けち(吝嗇)の心理学~けちな人と接する方法~

けちとは、金品を惜しがって出さない事です。

けちの心理的なパターンは色々ありますが、例えば、自己価値が低くお金に縁遠いと感じているパターン、人や世間を信頼できずお金さえあれば何とかなると思っている拝金主義的なパターン、お金を使うとお金を大切にしていないように思えて罪悪感を感ずるパターン、自分や家族の経験からお金を使うと不幸になると思っているパターンなどがあります。

これらのパターンはそれぞれその元になっている自己価値の低さ、人や世間との信頼の回復、誤解の払拭を行うことにより改善されます。
しかし、それらの人と接したときに感じる問題を最も確実に改善する方法は、けちな他人を変えるのではなく、自分自身がそのような人と接した時に感じる感情を変化させることです。
けちになるにはそうなる理由があるのと同じで、そんな人と接したときにそう感じる理由があるのです。

◎リクエストを頂きました◎
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「けち」について教えてください。
姉はけちで、他人を利用して自分がお金を使わないと得をしたと思っています。
このような心理は、どのようなものなのでしょうか。
こういう困った人達とどのようにつき合っていけばいいのでしょうか?
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けちとは、「金品を惜しがって出さない事」です。
けちは単に金品を出さない人を指すのではなく、惜しがって出さない人を「けち」と言うのですね。惜しがる事がポイントです。
では、けちな人はどうしてお金を惜しがるのか、そしてどうすればそのような人との問題を解決できるのかを今日は考えてみたいと思います。

1.お金を出さない2つのパターン

人がお金を出さない気持ちは、概ね2つのパターンに分けることができます。
1つ目は、その物(事)に対してお金を使う価値がないという気持ちです。
例えばビンテージ物のジーンズがあったとします。マニアの人達はそこに価値を見いだし、場合によっては何十万円ものお金を払ってそれを手に入れます。
しかし、それに全く興味が無い人は、ただのジーンズにそんな価値を見出せないのでお金を出さないという事になります。これは、惜しがってお金を出さない訳ではありませんから、けちでは無いのです。
2つ目は、できるだけお金を使いたくないという気持ちです。
それが例え必要なお金であっても、あわよくば支払わずに済まないかと考えているパターンです。
こちらは、お金を出し惜しみしている事になりますから、けちの範疇になりますね。

けちの心理にもいくつかのパターンがあります。
そしてこれらいくつかのパターンがその人の気持ちの中で単独で存在する場合と、重複して存在する場合があります。

2.お金に縁遠いと感じているパターン

先ず1つ目は、私にとってお金は縁遠いものだと感じているパターンです。
例えば、今10万円のお金を持っていたとします。しかし、今度お金がいつ入ってくるか分からない、しかも十分に入ってくるかどうかわからないという状況に陥ったと思ってください。そうすると、できるだけ手元にあるお金を温存しようと思いますね。
これを目先のことではなくて、人生の先々の事についても考えているのです。
だから、今お金を持っていても、使えないと思っているのです。
このパターンをお持ちの方は、自分はお金と縁遠いと考えているのですから、自己価値を低く捉える傾向があります。
そして、そんな自分は誰かに頼らないと生きていけないと、どちらかというと依存的な振る舞いになりがちです。
このタイプの人がけちで無くなるためには、自分はお金に縁遠いと思っている自己価値を低く捉えるパターンを改善することです。その為には、周りの人がその人の価値を認め、伝えてあげることが効果的です。

3.拝金主義的なパターン

2つ目は、最終的に人や世間を信頼せず、お金さえあれば、殆どどんな状況でも乗り切れると考えているパターンです。
例えば、知り合いが誰もいない家から随分と離れた場所にポツンと一人取り残された自分を想像してみてください。どうやって家に帰ろうとするでしょうか?
バス、電車、タクシー・・・お金があればそれらを使えますが、お金がないと誰かにお金を借りなければ家には帰れません。でも、そこには知り合いがいなくてお金を貸して欲しいと頼むこともできません。
このような感覚で、いざというときに信じられるのはお金のみなのです。
だから、お金を軽々しく使わず温存しておかなければならないと考えているのです。
このようなパターンの方は、人や世間を頼ることができませんから、どちらかというと自立的な振る舞いになりがちです。
このタイプの人がけちで無くなるためには、その人が人や世間を信頼できるように、その人との心の繋がりを作ってあげる事が効果的です。

4.その他のパターン

以上代表的な2例を少し詳しくご紹介しましたが、その他にも親から「お金を大切にしなさい」と教えられ、お金を使うことに罪悪感を感ずるようになったタイプの人や、自分自身や家族がお金に苦労した経験からお金を使うことが不幸に繋がると感じているタイプの人もいます。
これらのタイプの人がけちで無くなるためには、お金を使うことによって感じる罪悪感を緩和したり、お金を使うことによって不幸になるという心理的な誤解を解いてあげる必要があります。しかし、これらは私たち心理カウンセラーの仕事かもしれませんね。

5.最後に

さて、最も確実な解決方法は、けちな人を変えることではなく、自分自身のその人に感じる感じ方を変えることです。
けちにはけちになる理由があるのです。そしてそう感じる私には、そう感じる理由があるのです。
そう感じる私は、人に迷惑をかける事を禁止していないでしょうか?
犠牲をしていないでしょうか?
その禁止の裏には、きっと、人に迷惑をかける自分がいます。
その犠牲の裏には、きっと、ありのままでは愛されない私がいます。
なぜならば、人は自分が着目している事以外はさほど気にならないからです。
これら自分に対する自分自身の誤解が解ければ、問題は解決できるのです。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

恋愛や夫婦間の問題、家族関係、対人関係、自己変革、ビジネスや転職、お金に関する問題などあらゆるジャンルを得意とする。 どんなご相談にも全力投球で臨み、理論的側面と感覚的側面を駆使し、また豊富な社会経験をベースとして分かりやすく優しい語り口で問題解決へと導く。日本心理学会認定心理士。