ハードワークに嵌まる心理でよく見受けられるのが“無価値感”が原因になっているパターンです。
すなわち、「仕事をしているから自分は認められる」「仕事をしていなかったら居場所がなくなる」という義務と役割から生まれるパターンで、仕事がアイデンディディ(自分が自分である証)を保ってくれているような気がしてしまうのです。
そうすると周りの人の愛を全く受け取ることができず、デッドゾーンにひた走ってしまうのです。
●なぜ、ハードワークをしてしまうのだろう?~無価値感編~
ずっと仕事ばかりしている人。皆さんの周りにいませんか?
本当に仕事が好きなんだな、と感じる方もいれば、ボロボロになりながらも、仕事に取り組んでいるかわいそうにも思える方もいるでしょう。
でも、休みも無く働く人があなたの近親者だとしたら、ちょっと心配になりますよね。
疲れてない?体、しんどくない?ちゃんと食べてる?寝てる?
でも、どうして、そんなハードワークに嵌まってしまうのでしょう?
大きく次のような感情が影響していると私は考えています。
一つは“無価値感”、そして、“罪悪感”。
心理学講座でもよく出てくる感情ですが、それがどうハードワークに結びつくのでしょう?
まずは無価値感のパターンから紹介しましょう。
仕事にどんどんはまり込んでいくと、“自分=仕事”になります。
自分がここにいられるのも、これだけ仕事をしているせいだし、逆に、仕事をしなかったら、ここにはいられない・・・。
つまり、仕事が自分のアイデンティティを保証する形になってしまっているんですね。
もう少し応用すれば、これは頑張る人のパターンなんです。
頑張っているからここにいられる、これだけ頑張ってるから必要とされる、だから、頑張らなければここにはいられない、居場所を失ってしまう・・・。
そうしたら、頑張るしか方法がなくなってしまうのです。
そうして自分自身を「仕事以外に価値のない人間」として自分を扱ってしまうわけです。
これは“無価値感”がもたらす誤解で、本当は他にも価値なんてたくさんあるんですが、如何せん、仕事に従事する時間が圧倒的に多すぎて、他の価値・魅力に意識を向ける余裕がなくなってしまうのです。
だから、表面的には「好きな仕事」をしているつもりでも、潜在意識の中では「仕事をしているから認められる」という思いが生まれ、それは「仕事がなくなったらやってはいけない」という不安や怖れを招きます。
そうすると、どんどん仕事が“犠牲”となり、好きな仕事のはずなのに、疲れる、しんどい、逃げ出したくなる状態となり、ストレスばかりが溜まっていくようになります。
(好きな仕事ですら、そうなわけですから、そうでない仕事だとしたら、もっとストレスは早く大量に溜まっていきます)
でも、止められないんです。
仕事を離れることは、自分でなくなるように感じてしまうわけですし、居場所を失うわけですね。これは最悪のストーリーです。
だから、頑張るしかなくなります。
そうして、犠牲は続き、やがて無気力状態、すなわち、デッドゾーンにはまり込んでいくのです。燃え尽きてしまうわけですね。
それまで必死に頑張ってきたのに、頑張れない状態になる・・・。それはあまりに酷い結果ではないでしょうか。
そして、このパターンは意外とエリートに多く見受けられます。
一流大学を出て有名企業に勤めていたり、権威ある職業(医師や弁護士等)に従事していたりね。
こういうタイプの方は、一見“自信家”で、飛ぶ取り落とす勢いで頑張っている一方で、エリートならではの競争世界があり、その中で上記のようなパターンを作り出していることが多いようです。
また、元々自分に自信がなく、コンプレックスが強い方は、どんな仕事をしていても、こうした心理にはまりやすくなりますよね。
自分は元々デキが悪いんだから・・・と自分の無価値感に取り込まれ、いやいやながらも仕事を続けなければいけないんです。
「ここを首になったら他では雇ってなんかもらえない」という思いを感じたとしたら、黄信号です。すっかりハードワークの罠にはまっている可能性が高いでしょう。
このパターンにおいては、仕事をしなくても、頑張らなくても、自分には価値があることを受け入れる必要があります。
そこまで頑張らなくても、愛されていることに気付き、その愛を受け取ることで、このハードワークを緩和させていくことができます。
あなたを愛してくれている人は誰でしょう?
その愛を受け取る準備はできていますか?
>>『ハードワークに嵌まる心理~罪悪感がもたらすハードワーク~』につづく