じることは少なくありません。
しかし、この怖れがあると、私たちは人間関係を構築していくことに対して足踏みしてしまったり、人間関係を構築することそのものを辞めてしまったりしてしまいます。
この人との関係性が構築されていく中で感じる怖れとはどこから生まれてくるのでしょうか?
● パーソナルスペース
私たちの心には、パーソナルスペースといわれるものがあります。
パーソナルスペースとは、心が傷つかなくてもいい、心の安全を感じられる領域のことをいいます。
パーソナルスペースは、性別の違いや過去の経験によって人それぞれ広さの違いがありますが、心が傷つかなくてもよいスペースになりますから、過去の痛みなどがあると広くなる傾向があります。
このパーソナルスペースに人が入ってくるということは、私たちの心の安全が脅かされることになりますから、私たちはどこか居心地の悪さを感じたり、怖れや不安、圧迫感を感じたりしやすくなるのです。
● 人との距離感が感情を動かす!?
私たちは、人との距離感が変化することで感じる感情が変化していきます。
例えば、友人とお話をするとき、
顔の目の前で話をする場合。
いつもの距離感で話をする場合。
とても離れた場所で話をする場合。
同じ話をしたとしても、感じることはどこか違うのではないでしょうか?
顔の目の前で話をされれば、どれだけ仲がよい友人だったとしても、恥ずかしさを感じるかもしれないし、うざいと感じるかもしれません…(笑)
いつもの距離感で話をすると、お互いの反応を見る余裕もあるし、心に心地よさを感じることができ、話がはずむこともあるでしょう。
とても離れた場所で話をするとすれば、声を張らなければ声は聞こえませんし、話がスムーズにいかずにどこか寂しさを感じるのではないでしょうか。
このように距離が違うだけでも、私たちが感じるものや感情は変化していくのです。
● 距離感が近づくときに感じるもの
このリクエストでは、初対面のときよりも人間関係を作っていく過程で、怖れや緊張を感じていると書かれています。
おそらく、初対面の距離感がリクエストいただいた方の安全を感じられる距離だったのかもしれませんね。
では、距離感が近づくときに、怖れや緊張を感じるのは何故なのでしょうか?
一つは、過去の痛みを感じるもの。
私たちは、過去の傷ついた経験から「もう傷つきたくない」という想いを持ち、人との関わりや人間関係の構築から距離を取っていきます。
人との関わりから距離を取ることが出来れば、心は傷つかず安全に過ごすことが出来ます。
逆に、人と関わっていくということは、「また傷つくかもしれない」というリスクを伴うことになりますから、怖れや緊張を感じるのです。
もう一つは、自己嫌悪や自己攻撃から作られるもの。
自己嫌悪を強く感じていると、自分が嫌っている自分を周りの人が受け入れてくれるとは感じられません。
そうすると、自分が嫌っている部分を隠したり、人に受け入れられるように良い人や優しい人でいようと(補償行為)するため、人と関わるときに気を使ったり、気を張ったりすることから緊張が作られます。
また、自己攻撃を強く感じていると、自分が自分を強く攻撃している度合いだけ、その自分に対する攻撃を周りの人や周りの状況に投影していきますから、周りの人からも攻撃されるのではないかという怖れを強く持つようになります。
これらは、人との距離が近づくにつれ、強く感じますから、居心地の良さは全く感じられません。
● 居場所を作るには…
私たちが自分の居場所を感じられるときというのは、必ず心の繋がりや安心感があります。
ここでは、安心な環境を作るための方法をご紹介します。
【人のいいところや魅力を見つける】
私たちは、自分の中にある攻撃性から怖れを作っていきます。
人のいいところや魅力に着目しているときは、人のいいところを見ることが出来ていますから、気分がいいですし、自己嫌悪モードや人を攻撃するモードに入りにくいです。
また、人のいいところや魅力を見つけていくと、その行為も周りの人や状況に投影され、自分のいいところをみてくれる人もいるかもしれないと感じることが出来るようになります。
実際に、良いところや魅力をみてもらった人も、決して攻撃的になることはありませんから、安心出来る環境に近づいていきます。
【自己開示する】
私たちは、人から受け入れられないと感じる分だけ、受け入れられないと感じるものを隠すことに注力します。
もし、隠さないといけないと感じている過去の痛み、嫌いな自分などを人に受け入れられたとき、どんな感じがするでしょうか?
受け入れられた分だけ、隠す必要もなくなりますし、安心感に変わっていきます。
隠している自分を開示して受け入れられることは、安心感を作っていきます。但し、過去の痛みがあることも多いですから、とてもリスキーに感じられます。
日常生活の中で、チャレンジすることにリスクを感じる場合は、私たちカウンセラーとの比較的安全な関係性の中で、チャレンジしてみてくださいね。
皆さんにとって、心地いい居場所がみつかりますように。
(完)