「恋愛に縁遠い」とおっしゃる方の心理を見ていくと、完璧主義という心理が浮き彫りになることが少なくありません。
心理学でいう完璧主義者とは「完璧なものにしか意味を感じない、完璧に出来なければ行動しない」人の事を指し、心理的に自立していて一人の世界を生きていることが多いのです。
この完璧主義が恋愛で顔を出すと、とにかく自分の欠点を隠し失敗を恐れるようになります。リスクは負わず、実際の行動までに十分な検証と確認をするので片思いが多くなるのですね。また一人で生きている度合いだけ、愛されることに不慣れで、抵抗感を感じやすくなるのです。
この完璧主義の心理には常に隠しておきたい「不十分な私」の存在があります。そしてその部分を受容することが難しい度合いだけ人との距離を取るので、恋に悩んでしまうのですね。
ただ、完璧主義者さんは相手を丁寧に扱うことや、痒い所に手が届くといった気配りができます。そういう意味では自分を隠したり恋愛を恐れる必要はないとも考えられるのです。
◎リクエストを頂きました◎
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私は恋愛と縁遠いタイプです。
好きな人はそれなりにいましたが、いつも片想い。
友人として近づくだけで精一杯。それも、好きになり過ぎて反応の薄さにやがて想い疲れて自分から離れることが多いです。
それと、想いを寄せられるのも非常に苦手で、これは失恋するよりずっと疲弊します。精魂尽きる、といった感じになります。
だから、付き合ったことはアラサーの今迄で一回だけ。体だけと割切ることも出来ず、そういうことに本当に縁なく年ばかりとってしまいました。
人並に恋愛をしたいという想いはあり、トライしてみるのですが、上記のパターンから抜け出せません。これらはどのような心理なのでしょうか?
(一部編集させていただきました)
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■カウンセリングでもよくお聞きする「恋愛に縁遠い」とおっしゃる方の心理を見ていくと、ある心理が浮き彫りになることが少なくありません。
それが完璧主義。
完璧主義と聞くと何事も完璧にこなせる凄い人ように思いますが、心理学でいう完璧主義者とは「何事も完璧なものにしか意味を感じない、興味が沸かない」「何事も完璧に出来なければ行動しない」人の事を指します。
例えるならば、部屋が散らかり掃除の必要性を感じていたとしても、完璧にキレイにできないならば何もしない、意味が無いと感じてしまう。なので、どこか完璧主義者の部屋ほど汚れているという現象が起きるのです。
なので完璧主義者さんはどこか、自分に甘いようで厳しい。そんな微妙な感覚を覚えがちです。何か熱心に取り組むけど、完全に冷めてるときもある。何事も白黒ハッキリつけたくなる分、自分がよく分からなくなる、といった感じでしょうか。
さて、この完璧主義が恋愛で顔を出すとどうなるでしょうか?ここではあえて、完璧主義者さんのネガティヴな恋愛パターンをいくつか書きだしてみたいと思います。
・とにかく失敗を恐れる。失敗するぐらいなら恋を諦める。
・恋愛に至るまでに十分な検証と確認をする。なので片思いが多くなる。
・自分の依存心を嫌う。○○して欲しいが言えない。
・自分はもとより、相手の欠点に強く反応する。そこで愛がさめやすい。
・相手の愛情に対して完璧に応えたいと思うあまり必死になりすぎる。恋に疲れやすい体質。
・恋愛したいという欲求は持つが、意外と具体性が無い。特に将来については曖昧になりがち。
・実は愛される自信がない。その不安を自分の力だけで解消しようとする。
そもそも「完璧主義」とは、完璧ではない「不十分な私」がベースに出来上がっている心理。だから誰にも自分の内面を触れさせようとはしないことが多いのです。なので日常的には自立(一人の世界を生きていること)していてるんですね。
そして、その自立して生きている理由の多くは「恐れ」。人と関わる恐れや、自分自身を知られたくない恐れ、失敗への恐れなどなど多種多様です。
しかし恋愛となると話は別。自分を表現し、現実的にも心理的にも相手との距離を詰めないと恋は始まりませんよね。そしていつも上手くいくとは限らない。
ただ、日常的に自立して生きていると、自分の心の中に誰かを招き入れた経験が少ないので、相手との関わり方や距離感のとり方、愛され方や依存心の出し方が分からなくなるのです。そして分からないことに明確な答えを求めるのも完璧主義者さんの特長。どこか考えちゃうんですね。
この状態で自分に好意を抱く人が近づいてきたとしても「嬉しい!愛されてる!」とはなかなか思えないのですね。「うわぁ、どうしよう?」と恐れが強くなり、思考はもちろん、心も混乱しはじめます。どこか愛されることが迷惑や困ることになってしまうのです。
またこの時、あなたの心の中は強い緊張状態になり、その緊張は心から身体へと繋がっていきます。だから恋愛でドッと疲れてしまうのですね。
■さて、どこか完璧主義者さんの心の影に存在する「不十分な私」ですが、ではその判断は一体誰がしているのでしょうか?
その答えは「自分自身」なのですね。
もちろん自分自身の成長過程で受けた様々な影響していることも十分に考えられます。例えば両親、友人など人間関係、コンプレックスなどがその代表例。
ただ、今の時点で不十分だと判断しているのはやはり自分自身。この自分への判断を変えていくことが現状を変える大きな一歩になるわけです。
それでは、この状態から抜け出すポイントをいくつか書いてみたいと思います。
・今の自分が持つ魅力をしっかり心で捉えること。
・自分の欠点を受け入れていくこと。
・自分を誰かに愛させるという発想と勇気を持つこと。
欠点ほど嫌いなものはない完璧主義者さん。しかし欠点こそ愛すべき魅力の一つで、誰かがあなたの役に立てるポイントになるのです。逆に、欠点のない人と付き合うことこそ、本当に大変で、いつも無力感ばかり感じることになってしまいます。
また、欠点ばかりに意識が向き見落としている、自分の魅力や才能を自覚することも大切です。完璧主義者さんの才能は相手を丁寧に扱うことが出来ること。痒い所に手が届く、といった気配りが出来ること。これを生かさない手はないと思いませんか?
ただ、この才能を自覚することは一人では難しい。誰かに聞いたほうがいいかもしれませんね。自分の魅力や才能って、案外他人がたくさん知っているもの。あらゆる手を使って本当の自分探しをしてみるといいかもしれません。
そして最後は、自分を誰かに愛させること。一人の世界を生きることをやめること。
パートナーシップの世界は共に生きる世界。自分一人の想いだけで出来上がっているわけではないのです。
そういう意味では、パートナーシップという恩恵は、あなたが信じられない自分と、そしてあなたを愛そうとする誰かを信じた時に訪れるものとも言えそうですね。